欧米で定番の「ネントレ」挑戦してもいい? 効果はある? 【米国IPHI公認・乳幼児睡眠コンサルタント】


「赤ちゃんのねんねで悩んでいることはありますか?」というたまひよONLINE編集部のアンケートに、ママ・パパからたくさんの声が届き、その一つが「欧米式のねんねトレーニング(ネントレ)」でした。赤ちゃん自身の“寝る力”を育てる方法として話題です。欧米では定番のようですが、やり方や効果に疑問があるママ・パパも。いわゆる欧米式のネントレとはどんなことなのかや、チャレンジすることの注意点を、ねんねの専門家愛波文さんに聞きました。
ネントレってよく聞くけれど、どうするの? やってもいいの?
たまひよONLINE編集部がインターネットで実施したアンケートには、ネントレが気になるという声がいっぱい! そのいくつかを紹介します。
「外国の寝かしつけでは、『幼いときから夜中1人で寝させる。泣いても、よっぽどのことがない限り、朝までほったらかしにする』とママ友に聞きました。調べてみるとネントレというものがあるそうですが、本当にしてもいいのか心配です」(生後1カ月の赤ちゃんのママ)
「夜中に泣いたときは抱っこしています。欧米では『安全が確保できているのなら、赤ちゃんが夜中に泣いていても様子を見る』ネントレをする人が多いと聞きます。欧米での習慣やネントレのやり方、メリット・デメリットを教えてほしいです」(生後4カ月の赤ちゃんのママ)
ネントレの具体的なやり方や、メリット・デメリットが気になる人が多いようです。
いわゆる欧米式ネントレは、「エクスティンクション」と呼ばれるメソッドのこと
――ネントレとはどんなものでしょうか?
愛波文さん(以下敬称略) ネントレとは、ねんねトレーニングの略でさまざまな種類があります。
「欧米式のネントレ」というと、「おやすみと言って、赤ちゃんをベビーベッドに寝かせたら、親はそのまま部屋を出て、赤ちゃんが泣いていても部屋には入らず1人で寝かせる方法」をみなさんは思い浮かべると思います。
これは、欧米では「エクスティンクション」というメソッドです。
赤ちゃんが1人で寝るようになるのがほかのメソッドと比べて早いのがメリットです。
ただ、このメソッドに挑戦することで、赤ちゃんが泣いている間に不安が大きくなり、「こんなことをして、本当に大丈夫なのか?」と心配するママ・パパも少なくないです。親が「子どもを放置している」という罪悪感を感じてしまうことが多いのはデメリットでしょう。
「エクスティンクション」は、子どもが泣いても前向きにとらえられる親に向いています
――「エクスティンクション」メソッドは、どんな赤ちゃんに向いているのでしょうか?
愛波文 このメソッドに向いているのは、睡眠の土台が整っている子です。この土台についてはあとで説明しますが、土台がしっかり整っていれば、挑戦中に泣いても大丈夫。また、親がそばにいると興奮して、逆に激しく泣いてしまう子に向いています。
一方で、挑戦中に泣きすぎて吐いてしまう子は向かないと思います。欧米では、「泣いて吐いても、シーツやパジャマを替えて、淡々とやり直せばいい」といわれていますが、私自身それを自分の子にすることはできなかったので、おすすめしていません。
吐いてしまった場合は、違う方法または少し時間をおいてから再度トライするようアドバイスをしています。
――それでは「エクスティンクション」メソッドは、どんな親に向いているか教えてください。
愛波文 このメソッドに向いているのは、赤ちゃんの睡眠の土台が整っていて、自信をもってメソッドに取り組めるママ・パパ・保育者です。
子どもの泣きを前向きにとらえられる人に向いています。
また、とにかく親が疲弊していて、赤ちゃんのねんねを早く改善をしたいと思っている人にもいいでしょう。
一方で、赤ちゃんが少しでも泣くのなら耐えられないという親・保育者には向いていません。
睡眠の土台として①睡眠環境 ②日中の睡眠(昼寝) ③ねんねルーティンを整えましょう
――「エクスティンクション」メソッドに挑戦するときに大切な、「睡眠の土台」について教えてください。
愛波文 「睡眠の土台」とは、
①睡眠環境
②日中の睡眠(昼寝)
③ねんねルーティンを整えることです。
①睡眠環境を整えましょう
室温:20~22度を目安に、季節に合わせて調整をします
服装:下着+ロンパース(パジャマ)+スリーパーがおすすめ。
光:照明は消して、真っ暗に。しっかりと遮光をすることが大切です。
安全:ベビーベッドはいちばん安全な寝床です。
ベビーベッドには掛け布団や枕は窒息の原因になるので使わないでください。
➁日中の睡眠を整えましょう
昼寝が必要な月齢の場合、しっかりと昼寝をすることが大事です。月齢によって変わりますが、起きていられる時間を確認し、活動時間をオーバーしないように昼寝をしっかりさせてあげましょう。昼寝のときも部屋は真っ暗にすることが大事。
③ねんねルーティンを決めましょう
毎日寝る前に同じルーティン(入眠儀式)を行いましょう。毎日一貫性を持ってルーティンを行うと就寝時間を教えることができる、ねんねトラブルが少なくなる、子どもをリラックス&安心させることができることが科学的に証明されています。ぜひ今日から試してみてくださいね。
睡眠の土台を1週間ほど整えてから、ネントレを試してみてください。睡眠の土台が整っていると、親が自信を持ってネントレに挑戦でき、一貫性をもって続けることができます。その結果、効果が早く出やすくなり、成功率が上がります。
月齢別におすすめのスリーパーを紹介します
睡眠環境を整える上で、布団や服装は重要。「掛け布団は不要で、スリーパーを使うのがおすすめです」と愛波文さん。愛波文さんのおすすめのスリーパーを紹介します
新生児~6カ月におすすめ!
「毎日同じスリーパーを着せることで、においがつき、安心して眠りやすくなります。」
愛波おくるみスリーパー
6カ月~1才ごろにおすすめ
「寝る前のルーティンの最後にスリーパーを着させるといいでしょう」愛波スリーパー
1~2才ごろにおすすめ
「バッグタイプのスリーパーにすることで歩き回ることができません。寝る合図になり効果的」愛波スリーパーL
2~4才ごろにおすすめ
「掛け布団をけってしまい、繰り返し掛けなおしをしないといけないと親が大変。なので、掛け布団は使わずに、足つきスリーパーのみでOKです」愛波足つきスリーパー
お話/愛波文さん イラスト/うえだしろこ 取材・文/たまひよONLINE編集部
ネントレにはいろいろな種類がありますが、その一つとして「エクスティンクション」メソッドについて教えてもらいました。
「今回は一番効果が出るのが早い『エクスティンクション』メソッドを紹介しました。
『エクステンション』以外のネントレもあります。もっとやさしいメソッドもあるので、機会が合あったらまた紹介しますね」と愛波文さん。
赤ちゃんのねんねを改善する方法はさまざま。いろいろなメソッドの中から「わが家に合う方法」を見つけましょう!