ランドセル選びのピークは4~6月。見落としがちなポイントは?試着時はここをチェックして【2024年入学のラン活にアドバイス】
「ラン活」という言葉を知っていますか? ラン活とは、小学校入学前にランドセルを選ぶ活動のこと。上履きや文房具などをそろえる、いわゆる入学準備は入学直前にすることが多いのに対し、ラン活のピークは、一般的に小学校入学前年の4~6月ごろ。ランドセルは受注生産方式をとっているメーカーが多く、注文が入ってから生産を始めます。そのため、入学直前だと購入できるモデルが限られてしまうのです。2024年4月入学の子にとって、まさに今がラン活のピークのタイミング。少子化の影響や、インターネットやSNSで人気のモデルが話題になるなど、年々ラン活がヒートアップしているともいわれています。そんなラン活はどう進めたらいいのでしょう? 日本百貨店協会の認定の百貨店ランドセルアドバイザーの資格を持つ、高島屋のランドセル担当バイヤー・野中直人さんに、ランドセルの選び方の基本について聞きました。
まずは情報収集。できれば、小学校で使う教材の情報も
――ランドセルのメーカーや種類が多くて、どのように選べばいいかわかりません。ラン活は、何から始めればいいでしょうか?
野中さん(以下敬称略) まずは、ママ・パパが情報を集めましょう。ランドセルメーカーは毎年新しいモデルを発売します。各社のホームページやSNSを見たり、カタログを請求したりして見比べるといいでしょう。
入学予定の小学校に通っている子どもたちが、実際にどのような色やモデルのランドセルを使っているか、登下校の様子を見ると参考になるかもしれません。また、もし可能なら、近所の人の話を聞くなどして、小学校でどのような教材を使うかという情報が得られるとさらにいいですね。たとえば、入学後に自治体からタブレットやPCが支給されることが多いですが、地域や学校によってサイズや、持ち帰る頻度がさまざまです。情報を把握できると、ランドセル選びのいい参考になります。
次に、子どもと資料を見ながら、気になるメーカーをチェックしましょう。できれば4~5社くらいに絞ったうえで、ランドセル売り場へ行きます。試着して重さや背負い心地を確認したり、実物の色や素材感を確かめてみてください。
できる限り試着を。フィットしているかどうか店員と一緒に確認するのが理想
――ランドセルの試着は絶対に必要でしょうか? また、試着するときに注目したいポイントを教えてください。
野中 ランドセルがお子さんの体に合っていないと、ランドセルを背負っている間ずっと肩、背中、腰などが痛くなる可能性が高まります。体の成長が進むタイミングではありますが、現時点でできる限り試着をすることを強くすすめます。
試着するときは、肩ベルトの長さを調節したうえで、背中に当たる部分の”背当て”が背中にフィットしているか確認します。ランドセルと背中の中心がそろっているか、前後左右に軽く揺れても安定しているか、肩や背中に痛いところはないかをチェックしてあげてください。重心が下がったり、背負い心地がしっくりこない場合は、肩ベルトを調節して再度背負ってみましょう。肩ベルトの調整については、背負ったときにランドセルの最上部が、お子さんの首と背中の付け根あたりにくることが適切と言われています。背負ったとき、子どもが痛がるときはもちろんですが、「痛くない」と言っても背当てが背中にフィットしていない場合は、体に合っていない可能性があります。
ママ・パパがチェックするだけでなく、百貨店であれば百貨店ランドセルアドバイザーに、メーカーのショールームなどでは店員に確認してもらうとよりいいでしょう。
――ランドセル選びで見落としがちなポイントはありますか?
野中 「A4フラットファイルが入るかどうか」というポイントは、見落としがちです。A4フラットファイルは使う学校が多いですが、まれに入らない設計のランドセルもあります。手さげバッグに入れて通学することもできるので、入らない設計のランドセルが気に入った場合はそれでもいいと思いますが、入ると思っていて入らないと不便に感じがちなので、確認することをおすすめします。
また、最近、軽量タイプを希望するケースが多いのですが、全体重量よりも背負ったときの“体感重量”がとても大切です。試着して確認するといいでしょう。
そのときは、ぜひランドセル本体と肩ベルトをつなぐパーツである”背カン”に注目してみてください。
背負う荷物が軽く感じられるよう、各メーカーは背カンの機能を工夫しています。たとえば、肩ベルトを持ち上げることで、背中とランドセルのすき間をなくすことで軽く感じる「アップ式背カン」機能などがあります。
とくに体が小さい子や、通学距離が長い子は、軽量タイプをおすすめしています。軽さを重視する場合は、素材は牛革より人工皮革がおすすめです。
ただ、軽量タイプは素材をなるべく使わないような仕様のため、容量が小さい場合もあり、高学年になると荷物が増えて不便を感じることも。
低学年のうちは軽量のリュックを使い、高学年になったら大容量のランドセルに買い替えるという手を視野に入れてもいいと思います。
子どもの気持ちを尊重して、親はサポートにまわって選ぶのがおすすめ
――ランドセルは、小学校の6年間同じものを長く使うことがほとんど。入学前から、卒業するころまで一つのランドセルをずっと気に入ったまま、使い続けてほしいと願っている場合、選ぶときにどんなことに気をつけるといいのでしょうか?
野中 子どもが自分で選び、親がサポートするスタンスでいるのがいいと思います。たとえば、「ピンクがいい」と言う子どもに対して、親が「ピンクが好きなのは今だけでしょ。ネイビーにしなさい!」などと対立してしまうと、ランドセル選びが楽しくなくなってしまいます。
できれば、色や、デザインは本人の希望を尊重し、親は通学距離や教材などの事情を考慮して、軽さや容量、安全性などについてアドバイスするのがいいと思います。
子どもが親の顔色を見ながら選ぶのではなく、自分のお気に入りを納得して選べば、好きな色が変わったとしても、6年間大切に使えるのではないでしょうか。
――それでも、親子で意見がわかれたら、どうすればいいでしょうか?
野中 たとえば、子どもはピンク、親はネイビーを希望していたら、外側はネイビーだけれど中を開けるとピンクのデザインのものや、バイカラーのデザインのものを提案しています。または、デザインはシンプルな色を選んで、子どもが好きなランドセルカバーをつけるという手もあります。ランドセルカバーは、有名ブランドや人気キャラクターなど、さまざまなものが登場しています。
子どもの好きな色やデザインが変わっても、ランドセルカバーで対応できると思います。
どうしても迷ってしまうときや、意見が分かれる場合は、ランドセルのサブスクサービスを検討してもいいかもしれません。2023年に一部メーカーから登場した新しいサービスで、さまざまなデザイン、モデルから定期的に交換することが可能です。
お話・監修/野中直人さん(髙島屋 ランドセル担当バイヤー) 取材・文/大部陽子、たまひよONLINE編集部
百貨店ランドセルアドバイザーは、日本百貨店協会の認定資格で、2023年現在、全国の百貨店に500人以上いるそうです。ランドセルを試着する際、肩ベルトを調整したり、背当てがフィットしているかどうかを親が見極めるのは、難しいかもしれません。専門家である百貨店ランドセルアドバイザーと一緒に試着できると心強いですね。
●記事の内容は2023年4月の情報であり、現在と異なる場合があります。