乳幼児がいる家庭では、おふろの残し湯はしないのが基本。浴室のドアもしっかり閉めて【小児科医】
小児科医として、長年ママ・パパと赤ちゃんを支えてきた陽ちゃん先生。今回のテーマは“自宅の浴室の事故防止”について。陽ちゃん先生がママ・パパに伝えたいこととは―――?
赤ちゃん、ママやパパにいつもやさしく寄り添う陽ちゃん先生こと、小児科医の吉永陽一郎先生が、日々の診療を通しての印象深いできごとをつづります。先生は育児雑誌「ひよこクラブ」でも長年監修として活躍中です。「小児科医・陽ちゃん先生の診察室だより」#41
おふろのドアは「開けておく」「閉めておく」どっちが危険?
ある日のこと、2才の男の子のママからこんなことを言われました。
「先生、私ね、家ではいつもおふろのドアを開けっぱなしにしているの」
どういうことか詳しく聞いたところ、「万が一、目を離したすきに2才の子が浴室に入っておぼれてしまっても、ドアが開いていれば音で早く気がつけると思うから」ということでした。
私は「お母さん、それは危険だから、今すぐやめてください」と言いました。
子どもたちは静かに、音を立てずに溺れるもの
乳幼児は、私たち大人が踏むと簡単につぶれるようなものでも踏み台にして浴槽に落ちることがあります。
浴槽に湯が入っていなければ、転落してけがをする可能性がありますし、浴槽に湯が張られた状態ならおぼれる危険性があります。
家族全員が入ったあとは、浴槽のお湯を抜く家庭が多いことでしょう。でも、これから入浴をする家族の帰りを待っているときなどは、浴槽に湯をはった状態が数時間続くこともあるでしょう。また、防災の観点から残し湯をしておくことを習慣にしている家庭もあるかもしれません。
浴槽の湯に落ちた場合、落ちる音は小さいですし、子どもは悲鳴をあげたりはしません。バシャバシャあばれることもありません。
子どもたちは静かに、音を立てずにおぼれます。おぼれかけている音に気づこうと、浴室のドアを開け、大人が隣の部屋にいても、気づくことは難しいです。
浴槽に湯が張ってある・ないにかかわらず、子どもが1人で簡単に浴室に入ることができないように、ドアはしっかり閉めておくべきなのです。
子どもがおぼれる場所は、自宅のおふろがもっとも多い
子どもがおぼれる場所は、自宅のおふろがもっとも多いです。親が一緒に入っているときでも、目を離したすきにおぼれることがあります。
家族でおふろの危険性を確認してください。子どもが1人で浴室に入ることのないよう、ドアをしっかり閉める、必要ならチャイルドロックを取りつけるなどの対策を徹底しましょう。
乳幼児は水深が5cmもあれば、おぼれる可能性があるといわれています。乳幼児のいる家庭では、残し湯は避けたいもの。防災の観点から残し湯をする場合は、さらにしっかり対策をしてください。
文・監修/吉永陽一郎先生 構成/たまひよONLINE編集部