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小4でNFTアーティストとして活躍する長男、興味を持ったのは1冊の本がきっかけに。AI時代を生きる子どもの力の伸ばし方とは?【アーティスト草野絵美】

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iPadを使ってドット絵を作成する長男。Zombie Zoo KeeperのNFTアートは世界中のコレクターに人気。

10才と1才のきょうだいを育てるママで、起業家・アーティストとして活動する草野絵美さん。小学4年生の長男はNFTアーティスト Zombie Zoo Keeperとしても活躍しています。子どもの知的好奇心の種を見つけ、伸ばすためにできることについて、草野さんに聞きました。

子どもの興味をキャッチして、いろんな角度から深掘りする

――知的好奇心を高めることで、行動力が身についたり、学力がアップしたりと、子どもの将来の可能性が広がる、と注目されています。草野さんも子育てで子どもが興味を持つもの、ハマるものを探すことを大切にしているそうです。日ごろ、子どものどんな様子から興味を持つものを見つけていますか?

草野さん(以下敬称略) 小学4年生になった長男の小さいころを思い返してみると、好奇心のシグナルがたくさん見えた時期は、3〜5才くらいのころだったと思います。そのころ、2週間に1回、近所の図書館に行って、夫、私、子どもで6冊ずつの合計18冊を選んで借りていました。息子は自分の興味のあるものを選び、私は長男になんとなく興味を持たせたいものを選んで、借りた本を毎晩読み聞かせていました。

当時、妖怪ウォッチがはやっていたこともあり、長男は神話や妖怪などに興味を持ち始めました。そこで、妖怪ウォッチのどんなところを面白く感じているのかなと、彼にインタビューしたんです。彼の興味をもとに「『ゲゲゲの鬼太郎』ってアニメもあるよ」「妖怪は100年以上前の江戸時代から描かれていたんだよ」「妖怪は世界中にいて、モンスターやトロールと呼ばれるものもあるよ」「世界のモンスターと妖怪はこんな共通点があるよ」などと、図書館で関連する本を借りて一緒に読んだり、彼の興味に関係する情報を自分でも勉強し、その情報をいろんな角度から彼に伝えることで興味を深掘りしました。

当時は毎日違う本を読み聞かせて、年間400冊くらい読んだと思います。子どもだけでなく、自分の知識も広く深くなり、自分にとってもインプットになる時間でした。

――子どもがとくにこんなことに熱中しているな、という様子はどんなふうにキャッチしますか?

草野 どんな本にいちばん関心を持つかということや、時間を忘れて集中して取り組んでいるのはどんなことかを見るようにしています。そして、子どもが興味を持っていることに関連する本やアニメやアプリなどのコンテンツを与えてあげると、本人の興味関心をより伸ばしてあげられることにつながるんじゃないかと思います。

それがアンパンマンやトーマスでもいいと思います。アニメでも、夢中になったり好きになれるものがあるって幸せなこと。「パン屋さんにはアンパンマンに出てくるパンはあるかな?」「どうしてアンパンマンは困っている人を助けるのかな」など、何か深掘りできる切り口を探して、一緒に考えると親も楽しいですよね。

でも子どもの興味ってすごく流動的です。あんなに大好きだったはずのアンパンマンにも、ある日突然飽きたりしますよね。本人がやりたいといった習い事も、急にやる気がなくなってしまうこともあるでしょう。子どものころから1つのことに打ち込んでプロになる、という人はすごくまれだと思いますから、子どもが興味を持たなくなっても続けさせる必要はないのかな、と思います。ほかのこともいろいろと試してみると、何か子どもが熱中するもののヒントが見つかるのではないでしょうか。

長男とNFTアートとの出会い

新型コロナウイルスを理解するために、マンガ『はたらく細胞』を読んだことがきっかけで、細胞のモデルの工作にハマった長男。親子で一緒にさまざまな細胞や菌のモデルを工作。

――2021年夏ごろ、草野さんの長男が「Zombie Zoo Keeper (ゾンビ飼育員) 」として、NFT(※)を使って制作したゾンビのドット絵の作品が、NFTのマーケットプレイス「Open-Sea」で高額取引され話題になりました。「Zombie Zoo Keeper」の活動のきっかけはどんなことでしたか?

草野 もともと私がNFTに興味があり、食事のときにNFT関連のニュースなどの話題を子どもにわかりやすくかみ砕いて教えたりしていました。それで長男も「NFTアート」という言葉に興味を持ったようです。同時に、長男は絵を描くことが好きで、何かを作って発信して、売ってみることに興味を持っていました。そこで、ちょうど夏休みの宿題として取り組んでみたことがきっかけです。絵を描き始める前に、どんなふうに活動するかを2人で1時間ほどブレインストーミングしました。

当時NFTアートは日本でそれほど普及していなかったので、海外マーケットを視野にNFTマーケットプレイス「Open- Sea」を見て一緒にトレンドを分析しました。「どんなテーマなら競争相手が少なそうか」「動物をゾンビにするのはどうかな」「テイストはドット絵にしよう」などと長男と話し合い、「Zombie Zoo Keeper 」が生まれました。彼の作品は海外のインフルエンサーなどが購入してくれ、大きな話題になりました。その結果個展を開催したり、アニメ化プロジェクトなども始動しました。

――親もどういう戦略を練るかといった知識が必要ですね。

草野 そうですね、私自身もNFTに興味があって、自分のもともとあった作品をNFT化したことがあったので、一緒に考えられたと思います。私の場合はNFTだったわけですが、人によってスポーツ・料理・工作・昆虫とか・・・それぞれの趣味や専門分野があると思います。その楽しさを子どもに発信して、子どもも興味を示したのであれば巻き込んでみるといいと思います。子どもと親の興味のかけ算になることが見つけられると、お互い楽しみながら興味を伸ばせるんじゃないでしょうか。

逆に、私が好きな美術館に誘っても長男は「行きたくない」というときもあります。長男は城が好きなんですが、その分野は私よりおばあちゃんが得意。長男が城に行きたいときは、歴史好きのおばあちゃんに一緒に連れて行ってもらっています。

(※)画像や音楽などのアート作品に、唯一無二のデジタル証明書をつけることのできる技術「NFT(ノン・ファンジブル・トークン、非代替性トークン)」

勉強嫌いにさせない工夫

――草野さんは認知能力といわれる、勉強についてはどう考えていますか?

草野 勉強以外の本人の興味関心を伸ばすことも大事ですが、認知能力を高める勉強をすることも将来の選択肢を広げるために大切なことだと考えています。できるだけ苦手意識なく取り組んでほしいと思っています。

勉強で得意不得意があるのは自然なことだと思います。ただ、苦手だからと無理に練習させたり、「あなたはこれが苦手だよね」と親が言ってしまうと、子どもの意欲をくじいてしまうと思うし、「英語は苦手だから無理」というふうに挑戦から遠ざかってしまうと思います。

長男が苦手なことには、長男に合った勉強のしかたを取り入れるよう工夫しています。漢字が苦手な様子だったので、漢字の書き順が覚えられるアプリを取り入れたりと、身につける手段を工夫して、勉強嫌いになったり、勉強することをあきらめたりしないようにできればと思っています。

――宿題などはどんなふうに取り組んでいますか?

草野 本人と相談して、学校に行く前と夕食の前後を勉強の時間にし、リビングで行っていました。毎日、ホワイトボードに「宿題」「漢検対策」「チャレンジ」などと、タスクを書き出しておいて、1つ終わるごとに消す方法でルーティン化しています。「チャレンジ」は1年生から3年生までやっていましたが、勉強をやる気になる漫画などがあって取り組みやすかったようですし、「Challenge English」というオプション教材を利用してすごくボキャブラリーが増えました。

AI時代を生きる子どもたちの未来は?

11月中旬、Airbnbの別荘を借りて家族で箱根旅行へ行ったときに撮影。

――これからのAI時代を生きる子どもたちのために、親がWeb3.0やNFTなどについても知っておくべきでしょうか。

草野 そうですね、ツイッターやフェイスブックはWeb2.0時代のサービスで、「次世代インターネット」ともいわれるWeb3.0では、NFTやメタバースなどどんな新しい可能性があるのか、となんとなく情報をつかんでおくことは必要かなと思います。

今の時代の子どもたちは、Z世代の次のα(アルファ)世代といわれています。小学生の子どもたちはマインクラフトやフォートナイトといったメタバースゲームの仮想世界で待ち合わせして遊び、仮想空間に自分たちの世界を作っています。こういった子どもの遊びに親も興味を持つことが、メタバースなどのニュースを理解する一助にもなると思います。

また、この子たちが大人になったらどんなSNSがはやるだろう、と考えると、もしかしたらそこに新しいビジネスチャンスが生まれるヒントがあるかもしれない。そういう面で子どもを観察することも、子育てを楽しむ1つのコツになるかもと思います。

――たとえばこれから30年後の未来は、どんなふうになっていると思いますか?

草野 クリエイターが中心の未来になると思います。今、ハリウッド映画などで使われているようなVFXとかCGを、子どもが自分のコンピューターでどんどん作っていることでしょう。すでに、α世代の子どもたちがクリスマスに欲しいものには、オンラインゲームのスキルや武器などを買うためのプリペイドカードなど、バーチャルアイテムが増えていると感じています。
30年後は間違いなく今よりもバーチャルとフィジカルが境目のない世界になっていることでしょう。

お話・写真提供/草野絵美さん 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部

「子どもと一緒に過ごす時間で、子どもの興味のあることを親自身も楽しみながら学び、アップデートすることを心がけている」と草野さんは言います。親のそんな姿を見せることも、子どもの知的好奇心を伸ばすことにつながるのかもしれません。

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

草野絵美さん(くさのえみ)

PROFILE

1990年東京生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業。株式会社Fictionera代表取締役。アーティスト、東京藝術大学非常勤講師、Satellite Youngボーカルなど多彩に活動する。10才と1才のきょうだいのママ。長男はZombie Zoo Keeperの名前でNFTアーティストとして話題となった。NFTプロジェクト『新星ギャルバース』ではクリエイティブディレクションを担当。

草野絵美公式サイト

Twitter:@neokosodate

『親子で知的好奇心を伸ばす ネオ子育て』

デジタルネイティブ世代の著者がまとめた、不確実性の高い現代の「新しい子育て論」。子どもが集中している「フロー状態」を見極め、好き・得意を伸ばす方法や、YouTubeやiPadアプリを使った勉強方法などを解説。親自身が子育てを楽しみながら、アップデートするためのヒントも。草野絵美著/1540円(CCCメディアハウス)

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