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白血病の始まりは「足が痛い…」というわが子の訴えだった。“治るまでずっと一緒におる”と誓った闘病生活【体験談】

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壮真くんの治療の様子(当時小学2年)

「足が痛い…」そうわが子が訴えてきたとき、その原因が※白血病だと考えられるママやパパはいるでしょうか?

「初めは仮病だと思ってたんです。当時習っていたラグビーの練習がイヤで“足が痛い”って言ってるんだろうって…」

大阪府在住の石嶋壮真(そうま)くん(13歳)は、3兄弟の長男。小学2年のときに急性リンパ性小児白血病を患い、約2年にわたる闘病生活を送りました。母親の石嶋瑞穂さんは、次男と三男を祖父母宅に預け、付き添い入院をした経緯があります。

その経験から、現在は病気や障がいのある子どもの外見やメンタル、その家族のケアの啓蒙活動をする『一般社団法人チャーミングケア』の代表理事としても活躍しています。

壮真くんの白血病判明から闘病中のこと、退院後の様子などについてお聞きしました。


※血液が作られる過程で白血球の一種であるリンパ球に異常が起こり、がん化した細胞(白血球細胞)が無制限に増殖することで発症する。(国立研究開発法人国立がん研究センターのサイト情報をもとにまとめたもの)


~特集「たまひよ 家族を考える」では、妊娠・育児をとりまくさまざまな事象を、できるだけわかりやすくお届けし、少しでも子育てしやすい社会になるようなヒントを探したいと考えています~

何度受診しても“問題ない”と言われていたのに、まさか…

入院中の壮真くん。「“なんでここにいなきゃいけないの”“いつ帰れるの、早く帰ろうや”ってイヤイヤが毎日続きました」(瑞穂さん)。

急性リンパ性白血病を発症したころの壮真くんは、足の痛み以外に症状が見当たらず、瑞穂さんは対処に困惑したと言います。

「整形外科を受診したんです。でも、何度診てもらっても、“問題ないですね”と言われて…」

ラグビー好きのパパの勧めで、壮真くんは兄弟3人で毎週末ラグビーの練習に通っていました。

「実を言うと、3人ともラグビーにそれほど関心がなかったんです。“足が痛い”っていうのも、練習に行きたくないから仮病を使っているんだろうって…」(瑞穂さん)

ところが、壮真くんは週末だけでなく、平日も足の痛みを訴えるようになります。

「次は“足が痛いから学校休む”と…。病院で何度も“問題ない”と言われていたし、いたって元気だったので、“ラグビーの練習に行きたくないからって、それを学校がある日にも引きずらんといて”って言ったんです。でも、なんか様子がおかしいなとは思っていました」

家庭でも病院でも“問題ない”と言われた壮真くん。その後の様子を尋ねると、
「登校はできても、体調が悪くて授業を受けられず、保健室で過ごすようになりました」(瑞穂さん)

ある日、保健室で微熱が出たことがあり、瑞穂さんは学校にあるお願いをします。

「学校のほうから病院に連れて行ってもらったら、別の見解が出るかもしれないと思ってお願いしたんです。何回か診てもらった整形外科を学校から受診したことで、医師が疑問を感じ、別の病院の小児科を紹介してくれました」

紹介先の小児科でも“問題なし”と診断を受けるも、まさかの事態が待ち受けていました。

「“ほら、(問題が)なんもないやん”って息子に言ったそばから、その場で“しんどい、しんどい”と言い出して…。急に熱が39度くらいに上がったんです。
そのあと、さらに詳しい血液検査やMRI検査、CT検査が追加されました。
検査を終えると医師から“いちばん近い病状であれば白血病です”と言われて、もうびっくりして…。
まさかこれほど大きな病気にかかっているなんて想像すらしていませんでした。

息子は“しんどい…”って訴えていたのに、私は病気に気付いてあげられなかった。申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

私が泣きながら“ごめんな”って息子に言うと、“まぁちゃん(瑞穂さんの呼び名)だけにはわかって欲しかった”って。
私は“治そうな、治るまでずっと一緒にいるおるから”と言いました」(瑞穂さん)

このあと、壮真くんは嫌々ながらも瑞穂さんと入院治療に入ります。
自身がどのような病気に罹患しているかは知らずに。

入院がイヤでかんしゃくを上げる息子に疲弊した日々

入院後、すぐに点滴治療が始まりました。

「1~2週間続けると、足の痛みは治まってきた様子でした」と瑞穂さん。
でも、入院を嫌がる壮真くんの思いを受け止めることに苦心したと言います。

「痛みがラクになってくると、“なんでここにいなきゃいけないの”“いつ帰れるの、早く帰ろうや”ってイヤイヤが毎日続きました。当然、院内学級も拒否です。

そもそも入院したくなかったので、“我慢して入院してやってるのに、いつまでここにおるんや、どうなってるんや”っていう気持ちだったんでしょう。その受け止めには本当に疲弊しました。でも、息子にはこんな大きな病気について到底受け止められないだろうと思い、抗がん剤治療に慣れるまでは、私も踏ん張って息子をなだめ続けました」(瑞穂さん)

治療が進んで病室が大部屋に移ると、壮真くんは入院中の子どもたちのママから、がんに関するさまざまな話しを耳にします。

「髪の毛が抜けていたり、顔がむくんでいる子たちを見て、“●●ちゃんって何の病気なん?”ってあるお母さんに聞いたようで、“がんやで“って言われたみたいで…。

ある夜、息子は小声で“なあなあ、子どもでもがんになるの?”って私に聞いてくるんです。 “●●ちゃんな、がんやねんで。オレもちょっといま見た目が似た感じになってきてるやんか?子どもはないやんな?(がんにはならないよね)“って」(瑞穂さん)

壮真くんは、祖父を肝臓がんで亡くしていて、がんは怖い病気という認識があったそうです。

「“がんは大人だけの病気やんな。おじいちゃんだけやんな”と。私はひとまず“そうやな”って答えたんですが、がんを患うお子さんと似た外見になってきている息子に、嘘をついていたらよくないなと思いました」(瑞穂さん)

壮真くんの入院先には、子どもが病気とうまく付き合えるようにサポートする『チャイルド・ライフ・スペシャリスト』がいましたが、まだ壮真くんと良好な関係性が築けていない状況でした。そのため、病院に了承を得て、瑞穂さんが壮真くんに病気の告知をします。

治療するかしないかはわが子にゆだねて

がんを患う子どもの中には、病気のことを告知せずに治療するケースもあると言います。瑞穂さんはほかの子に配慮し、大部屋から個室に移るタイミングで壮真くんに病気の告知をしたそうです。

「入院して3ヶ月くらい経ったころ、“実はがんなんやで。壮真の体は治療しないと死んでしまう状態になってるんや“と、私の知り得るすべてのことを話しました。詳しい治療方法などもすべてです」(瑞穂さん)

初めは“えっ”と衝撃を受けた様子だったという壮真くん。でも、冷静に話しを聞いていたそうです。

「“治りたいなら腰を据えて治療せなならん。でも、命ってほかの人と変われるものじゃないから、治療するかしないかの選択権は壮真にあると思う。
治療がイヤなら、治療を止めてもしかたがない。でも、まぁちゃんは壮真に治ってほしいねん。どんな病気にかかっているかってことは、子どもであってもきちんと伝えなならんと思うから話しているねんけど、どうする?“って」(瑞穂さん)

壮真くんの反応はどのような感じだったのでしょう?
「“それは(治療を)やらなあかんな”って言ってました。しっかり話しをしたことで、なぜ入院が必要なのかが腑に落ちたんだと思います」

このとき、壮真くんからある要望があったそうです。

「“薬を使うときや検査をするときは、何をどんな風に使うのか、何のためにやるのかをちゃんと説明してほしいねん“と言われました。
これまでの息子は、イヤなことがあると“ウワーッ”とかんしゃくを上げるような子でした。でも、入院生活を経験して、それをしても何も解決できないことがわかったみたいです」(瑞穂さん)

告知後の壮真くんは、自分の気持ちを言葉で表現するようになったと言います。

「治療で使う薬や点滴に疑問があると、”この薬はどういう副作用があるの?”などと、よく質問するようになりました。看護師さんでは対応しきれず、薬剤師さんが説明してくれたこともありましたね(笑)」(瑞穂さん)

付き添い入院中は、親子でいろいろな話しをしたそうです。
「親子で言葉の表現合宿をしているようでした(笑)。このときの親子の会話の一コマが、私の活動の原点なんです。入院生活は大変でしたが、気づきのある、有意義な時間でもありました」

兄の病気に理解を示す弟たちの姿に感銘。「子どもってすごい!」

一時退院して自宅に戻ったときの壮真くんと弟たち。

壮真くんには年子の弟が2人いて、一時退院するまでの3ヶ月間は、ずっとパパの実家で過ごしたそうです。当時幼稚園の年長と年中だった弟たちはどのように過ごしていたのでしょうか。

「今はかなり家事や育児に協力的な夫ですが、当時は私任せのタイプだったので、弟2人はずっと夫の実家に預けっぱなしでした。
三男は楽観的なタイプ。次男は幼いながらもかなりしっかり者で、ある日、私に電話をしてきたんです。

“もう、(祖父母宅は)しんどいねん。自分の家で自分の布団で寝たいねん”って。

このときは、まだ長男に病気の告知をしていませんでした。だから、“壮真は自分が大きな病気にかかっていることを知らんねん。まず壮真に話してから2人にも話すから、ちょっと待ってな“と伝えて、なんとか一時退院の日までしのいでもらいました」(瑞穂さん)

一時退院が決まり、瑞穂さんは壮真くんの病気のことを2人の弟に話します。

「事情を説明すると、次男はワンワン泣き出して、“そうやったんや。それはあかんわ。壮真についててあげて”と言うんです。そして、“もっと早よう言うてくれんと”って。

もちろん、私もそう思っていました。でも、3人ともまだ子ども。病気のことを受け止められないんじゃないかと不安だったんです。

でも、長男は逃げずに病気と闘っているし、次男と三男も不自由な現実を受け入れて兄を気遣っているし…。子どもの力ってすごいなとしみじみ思いました」(瑞穂さん)

『きょうだい支援』のサービスを活用。家族で病と闘う

『チャイルド・ケモ・ハウス』で過ごす、壮真くんと弟たち。「兄を気遣って気持ちを抑えていた弟たちも、ここで過ごすようになってからは普段通りの様子に」(瑞穂さん)

「告知後、次男は私の前でも夫の実家でもお利口で、それが逆に心配でした。2人とも我慢ばかりで、負担がかかっているんじゃないかと気がかりで…。何とかしないとって」(瑞穂さん)

『きょうだい支援』というサポートがあることを知った瑞穂さんは、支援活動をする方に相談します。

「重い病気の子が家族と一緒に過ごしながら治療できる施設があると教えてもらいました。『チャイルド・ケモ・ハウス』という施設で、長男の治療の目途がついてから利用しました」(瑞穂さん)

施設で過ごす2人の弟の様子を尋ねると、
「自分の気持ちを抑えていた次男も、ポツリポツリと意見を言うようになりました。長男に遠慮して極力ケンカもせず、暴言も吐かなかったのですが、施設で過ごしてからはケンカも暴言も普段どおりに。なんだかホッとしました」(瑞穂さん)

退院後の復学は家族だけでは支えきれない

壮真くんの入院治療は1年間。さらに退院後1年間は、抗がん剤の服薬を続ける必要がありました。
病気の回復期にある子どもなどが復学するとき、自治体や学校などからの積極的な支援はあったのでしょうか?

「私のほうから学校に働きかけて、生活や学習のこと、心と体のケアなど、いろいろと相談に乗ってもらいました。さまざまな方にご協力いただいたおかげで、無事に復学できましたが、家族だけではうまくいかなかったかもしれません」(瑞穂さん)


後編では、退院後の壮真くんやご家族の様子、瑞穂さんが代表理事を務める『チャーミングケア』誕生のきっかけや活動内容などをお届けします。


取材・文/茶畑美治子

取材協力・写真提供/一般社団法人チャーミングケア

一般社団法人チャーミングケア 代表理事 石嶋瑞穂さん

写真右は長男の壮真くん

1978年生まれ。大学卒業後、広告代理店などを経て制作会社のネットベンチャー事業に従事。29歳で子宮頚部異形成発症し手術。その後結婚。2011年、切迫早産となり妊娠8ヶ月で長男の壮真くんを出産。低出生体重児、心疾患治療のため1ヶ月間NICUに入院、手術を経験。2010年に次男、2012年に三男を出産。7年間の専業主婦を経てフリーランスとして企画事務所を設立、2016年に開設したショッピングサイト「マミーズアワーショップ」運営を経て、一般社団法人チャーミングケア設立。現在に至る。
受賞歴は2017年「J300アワード特別賞」、2018年「大阪商工信金社会貢献賞」、「第2回日経ソーシャルビジネスコンテストファイナリスト選出」など。


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