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初孫誕生を控え、わが子と語る孫育てとこれからの小児医療【若江恵利子先生×惠三先生 小児科医親子インタビュー】

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2023年10月で『たまごクラブ』『ひよこクラブ』は創刊30周年を迎えました。その創刊当時から誌面の記事制作に協力してくれていたのが、2人のお子さんがいるママ小児科医の若江恵利子先生。いつも医師として、そしてママとして読者に寄り添ったアドバイスをしてくれます。長男の惠三さんも母と同じく小児科医の道へ進み、間もなく赤ちゃんが生まれてパパになるとのこと! ばあばに、そしてパパになる2人に孫育てを含めた現代の育児のこと、これからの小児医療のことなどについて聞きました。

※取材は惠三先生の第1子が生まれる約1週間前に行いました。写真は取材後にもらったものです

『ひよこクラブ』を約30年支え続けた若江恵利子先生がばあばに!

取材の約1週間後、予定日より早く惠三先生のもとに第1子が誕生。元気な女の子です。

――惠三先生に間もなく赤ちゃんが生まれるとのこと、おめでとうございます。恵利子先生もばあばになります。お子さん、お孫さんを授かったとわかったときはどんな気持ちでしたか?

惠三先生(以下敬称略) まずは妻の妊娠が無事に進み、母子ともに健康に生まれてきてくれればと思っています。今はまだふわふわした気持ちで、正直なところ、父親になるという実感があまりわかないんです。でも、妊婦健診の結果は気になるので必ず聞いています。

恵利子先生(以下敬称略)私は、率直にうれしかった。そのひと言。性別は女の子だろうということで、この前お嫁さんとベビー服を買いに行ったんですよ。惠三に見せたら「かわいい」と喜んで。父親になる自覚が少しでも芽生えてきたかしら。
そんな私も自分が“おばあちゃん”になるということは実感としてはまだ浅い感じです。
実際に赤ちゃんを見て抱っこをしたら、どんどんわいてくるのではないかと思っています。
おばあちゃんと呼ばれるのも今は少し抵抗を感じていてお孫ちゃんになんて呼んでもらおう、と考えるんですけどやっぱりおばあちゃんしかないみたいですね。覚悟を決めてしっかりおばあちゃんなろうと思います!
今からお孫ちゃんの顔を見て抱っこすることを想像するだけでわくわくしています。

――惠三先生は恵利子先生に、育児にどのようにかかわってほしいと思っていますか?

惠三 母は僕を育ててくれた育児の先輩なので、意見は素直に聞こうと思っています。でも母はいろいろなことに気がまわってしまうタイプなので、あれはどうなの、これはどうなの、となることが予想されます。なので、ここは大丈夫だよ、ここまででありがとう、とストップをかけていかないといけないかもしれませんね。

恵利子 うるさいおばあちゃんにはなりたくないので、なるべく口は出さないつもりです。お嫁さんはつわりが重くて大変だったけれど、夫婦でなんとか乗りきっていました。これからも力を合わせて頑張ってほしいと思います。

かかりつけ医だからこそできるのが病気の早期発見

――恵利子先生は現在栃木県で小児科クリニックを開業されています。地域の小児医療に長くかかわる中で、印象的なエピソードはありますか。

恵利子 本当にたくさんの子を見てきたので数えきれないほどエピソードがあるのですが、今ぱっと思いつくものをお話しすると、かかりつけで診ていた子が3歳のとき、予防接種を受けにきていたんです。でも、あまりにも顔色が悪いので血液検査をすすめたところ、明らかに白血病の所見で。すぐに大学病院への紹介状を書き、受診するよう言いました。やはり白血病で、早期発見だったため治療をして今は元気に学校に通っています。早期に発見できてよかったというのはもちろんあるのですが、印象的だったのが、大学病院の紹介状を書いたあとで、その子のママがクリニックにきてくれたんです。ひと言お礼が言いたくてと。とてもうれしかったのですが、それと同時にわが子が白血病と診断されてショックを受けている状況にもかかわらず、かかりつけ医にわざわざお礼なんて、なんて気丈なママだろうと。10年以上前の話ですが、心に残るエピソードです。

――かかりつけで成長を見ている子だったからこそ早期発見につながったのですね。

恵利子 そう思います。かかりつけ医はその子の普段の様子を知っていますから。たとえば普段はすごく元気でよくしゃべる子がおとなしくて元気がなかったら具合が悪いか、重い病気が隠れている可能性がありますよね。そういった異変に気づきやすいのがかかりつけ医だと思います。

惠三 まさしくそうだと私も思います。私は大学病院で小児神経を担当して5年目になりますが、やはり重症の子どもたちが多いです。かかりつけ医は重症になる前、手遅れになる前に病気を見つけてくれる防波堤のような存在だと思います。

――小児神経とは具体的にどんな病気を診て、どんな診察をしているのですか。

惠三 自閉症やADHDなどの発達障害のほか、てんかんやさまざまな症候群、遺伝性の病気などの子を診ています。とくに発達障害は今とても増えていますが、治療には子どもだけでなく親のケアも大切です。外科の手術などとは違ってすぐに治るものではなく、時間をかけてじっくり向き合う必要があります。少しでも改善が見られたときはやりがいを感じます。

恵利子 赤ちゃんの発達には昔から興味があったわよね。10歳下の妹のこともずっと観察していて、「あ、モロー反射だ」なんて言って(笑)

惠三 じつは、わが子の発達を見るのも父親としてはもちろんのこと、小児科医としても楽しみなんです。子どもが生まれてから一つずつできるようになっていく様子を見て、父親としてわが子の成長を喜びたいな、と思っています。

スマホから得る育児情報や医療情報は、本当に正しいかどうかをしっかり吟味することが大切

――恵利子先生が小児科医になってから現在まで、ママ・パパや赤ちゃんを取り巻く状況で大きく変わったことは何だと思いますか?

恵利子 まず医療面で進歩したこととして、いちばんに思いつくのは国内におけるワクチン環境が変わったこと。日本は世界に遅れをとっていたのですが、ようやく追いついてきたと感じているところです。
たとえばロタウイルスのワクチンは2020年から定期接種になりましたが、惠三と娘が赤ちゃんのころはワクチンがなかったですし、実際に二人ともロタウイルス感染症にかかりました。具合が悪くなり、それはそれはかわいそうでした。ところがロタウイルスワクチンが普及してからは発症した赤ちゃんはほとんど見ません。ヒブワクチンもそう。昔は髄膜炎(ずいまくえん)を年に何回か見ましたけれど、今はほぼない。若い医師の中にはロタウイルスや髄膜炎の症例は見たことがない、という人もいると思います。はしかや水ぼうそう、おたふくかぜも劇的に減りました。

かかりつけ医として大きな使命の一つは、病気を予防することですから、これからも予防接種や乳幼児健診はしっかり行っていきたいと思っています。

一方で、危惧しているのは親子でのスマホ依存です。使ってはいけない、ということではなく依存が強すぎるのはよくないと感じています。子どもをおとなしくさせておくために幼い子にもスマホを渡す親もいて、依存が強いとスマホを見せておかないと子どもが泣き叫ぶんですね。これは近い将来、なんとかして変えていかないといけないと思っています。

――惠三先生はいかがでしょうか。

惠三 同じスマホのことで言えば、最近、診察前にスマホでネットの医療情報をいろいろ調べてくるママ・パパが多いと感じています。ネットで調べた雑多な情報が頭の中でこんがらがった状態で来られることも多いですね。ネットでこう見たけれど、どうなんですか、これはどうなんですか、というふうに。それがいけないということではないのですが、その質問に対して私たち医師も納得してもらえる答えを提示しないといけないので、以前よりも高い専門性が求められていると感じています。
私の専門である小児神経はとくに判断が難しい分野です。「こんな症状があるのだけどこの病気ではないですか?」とかなり特殊な病気をネットで見つけて心配するママ・パパもいます。そんなときも検査を何回か重ねて納得してもらうこともあります。

恵利子 ママ・パパから「スマホでネットの情報を調べるのはよくないですか」と聞かれることもあります。よくないわけではないですが、ネットのこわいところは、間違った医療情報も簡単に見つかるということです。私は小児科学会のホームページを参考にするようすすめています。

惠三 しっかりした情報源であれば、ネットで調べたことを受診の判断材料として活用するのはいいと思います。たとえば私は救急外来も担当しているのですが、心配ならもちろん来てもらっていいのですが、子どもの様子をあまり見ないで来てしまう場合もあります。これくらいなら明日まで様子を見て大丈夫、と救急外来を受診しない判断ができるようになるのはネットの利点かなと思います。

――最後に、お互いにメッセージをお願いします。

恵利子 父親になったその日から赤ちゃんとの生活が始まり、毎日が初めてのことばかりでしょう。おむつを替える、おふろに入れる、ミルクを作る、といった一つ一つを経験することでママやパパの気持ちがわかるようになると思います。それは小児科医として幅を広げるためのいい経験になると思っています。赤ちゃんに勉強させてもらいながら、育児を一緒に楽しみましょうね。

惠三 母はこのとおりハキハキ話してテキパキしている反面、これまで勘違いや早とちりで怒られて理不尽な思いをすることもありました。ぜひお手やわらかにお願いします。妻にも母にも怒られないように頑張ります(笑)!
父親になるにあたりこれまでを振り返ってみると、母をはじめ家族のサポートがなければ今の自分はなかった、と思っています。本当に感謝しています。私もこれから生まれてくる子どもを力強く支える親になりたいと思います。

お話/若江恵利子先生・若江惠三先生 取材・文/岩﨑緑、たまひよONLINE編集部

『たまひよ』が創刊した30年前と今では、育児を取り巻く状況が大きく変わっています。スマホが普及し、働く母親が増えているなどの社会的な変化だけでなく、ワクチンの普及など、小児医療の現場でもさまざまなことが変わってきています。スマホは便利なツールですが、依存しすぎないように気をつけながら、上手に使えるといいでしょう。


●記事の内容は2023年10月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

若江恵利子(わかええりこ)先生

PROFILE
小児科医・医療法人恵徳会あさかクリニック理事長
東邦大学大森病院新生児科、愛育病院小児科を経て、栃木県で開業。長男も小児科医として活躍中。

若江惠三(わかえけいぞう)先生

PROFILE
小児科医・自治医科大学付属病院小児科
若江恵利子先生の長男。専門は小児神経。

「たまひよ」創刊30周年特別企画が続々!

『たまごクラブ』『ひよこクラブ』は、2023年10月に創刊30周年を迎えます。感謝の気持ちを込めて、豪華賞品が当たるプレゼント企画や、オリジナルキャラクターが作れる「たまひよのMYキャラメーカー」など楽しい企画が目白押しです!たまひよ30周年特設サイトをぜひチェックしてみてください。

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