毎日の卵の摂取がラクにできる加熱全卵粉末「たまこな」。170以上の医療機関で採用【専門医監修】

卵アレルギーの食物経口負荷試験の試験食として170以上の医療機関で用いられてる加熱全卵粉末「たまこな」。アレルギー専門医や管理栄養士のグループが開発していて、医師の指導のもと、自宅摂取を行うときなどにも使えます。開発した、小児科・アレルギー専門医の榎本真宏先生に、「たまこな」の特徴や乳幼児の食物アレルギーの注意点について聞きました。
「たまこな」は全国170以上の医療機関が、食物経口負荷試験用に採用
「たまこな」は、専門医の指導のもと与えられる加熱全卵粉末です。食物経口負荷試験の試験食として170以上の医療機関で採用されています。
――「たまこな」は、多くの医療機関で食物経口負荷試験に使われています。
榎本先生(以下敬称略) 現在、全国170以上の医療機関で、食物経口負荷試験の試験食として用いられています。
食物経口負荷試験とは、適切に食物除去を行うために医療機関で行う検査です。問診や血液検査、皮膚検査で疑われた食品を実際に病院で摂取します。たとえば卵なら、アレルギー反応を起こしにくい卵白1gから。牛乳なら1mLから与えてアレルギー症状が起こるか確認し、問題がなければ負荷試験を繰り返しながら量を増やして経過を観察します。
しかし現在、検査で使用される試験食が統一されていないことが課題となっています。たとえば卵ならば、ゆで卵やいり卵が使用されていたり、卵を使った市販のボーロやパンを使用する医療機関もあります。なかにはママ・パパに「卵を使った負荷試験食を用意して持ってきてください」と指示をする医療機関もあります。
そのため抗原量などにバラつきが生じて、検査結果にも影響が出やすいです。
こうした課題を解決するには、保存しやすくて、取り扱いしやすい標準化された試験食が必要です。そこでアレルギー専門医や管理栄養士など有志が集い、プロジェクトを発足して「たまこな」を開発しました。
「たまこな」は卵たんぱく別に3種類。自宅摂取に用いても便利
「たまこな」は、加熱全卵粉末です。 2019年11月医療機関向けに販売されたのが始まりです。
――「たまこな」は、3種類ありますが特長を教えてください。
榎本 「たまこな25」「たまこな250」「たまこな750」の3種類があり、すべてに卵黄・卵白成分が含まれています。主な特長は次のとおりです。
「たまこな25」は、卵たんぱくを25mg(ケルダール法/たんぱく質の定量を測る検査方法)含みます。これは15分ゆでたゆで卵(全卵)約0.2g、かたゆで卵白0.13gに相当します。賞味期限は2年です。
「たまこな250」は、卵たんぱくを250mg(ケルダール法)含みます。これは15分ゆでたゆで卵(全卵)約2g、かたゆで卵白1.3g、全卵32分の1~25分の1個に相当します。賞味期限は2年です。
「たまこな750」は、卵たんぱくを750mg(ケルダール法)含みます。これは15分ゆでたゆで卵(全卵)約6g、かたゆで卵白4g、全卵8分の1個に相当します。賞味期限は2年です。
自宅摂取に使用するときは、どの種類を食べさせるといいかも医師の指示に従ってください。ママ・パパの自己判断では与えないでください。
――家庭で利用するとき「たまこな」は、どのようにして食べさせるといいのでしょうか。
榎本 水で溶いたり、りんごジュースに混ぜたり、おかゆに混ぜたりして食べさせることができます。
卵アレルギーがあって、卵をずっと除去していた子は、自宅摂取を開始して卵を食べ始めるとごく少量のゆで卵などでも、においや舌触りが嫌ではいてしまうことがあります。
しかし「たまこな」は、粉末なのでにおいや舌触りは気になりません。
卵アレルギーは0歳は60.6%、1~2歳は36.3%。乳幼児に多い傾向が
榎本先生は、乳幼児で卵アレルギーが多いのは、食文化と密接に関係していると言います。
――食物アレルギーの原因で卵が多いのはなぜでしょか。
榎本 2022年3月、消費者庁が発表した「令和3年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書」によると、食物アレルギーの原因食物は卵が0歳で60.6%(n=1876)、1~2歳で36.3%(n=1435)とともに第1位です。
日本の乳幼児に卵アレルギーが多いのは、食文化とつながりがあり、それだけ日本人は卵を好んで食べているからです。アメリカだとピーナッツアレルギーの子が多いです。
たとえ子ども自身が卵料理を食べなくても、大人が卵料理を食べることで、目には見えないような卵のこまかい粉が床に落ちていて、それを子どもが触ることで、かぶれや湿疹などがあるとアレルゲンが皮膚のバリアを通過して、肌の奥に入り込み、免疫細胞と反応してアレルギー症状を引き起こすこともあります。これを経皮感作と言います。
「皮膚からなぜ入り込むの?」と思うママ・パパもいるかもしれませんが、小麦を加水分解した成分を含む石けんを使って、多くの人が小麦アレルギーを発症した事故がありました。報道で知っているママ・パパもいると思います。これは経皮感作の代表的な例です。
食物アレルギーは、原因となる食べ物を食べたから発症するとは限らないのです。
――離乳食で卵を与えるときは、時期は初期(5~6カ月ごろ)からでいいのでしょうか。
榎本 厚生労働省策定の「授乳・離乳の支援ガイド」に従って、卵は5~6カ月ごろから与えてください。ひと昔前は、卵はなるべく遅らせて与えたほうが食物アレルギーの予防につながると言われていました。しかし研究が進み、適切な時期から卵などは与え始めるほうが、食物アレルギーの発症を防ぐことがわかっています。
――ほかに離乳食について注意することはありますか。
榎本 基本的なことですが、初めての食材を与えるときは、単品でごく少量ずつから始めて、子どもの様子をよく見ましょう。また加熱が必要な食材は、きちんと加熱して与えてください。
アレルギーの予防や治療は、信用できる医療機関から発表された最新情報をチェックして
アレルギーに関する治療や予防の情報は研究が進み、どんどん更新されています。そのため情報のアップデートが必要です。
――食物アレルギーの治療について教えてください。
榎本 食物アレルギーと判明すると、原因食物の除去が主流でした。しかし経口免疫療法といって、専門医の指導のもと、毎日、少しずつ原因食物を食べることで、原因食物に体が慣れていき、しだいに摂取量を増やしてもアレルギー症状が出ないようになっていく治療もあります。とくに食物アレルギーは、6~7歳以上になると症状が緩和しにくい傾向があるので、気になるママ・パパはアレルギー専門医に相談してください。
アレルギーに関する研究は進んでいるので、アレルギーの予防や治療に関する情報は、信頼できる医療機関などから発表された、最新の情報を確認してください。わからないことは、アレルギー専門医に聞くといいでしょう。
お話・監修/榎本真宏先生 取材・文/麻生珠恵 たまひよONLINE編集部
「たまこな」は、公式サイト内にある購入フォームから購入できます。ただしサイトにも記していますが、「たまこな」を使った食物経口負荷試験で陰性や判定保留(軽い症状)と判定された場合のみ、自宅で使うことが可能です。
榎本先生は「日本小児アレルギー学会学術大会の企業展示でも発表しているので、アレルギー専門医だと『たまこな』を知っている医師は多いのですが、小児科医だと知らない先生もいると思います。
そうした場合は、公式サイトのお問い合わせフォームからご連絡ください。パンフレットを送付します」と言います。
●記事の内容は2023年6月の情報であり、現在と異なる場合があります。
榎本真宏先生(えのもと まさひろ)
PROFILE
医学博士。高槻病院小児科特任医長、のぞみアレルギーオンラインクリニック院長。小児科専門医、アレルギー専門医、周産期専門医(新生児)・指導医。神戸大学医学部医学科卒。同大学院医学研究科卒。神戸大学医学部附属病院などを経て現職。日本アレルギー学会、日本小児アレルギー学会、日本小児科学会などに所属。