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年中・年長さんになったら、楽しみながら体について知ることが大切。正解じゃなくていいんです【専門家】

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自宅で医者を演じる医師の制服を着た小さな男子生徒の手のクローズアップ、子供の学習、解剖学的身体器官モデルで遊ぶ - 選択的焦点
●写真はイメージです
yaoinlove/gettyimages

幼稚園や保育園などで、子どもたちが自分の体のことを教えてもらう機会は、実はそんなに多くはありません。なかには「一度も教えてもらったことがない」という子もいるのではないでしょうか。子どもたちが、体について学ぶ環境づくりを行う、NPO法人からだフシギのメンバーで、看護学博士の瀬戸山陽子先生に話を聞きました。瀬戸山先生は、東京医科大学 教育IRセンターで講師も務めています。

体のことを学ぶのは、小学校に入る前。未就学の時期に!

NPO法人からだフシギでは、教材も販売。写真の『からだTシャツ』は、臓器が面ファスナーつきで取り外せ、パズル感覚で遊びながら、臓器の位置や状態が学べる。只今、リニューアル中で、2023年から受注販売やレンタルを開始予定。

NPO法人からだフシギは、聖路加国際大学からだ教育研究会を母体として2014年6月に発足。経験豊富な医師、看護師、幼稚園教諭、保育士などのメンバーが集まり、5~6歳の子どもが体について学ぶ環境づくりをしています。5~6歳を対象にしたのは、理由があります。

「最初は“からだの話をみんなのものに”ということで、すべての人が体の基本的な知識を持つことを目指していました。しかし具体的な活動として、ターゲットを考えたとき“すべての人”では広すぎるので、子どもにターゲットを絞りました。
メンバーの間で子どもの対象年齢について話し合ったところ、たとえば私たちが“ママやパパの胸に耳を当てて、心臓の音を聞いてみよう”と言うと、小学生だと恥ずかしく思ってしまう子もいます。恥ずかしさから、悪ふざけをする子どももいるかもしれません。羞恥心は自然な成長発達ですが、体の話をするには、そうした羞恥心が芽生える前がいいと考えました。
また、もっと大事なこととして、5~6歳児は自分の体にとても興味関心があり、この年齢なりに、体のことをよく理解していることがわかったためです」(瀬戸山先生)

一方家庭で、体のことを教えるのは5~6歳にこだわる必要はないと言います。

「5~6歳前から、体のことをいろいろ伝えてもいいと思います。保育士をしているメンバーに聞いたところ、2~3歳でも、体のことについて話すと興味を示すそうです」(瀬戸山先生)

大切なのは正解を教えることではなく、楽しみながら体への興味を深めること

NPO法人からだフシギの教材には、体をテーマにした8系統の絵本も。なかでも『たべたもののとおりみち-消化器系-』は、子どもたちが興味を示しやすいと、幼稚園の先生などからも好評。

子どもに体のことについて教えるといっても、ママ・パパ自身「体のことってよくわからないから、子どもに教えられない」という人もいると思います。しかし、ママ・パパが先生役になって教える必要はないそうです。

「大人が自分の体について知るのは、健康診断や病気をしたときに、医師や看護師から聞くことが多いのではないでしょうか。ママ・パパ自身、体について学ぶ機会が少ないため“子どもに教えることができない”と思われてしまうかもしれません。

しかし大切なのは、子どもに正解や知識を伝えることではなく、一緒に体の話をしながら、体の不思議さや大切さを実感してもらうことだと考えています。ときには子どもから“なんで目の上に眉毛ってあるの?”“おしっこって何?”など、答えに困る質問も出てくるかも知れませんが、答えがわからなくてもいいので“〇〇くん、すごいね! よく気づいたね”と言葉をかけたり、“ママ(パパ)もわからないから一緒に調べよう”と提案してみましょう。そうしたやりとりをきっかけに、体への興味が広がると思います。
重要なのは、自分の体もまわりの人の体も、とてもよくできていて、どちらもとても大切だということが実感として伝わることだと思っています」(瀬戸山先生)

また子どもに体のことを話すには、医師や看護師などの専門家よりも、ママ・パパなどのほうが適任だと言います。

「NPO法人からだフシギでは、現在、幼稚園教諭や保育士、図書館司書の方などを対象に研修を行い、“からだ先生”の育成に努めています。しかし以前は幼稚園や保育園に私たちが行って、子どもたちに体をテーマにしたお話会をしていました。
お話会をしていて感じたのは、私たち(医療職)は体のことについては詳しいけれど、子どもたちに教えるのは、日ごろから子どもとかかわっているママ、パパ、幼稚園や保育園の先生たちのほうが適任だということです。

たとえばママやパパだと、食後に“今、食べたごはんって、どこに行ったのかな?”など、タイミングよく体の話ができますよね。子どもたちに伝えるときは、タイミングも大切です。タイミングよく体の話ができるのは、家庭ならではです」(瀬戸山先生)

体をテーマにした絵本やパズルを使って伝えよう

家庭で体について話すときは“楽しく”がポイントです。

「体の学び方には正解はないのですが、家庭では体をテーマにした絵本やパズルを使いながら、日常の中で体について話をするのがいいのではないでしょうか。絵本やパズルは、子どもが“手に取りたい!”と思ったときに、自由に手に取れるような場所に置いておくといいと思います。

また、NPO法人からだフシギでは絵本セットを出していて、その中に『おとこのこ おんなのこ-生殖器系―』というタイトルの絵本があります。性教育という呼び方もありますが、NPO法人からだフシギでは「生殖器系」も「消化器系」「循環器系」と同じ体の一部と考えています。生殖器系の話も、改まって話をするよりも日常的に消化器系や循環器系の話と同様に、気づいたときに自然に話ができるのがいいのではないでしょうか」(瀬戸山先生)

協力・写真提供/NPO法人からだフシギ 取材・文/麻生珠恵、たまひよONLINE編集部

お話・監修/瀬戸山陽子先生

紹介したNPO法人からだフシギの教材は、公式ホームページなどから購入できます。また改定前の旧・絵本シリーズは、聖路加国際大学学術情報リポジトリで公開しています。興味があるママ・パパは、チェックしてみてください。

NPO法人からだフシギ公式ホームページ

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

わたしのからだ

体をテーマにした幼児向けの絵本8冊セット。子どもに読み聞かせるときのポイントや補足情報などが盛り込まれた解説本付き。ぬれても破れない素材で作られている。聖路加国際大学からだ教育研究会作/2750円(NPO法人からだフシギ)

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