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花火のやけどに要注意!スカートやゆかたなどへの着火が危険!火がついたときに絶対してはいけないこと【小児科医】

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スパークラーで新年を祝う幸せな家族
●写真はイメージです
Tomwang112/gettyimages

久しぶりにいろいろな制約がない2023年夏。「今年の夏は、子どもと花火をしようかな?」「子どもに、初めて花火を見せてあげよう」と考えているママ・パパもいるのではないでしょうか。
家庭で花火をするときに注意してほしいのがやけどや衣類への着火です。
国民生活センターは、2023年6月に「花火による子どものやけどに注意しましょう―3歳以下の子どもの事故が多く発生、着衣に着火した事例も―」というリリースを発表し、注意喚起しています。
子どもの事故に詳しい、佐久総合病院佐久医療センター 小児科医長 坂本昌彦先生に、子どもと花火をするときの注意点について聞きました。

花火のやけどは、1~6歳で82%。ママ・パパはすぐ近くで見守りを

花火をしているときにやけどを負った子の年齢別の件数。多いのは2歳(13件)、1歳(11件)、3歳(10件)の順。図版/国民生活センター

国民生活センターによると、医療機関ネットワーク(※)に寄せられた「花火で遊んでいる際にやけどを負った」という事故報告は2018年度から2022年度までの5年間で60件でした。年齢別に見ると、1~3歳児が57%。1~6歳児は82%でした(n=60)。

――子どもと花火をするのは、危険が伴うと考えたほうがいいのでしょうか。

坂本先生(以下敬称略) 子どもが花火でやけどをする原因の一つは遊び方です。手持ち花火の事故の90%は、ママ・パパが監視できていなかった状況で起きています。小さな子と花火をするときは、子どものそばに付き添うことが大切です。そのうえで手持ち花火を持たせるときは、次のことを子どもに守らせましょう。花火のやけどは1~3歳児に多いので、1~3歳児はとくに注意してください。

1 花火に火をつけたら、体から離して持つ(子ども1人で持たせるのが不安なときは、ママ・パパが一緒に持つ)
2 花火は、1本ずつ火をつける
3 人や物に、火を向けない
4 衣類に火がつかないようにする
5 花火が終わったら、必ず水を入れたバケツに花火を入れる

またママ・パパが風向きを見てあげることも大切です。
手持ち花火は、風下に向けて持つようにします。向かい風のときは、花火を持っている子どもに火花が降りかかってやけどをする危険性があります。向かい風や風が強いときの花火はやめましょう。

顔や頭、指の関節のやけどはすぐに受診を

医療機関ネットワークからは、次のような花火の事故が報告されています。

【1歳6カ月 女児】
手持ちの吹き出すような花火の火をつかんでしまい、左手の手のひらと指にやけどを負った。

【2歳11カ月 女児】
花火がサンダルに落ちて、右足の指と足の裏にやけどをする。赤くなって、水ぶくれができた。

――万一、花火でやけどをした場合はどうしたらいいのでしょうか。

坂本 15~20分は流水でしっかり冷やしてください。衣類の上からやけどをしたときは、衣類を無理にめくったり、脱がせたりしないでください。衣類の上から流水をかけましょう。
流水で冷やしていると体が冷えることもあります。子どもが寒がる場合は、冷やす時間を少し短くするなど臨機応変に対応してください。

――花火でやけどをしたときの受診の目安を教えてください。

坂本 やけどの範囲が広い場合は、診察時間外でも受診してください。流水で冷やしている間に、子どもがぐったりした場合、低体温症の可能性もあるため至急受診しましょう。また顔や頭、指の関節のやけどの場合は、範囲が小さくても受診が必要です。
また水ぶくれができても、ママ・パパや本人が水ぶくれをつぶすのはやめてください。受診時間内に医療機関を受診して、処置してもらいましょう。

スカートやゆかたなどの着火に注意! 火がついたときは絶対、走らない

写真のように、しゃがんだ姿勢でスカートが地面についていると、花火の燃えカスが落下したときにスカートに着火することも。

花火でこわいのは、衣類などへの着火もあります。医療機関ネットワークからは、次のような事故報告があります。

【3歳2カ月 女児】
公園で手持ち花火をしていたところ、保護者が一瞬目を離したすきに左足の靴に火の粉がうつり、燃えていた。左足の指をやけどして、小さな水疱と破けた水疱が見られた。

【6歳8カ月 女児】
花火を振り回して、直後に風で火花がスカートに飛んで着火し、燃え上がった。保護者がはたいても火が消えず、服を脱がせた。右太ももにやけどをして、水疱が破れていた。

――衣類などに着火した場合は、どうしたらいいのでしょうか。

坂本 その場に倒れて左右に転がって火を消す「ストップ・ドロップ・アンド・ロール」という消火法もあります。知っておくことで身を守ることのできる大切な知識ですので、未就学児にも教えられるといいのですが、とっさのときには上手にできないかもしれません。
そのため万一に備えて、消火用の水を入れたバケツを用意しておきましょう。
終わった花火を入れる水をはったバケツとは別に準備しておくといいでしょう。水を入れたじょうろなども用意しておくと安心です。

やってはいけないことは衣類に火が移ったときに、走り回ることです。火がさらに燃え広がってしまう危険性があるからです。

――着火しやすい衣類を教えてください。

坂本 ゆかたのように袖やすそが長い衣類は実は着火しやすいことは知っておくといいでしょう。またスカートなどすそが広がった衣類も危険です。
肌の露出が多い服やサンダルもやけどの危険が高まります。

花火の事故ではないのですが、2002年、福井県の夏祭り会場のお寺で、木綿の浴衣に、足元を照らすろうそくの火が燃え移ってしまい、全身やけどで小学1年生の女の子が亡くなってしまうという痛ましい事故がありました。
この子も驚いて走り回ったために、火が全身に回ったと思われます。
ゆかたを着ておめかしをしたときなどは、より注意が必要です。

ロケット花火や打ち上げ花火で、視力低下、失明などの事故も

花火による事故はやけどだけではありません。ロケット花火や打ち上げ花火による目の重大な事故も報告されています。

――ロケット花火や打ち上げ花火の危険性を教えてください。

坂本 乳幼児がいる家庭では、ロケット花火や打ち上げ花火をすることはないかもしれませんが、事故のリスクは知っておいてほしいと思います。

2012年、日本眼科学会は、ロケット花火などによる危険な花火遊びによって、眼外傷が1シーズンに少なくとも7件発生していると報告しています。
ロケット花火が目に当たると傷は網膜まで達する可能性が高く、視力が0.3以下まで低下したり、失明したりするなど重篤な結果に至る可能性が高いことがわかっています。

また打ち上げ花火を噴出花火と間違えて、点火後にのぞきこんだところ、火薬が左目を直撃してけがをし、視力が大きく低下してしまった事故も起きています。

花火は夏の風物詩で「子どもに見せてあげたい!」「子どもと一緒に楽しみたい」と思うママ・パパもいらっしゃるかと思います。危険を理解し、備えをすることで楽しい思い出を残すことができると思います。家族ですてきな夏休みを過ごせることを願っています。

お話・監修/坂本昌彦先生 

協力・写真・グラフ提供/国民生活センター 取材・文/麻生珠恵 たまひよONLINE編集部

花火によるやけどは6歳以下の小さな子が多いです。やけどした場合はしっかり流水で冷やし、顔や頭、指の関節のやけどでは急いで受診が必要です。年長になるとロケット花火が目にあたって失明する事故も起きています。またゆかたなど衣類の着火によるやけども報告されています。これらのリスクを知り、あらかじめ準備することで、楽しい花火の時間を過ごすことができます。

※医療機関ネットワーク事業は、消費生活において生命または身体に被害が生じた事故情報を、事業に参画する医療機関から収集し、同種・類似事故の再発・拡大防止を図ることを目的として、2010年12月から運用が開始された、消費者庁と国民生活センターの共同事業です。2023年4月現在32機関が参画しています。

●記事の内容は2023年7月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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