子どもが夜中に突然「むし!」と叫びながらパニック状態に・・・【熱せん妄体験談】
インスタグラムやブログで育児漫画を発信しているミロチさんは、長女のつむさん(4才)、長男のいとくん(2才)、パパの4人家族です。2才のいとくんが1才10カ月で“熱せん妄”を起こしたとき、あまりに不安で怖い体験だったため漫画にしてインスタグラムに投稿したそうです。ミロチさんが体験した、いとくんの熱せん妄の様子について詳しく話を聞きました。
深夜に突然起きて、見えない虫を怖がりパニックに
――いとくんが熱せん妄を起こしたときの、熱などの様子について教えてください。
ミロチさん(以下敬称略) 2022年8月のことでした。そのころいとくんは1才10カ月で、保育園から発熱したと連絡があったので迎えに行きました。保育園から発熱すると新型コロナウイルスの抗原検査を受けるように指示されているので、すぐに小児科を受診して検査を受け、結果は陰性でした。小児科では風邪だろうとのことで、抗生物質と風邪症状の薬と解熱剤を処方されました。
いとくんは夜20時ころに寝ましたが、そのときは40度くらいの熱がありました。そして深夜1時半から急に泣き叫び始めたんです。
――どんなことを泣き叫んでいたのでしょうか?
ミロチ まだ言葉がはっきりしゃべれない時期だったので、「うし、うし(虫)」と言いながら、追い払うようにしてパニックになっていました。足のほうから登ってくる虫を払うようなしぐさもありました。私もいとくんの様子に驚いたけれど「大丈夫だよ」と声をかけながら、抱っこして体をさすってあげ、なんとか落ち着かせようとしました。
でも、抱っこをする私の指も虫だと思ったようでパニックになるので、指が当たらないように手首のあたりで抑えるように抱っこをしていました。
――パニックはどのくらい続きましたか?
ミロチ 30分くらい続いていたと思います。寝室に虫がいるのかな、と思いリビングに移動したんですが、リビングでも虫が見えたようでした。「大丈夫?」と聞くと「うん」というもののビクビクしながら、周囲をキョロキョロして、虫がいないか警戒している様子でした。リビングで私はいとくんを抱っこして、立ったり座ったりしながらなだめ続けました。
――そのとき意識ははっきりしている状態だったのでしょうか?
ミロチ はい。しっかりと言葉で会話ができる月齢ではないのですが、私の問いかけにはちゃんと返事をしていましたし、はっきり起きていました。
あまりの騒ぎにお姉ちゃんのつむさんとパパも起きてきたので、いとくんの様子を見るためもあり、テレビで大好きな子ども番組の録画をつけたりしながら、3時間くらい家族みんなでテレビを見て過ごしました。いとくんはずっと虫のことを怖がっていましたが、明け方4時半ころに疲れ果てて眠った、という感じです。家族みんなが寝不足になってしまいました。
高熱が出たときは目を離さないように
――ミロチさんはいとくんのパニックの様子に心配だったと思います。いとくんの症状について調べたりしましたか?
ミロチ あまりにパニックになっている様子に、脳に異常があるのか、何かほかの病気があるんじゃないかと心配で、リビングで抱っこをしながら「子ども 高熱 幻覚」などのキーワードでネット検索したんです。
すると「熱せん妄」という言葉にたどり着きました。症状を見ると、「虫が見える、と怖がる」「パニックになる」などいとくんの状態が当てはまるので、きっと熱せん妄なのだろう、と思いつつも、とても心配でした。
また、私には見えないものに対してずっと怖がっているので、心霊的な怖さも感じました。
――翌日はいとくんはどんな状態でしたか?
ミロチ 翌日は熱は続いていたものの、虫は見えなくなったようで落ち着いていました。翌日は前夜のことを覚えていて「虫いたね」といとくん自身から前夜のことを話していましたが、それ以降は虫のことはまったく言わないので、忘れているんだと思います。
――小児科は受診しましたか?
ミロチ はい。小児科の先生からは、熱せん妄は頻繁にあることではないけれど起こす子もいるから、今後同じようなことがあったら、パニックになって行動して何かにぶつかってけがをしないように、周囲に危ないものがないか気をつけること、もし異変があったらすぐに連絡するように、と言われました。
――その後、発熱時に気をつけていることはありますか?
ミロチ 子どもが熱を出して38度を超えたときには、1人にしないように、目を離さないように気をつけています。私か夫かどちらかが必ず交代して子どものそばにいるようにしています。
いとくんは風邪をひいたりするとパッと高熱が出やすいタイプです。1才半ころから2才の今までの間に3回ほど熱性けいれんを起こしていて、けいれんも起こしやすい体質のようです。そのため高熱が出そうだな、と思ったら、解熱剤を早めに飲ませたり、何か起きたときすぐに対処できるように気をつけています。
コロナ禍では救急に連絡しても発熱していると対応できないと言われることもあるようなので、少しでも様子がおかしいと思ったら救急車を呼ぶことも考えていいのではないかと思っています。
【黒澤照喜先生より】けがをしないよう注意しながらあわてずに対応を
いろいろ大変な思いをされましたね。熱せん妄は夜暗い中で起きることが多く、お子さんの急変に恐怖を覚えることは多いと思います。熱せん妄はけがさえ起きなければ命にかかわったり後遺症を残すことはありません。まずはあわてないこと、そのうえで心配なことがあれば救急外来に電話をして受診が必要か相談するのもいいと思います。
お話・イラスト/ミロチさん 監修/黒澤照喜先生 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部
子どもが高熱やパニックになるとあわててしまいますが、熱せん妄の症状について知っておくだけでも、いざというときの心の準備ができるのではないでしょうか。
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
ミロチさん
PROFILE
つむさん(4)いとくん(2)の2児のママ。インスタグラムやブログで家族漫画などを発信。