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サカザキ菌やサルモネラ菌の感染を防ぐ、赤ちゃんのミルクの正しい作り方とは?【小児科医】

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水色の床の背景に牛乳のボトルを保持する幼児の手。給餌時間。パステルカラー。クローズ アップ。視点ショット。上から下のビュー。
●写真はイメージです
FotoDuets/gettyimages

2022年2月、アメリカの医薬品大手アボット・ラボラトリーズ社の粉ミルクに「サカザキ菌」などが混入し、4名の赤ちゃんが細菌感染症にかかり、うち2名の赤ちゃんが亡くなる事故がありました。サカザキ菌のリスクから赤ちゃんを守るための、安全な調乳方法について小児科医の工藤紀子先生と、株式会社明治の管理栄養士・林美有紀さんに話を聞きました。

安全なミルクのために正しい方法で調乳を

出典:厚生労働省「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドラインについて」パンフレット https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/qa/dl/070604-1a.pdf

粉ミルクに含まれることがあるサカザキ菌やサルモネラ菌に赤ちゃんが感染するリスクを減らすため、WHO(世界保健機関)/FAO(国連食糧農業機関)が全世界に向けて作成したガイドラインに沿った調乳方法は上の画像のとおりです。ポイントは、手や器具や容器を清潔にすること、とくに重要なのは70度以上のお湯でミルクをしっかり溶かすことです。

正しい調乳のしかたは粉ミルクのパッケージにも書かれていますが、メーカーによって若干の違いがあることも。

「実は国内のメーカーによっては、哺乳びんに粉を入れてからお湯を入れる方法を採用しているところもあるので、使っている商品の作り方を参考にしてください。
また、ミルクはさまざまな栄養が含まれるため、調乳後の長期保存はできません。調乳後2時間以内に使用しなかったミルクは捨てましょう。
赤ちゃんが飲み残したミルクも、赤ちゃんの唾液とミルクの栄養が混ざって、細菌が増えるリスクがあります。1度でも赤ちゃんが口をつけた飲み残しのミルクは、2時間を待たずにすぐに廃棄してください」(林さん)

赤ちゃんの粉ミルクの調乳に使う水はどんなものがベスト?

赤ちゃんのミルクを作るときに70度以上に加熱して使用する水については、水道水、純水、天然水、ミネラルウォーターなどさまざまな選択肢があります。調乳に適した水を選ぶ際に、気をつけたいのは水の硬度です。

「市販の水には、ナチュラルウォーター・ナチュラルミネラルウォーターなどの天然水、人工的な殺菌処理や浄水処理をしたミネラルウォーター、ボトルドウォーター、純水などがありますが、分類にかかわらず、硬度が120mg/l以下、できれば60mg/l以下のものであれば調乳に使用可能です。

WHOが定める基準では、硬度120mg/l未満が軟水、120mg/l以上が硬水であり、硬度が高いものは、カルシウム、マグネシウムなどが高く赤ちゃんの腎臓に負担がかかるため使用すべきではありません。下痢になってしまうこともあります。
国内の主要ミルクメーカーの調乳に適する水は硬度60~120mg/l未満となっていて、軟水であれば調乳に使用できますが、できるだけ硬度が低いほうがよいでしょう。
国内の水道水は、地域にもよりますが大体硬度が50〜60mg/lで、品質管理がしっかりされているので、安全性も高く安心して使用できます。しかし、井戸水は大腸菌や寄生虫などが食中毒を発症する恐れがあるので、使用しないようにしましょう」(工藤先生)

調乳には1度沸騰させた水を使用して

調乳に使用する水は、分類にかかわらず1度沸騰させてから使用してほしい、と工藤先生は言います。

「赤ちゃんの調乳に水道水を使用する場合は、微量に含まれる『カルキ』『トリハロメタン』を除去するため、10〜15分くらい沸騰させましょう。市販の赤ちゃん用の純水や、ウォーターサーバー(軟水)の水などを調乳に使用する場合も、いったん沸騰させたあとで70度以上温度を保ったお湯を使用したほうが安心です」(工藤先生)

最近ではウォーターサーバーや電気ポットなどを使用する家庭も多いでしょう。ただメーカーによって、沸騰しないで70度以上になるもの、沸騰してから70度以上になるものと、さまざまなようです。

「調乳用として明治で推奨しているのは、水道水を煮沸したお湯です。明治の粉ミルクは水道水を沸騰させたお湯で調乳したときに、母乳に近い栄養になるように作られています。必ず70度以上のお湯で調乳することを守ってほしいと思います。『100度では壊れてしまう栄養成分があるから、70度まで下げなければいけないの?』などの問い合わせをもらうこともありますが、沸騰した100度くらいのお湯で溶かしたとしても赤ちゃんの栄養摂取に不足がないように考慮した栄養設計をしているので、サカザキ菌の対策などの点からも70度以上のお湯を使用することが大切です」(林さん)

また、哺乳びんで調乳する際、溶かしたミルクの温度を調整するのに、湯冷ましや市販の赤ちゃん用の水を使用するのは問題ないとのこと。

「出来上がり量の2/3ほどのお湯を使って完全にミルクを溶かしてから、湯冷ましや粉ミルク調乳用の飲用水で温度調整することができます。
湯冷ましは、1回煮沸したお湯を清潔なふたつきの容器に入れて冷ましてから保管します。早めに使い切るようにしましょう」(林さん)

お話・監修/株式会社明治 林美有紀さん 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部

お話・監修/工藤紀子先生

腸が未発達な赤ちゃんを細菌感染させないためには、安全な水を使用した正しい調乳方法を守ることが大切です。毎日何度も行うことで大変ではありますが、かけがえのない命を守るためにも気をつけたいものです。

※出典:厚生労働省「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドラインについて」パンフレット

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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