子どもの性教育 やったほうがいいこと・やらなくてもいいこと【ママ泌尿器科医】
ママであり泌尿器科医でもある岡田百合香先生の連載第24回。4才の長男にむし歯が見つかったことをきっかけに、子どもの性器のケアや性教育について、何がいちばん大切なのか、優先順位をつける必要性を感じたそうです。「お母さんのためのおちんちん講座」ママ泌尿器科医#24です。
4才の長男にむし歯が見つかり、ショック!
最近、ショックなことがありました。4才の息子にむし歯が見つかったのです。
3カ月ごとにフッ素と定期健診に通っていたため、ごく初期で発見できたのは幸いでしたが、「むし歯にさせてしまった」と落ち込みました。落ち込む私を見て、歯科医師の先生は「早く見つかったことはよかったことだよ。これから永久歯になる前に、正しいケアや食事について学べばいいんだから」とやさしく声をかけてくれました。
ちなみに、私も息子もこの歯科医院が大好き。医師も歯科衛生士もスタッフもみんなとてもていねいで親切で、歯医者への抵抗感がほとんどありません。お口の健康を保つために、よい歯医者さんを見つけられることは非常に重要ですね。
落ち込む私の気持ちが、楽になった言葉とは
さて、息子がむし歯になって、あわてて歯のケアに関する情報を探し始めました。「毎食後の歯磨きが大事」「おやつのあとにも歯磨きしたほうがいい」など、とにかく歯磨きは大事という情報がたくさん出てきます。
当然、朝食後にも磨ければ、それに越したことはないでしょう。でも、今のわが家の朝の状況(ワンオペで2人の子どもの準備をして保育園→仕事)において、「歯磨き」というタスクを追加することはかなりハードルが高い。すでに「もう早くして!」とイライラしたり大きな声を出してしまい、なんとか保育園に送り届けたあとは、「大人の都合でせかしてごめんね…」とへこみながら仕事に向かう日々。
そんな中、とある勉強会で歯磨きについて「夜の歯磨きをしっかりやっていれば、毎食後に磨かなくても大丈夫」「回数より、夜はしっかり仕上げ磨きまですること、食べる間隔を2時間は空けることが大事」という小児歯科医師の話を聞きました。「1日1回、夜の歯磨きに全力投球。食べる間隔を空ける。それならできる!」ととても楽になったのです。
子育てで“やったほうがいいこと”の優先順位づけはとても大切
子育てにおいて、「やったほうがいいこと」はいくらでもあります。でも、自分が使える時間、エネルギーは有限(個人差もかなり大きい)。どんなタスクに、どんな優先順位で取り組むか。時間・エネルギーの配分はどうするか。
その判断のために「やったほうがいいいこと」のレベル分けは重要です。
例えば
①絶対に!やったほうがいいこと
(例/子どもにとって危険のない部屋づくり)
②どちらかといえばやったほうがいいこと
(例/絵本の読み聞かせ)
③どっちでもいいこと
(例/おちんちんを洗うときに石けんをつけるかどうか)
これらは一律ではなく、子どもや家庭の状況によって変わってきます。食べもののアレルギーがある子は、安心な食事作りが①になるだろうし、皮膚が弱い子は肌ケアが①になるでしょう。
子どもの性器のケアや性教育で、絶対に必要なことは何か?
私は性器のケアや性教育についての情報を発信していますが、保護者が優先順位を決められるような提供のしかたを意識しなければと思いました。
たとえば、「プライベートゾーン」について子どもに伝えることは①の「絶対!やったほうがいいこと」、子どもが自分で性器を洗えるように促すのは②の「どちらかといえばやったほうがいいこと」、性器を「おちんちん」と呼ぶか「ペニス」と呼ぶかは③の「どっちてもいいこと」です。
朝の歯磨きが①なのか②なのかという情報は、私にとって、とても重要でした。①ならほかのことを削ってでもやるけれど、②ならやらない。ただし、子どもによってむし歯のなりやすさ(体質)も違うため、それで調子が悪ければ軌道修正も必要ですけどね。
そして、「やったほうがいい」かどうかにかかわらず、保護者や子どもが「やりたいこと」も大切です。「やりたいこと」に使う時間を確保するためにも、「これはやらなくても大丈夫」「ここまでは減らしても大丈夫」という引き算の情報を提供するのも専門家の大切な役目だなと思ったのでした。
文・監修/岡田百合香先生 構成/ひよこクラブ編集部
子どもの性教育で最も大事なことは、「プライベートゾーンについて伝えること」。子どもの性教育をしたいと考えているママ・パパは、あれもこれもと考えずに、まずはこれから始めてみてはどうでしょうか?次回も子どもの性や、性器、排せつ、性教育など、ママ・パパが気になるお話をお届けします!お楽しみに。
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