「9人も子どもがいる家には思えない」「いつも片づいていて尊敬」とインスタで話題!二女七男の大家族ママに聞く子育てのコツ
厚生労働省が2023年11月24日に公表した人口動態統計の速報値によると、2023年1月~9月に生まれた赤ちゃんの出生数は、2022年の同時期の5.0%減だとか。このままでは2023年の出生数は70万台半ばになると推測されています。
そんな中、福井県で2歳から18歳までの二女七男を育てる11人家族がいます。山本彩子さん(39歳・パート勤務)と、夫の達也さん(40歳・児童養護施設職員)夫婦は、結婚16年目のときに9人目の子どもを出産し11人の大家族となりました。彩子さんに、結婚してからの18年で変化を感じる子育て環境のことや、育児で大切にしていることなどについて聞きました。全2回のインタビューの2回目です。
妊娠中のワンオペ育児と子どもの入院が重なった、つらい時期
――結婚して16年で9人を出産し、今、18年間子育てしてきたなかで、とくに大変だったと感じたエピソードを教えてください。
彩子 今は夫の実家近くに住んでいるんですが、ここに引っ越してきたのは6人目が1歳のときです。それまでは夫の実家から1時間ほど離れたところに住んでいました。私の実家も遠方で頼れなかったので、3人目、4人目、5人目の妊娠中のワンオペ育児はとくにしんどかったです。当時、夫の仕事はサービス業で帰宅はほとんど毎日深夜。そのため私は夕方に夫の夜食を作り、上の子たちを保育園に迎えにいった帰りに夫にお弁当を届けていました。そのあと帰宅して、大きなおなかで上の子どもたちにごはんを食べさせ、おふろに入れて・・・すべて1人でやっていました。
そのころ、毎年子どものだれかしらがRSウイルス感染症などにかかって入院した時期でもあり、さらに通院などがあって本当に手がたりませんでした。夫は土日も忙しく働いていたので経済的には困らなかったけれど、家族時間も少ない日々で、「幸せってなんだろう」と考えてしまっていました。そして6人目を妊娠中のころのこと。夫が夫のきょうだいから仕事を手伝ってほしい、と頼まれて転職をすることになり、夫の実家近くに家族みんなで引っ越すことになりました。
夫の実家近くには夫のきょうだいたちも住んでいるので、何かと心にかけてもらえて助かっています。今は仕事も家族時間も夫婦ともにバランスが取れてとても充実していて、幸せを感じています。
――18年で、社会の子育ての状況に変化を感じることはありますか?
彩子 パパたちの姿に変化を感じます。1人目のときも子どもの行事に参加するパパはもちろんいましたが、最近はさらに増えてどの行事でもパパたちの姿を見かけるようになりました。そのぶん、パパの家事参加に対して求められるものも増えた気もします。私が発信しているインスタグラムの投稿動画で、子どもたちみんなが食事の準備をしている様子にパパの姿が見えないと「パパは手伝わないのですか?」とコメントをもらうこともありますよ。
わが家は家の中のこと家事は私が基本的にやっていますが、もちろん手が回らないときは夫もやるし、家の外回りのことや車のことや精米などは夫がやってくれます。精米は1カ月に40kgのお米を消費するので重いから(笑)、夫の担当です。それぞれの家庭のやり方、ルールがあっていいと思うのですが・・・「パパももっと家事をするべき」といったコメントに、時代の変化を感じます。
お手伝いポイントが、毎月のおこづかいに
――子どもたちは家事を手伝いますか?
彩子 お手伝いは、やりたい家事をそれぞれ決めました。食器ふきが得意な子、それより掃除機がいいという子で分担してますが、日によってだれも手伝いをしない日ももちろんあります。
朝食・夕食の前は全員が準備をしてくれます。中学生から保育園までの男の子7人となると、私1人では食事を作るだけで手一杯なので、助かっています。「ごはんの準備するよー!」と合図をするとあちこちから子どもたちが集まってきて、箸を並べたり、お皿を出したりと準備を手伝ってくれるんです。2歳の末っ子も自分の椅子を用意します。わが家では、朝食・夕食で家族みんながそろって食事する時間を大切にしてします。
――おこづかいはどうしているんでしょうか?
彩子 お手伝いをポイント制にして、ポイントを貯めて毎月のおこづかいとしてあげています。おこづかいを貯めたいときには、あれもこれも手伝ってくれるときもあれば、今月は全然おこづかいがないよ〜、というときもあります。保育園児の3人には、お片づけをしたらお菓子ポイントをつける決まりにしています。
月末の夫がいる日に家族が集合し、小さい子から順番に、夫からおこづかいやお菓子を渡す日があります。それもただお金を渡すのではなく、渡し方にもこだわりが。2歳の子には「今月もかわいかったです」、4歳の子には「弟と遊んでくれてありがとうね」、6歳の子には「お片づけをいちばんしてくれました」など年齢に応じてひと言伝えながら渡すようにして、それは心の財産も貯金してほしいとの思いがあるからです。
子どもが自分で片づけられるような収納に
――彩子さんのインスタ投稿の自宅は、とても整然と片づいています。家事・育児・仕事と忙しい中で、どんな工夫をしているのでしょうか?
彩子 整理整頓術が得意というわけではないですが、整った空間が好きなので子どものころから自分の部屋の片づけはきちんとしていました。今は子どもたちもサッと片づけられる空間、収納になるように工夫しています。
子どもたちが寝たあとにゆっくりしたいので、そのために、子どもが起きている間にできる家事を少しでも片づけておこう、という感じです。片づけが大変になって余計な仕事が増えるのを防ぐために、出したものはすぐしまうことを習慣づけています。
――子どもたちにはどんなふうに片づけを促していますか?
彩子 子どもには、どこかに遊びに行く前や、ゲームなどで遊ぶ前に「片づけてから遊ぼうね」と声をかけています。でもあんまり何度も言うとうるさいと感じると思うから、タイミングを見ながら伝えるようにしています。
中学2年の長男は片づけが好きで、最近は部屋の模様替えをよくしています。男の子7人きょうだいのうち、長男二男の部屋と三男四男の部屋とに分けているんですが、長男は自分の部屋だけでなく三男四男の部屋が汚いと気になるらしく、三男四男に「片づけなよ」と言ってくれたり、使いやすいように模様替えもしてくれたりして、頼もしいです。
――彩子さんは仕事もしていますが、子育てと仕事とどうバランスを取っていますか?
彩子 短時間のパートタイムをしていますが、外で仕事ができることは楽しいです。帰宅するとバタバタはするけれど、そんな忙しさも嫌いじゃないです。
でもやっぱり子どもが感染症にかかったりすると休まざるを得ないので、数日間の休みで職場に迷惑をかけてしまう、と落ち込むこともあります。でも、だからこそ仕事できることがとてもありがたいし、職場の理解と協力に感謝しています。その分、一生懸命働いて職場の力になりたいなと思います。
大家族の育児の様子を発信して、見てくれる人の力になりたい
――彩子さんは2022年2月からインスタで家族のことを発信していますが、発信を始めた理由を教えてください。
彩子 私がフォローしていたインスタグラマーさんが、ボディコンテストの大会に出るという目標を立てて発信してとっても輝いている姿を見て、私も何かに挑戦してみたいな、と背中を押されたのがきっかけです。何に挑戦しようかと考えたときに、義弟の奥さんが「9人育児をこなし、家もキレイで仕事もしながらの彩子さんの生活を、インスタで発信してほしい!」と言ってくれていたのを思い出して、大家族の日常を発信してみようと思いました。
――発信にあたって何か準備はしましたか?
彩子 全然何もしていなかったです。それまではインスタも自分の友だちと数人のインスタグラマーさんをフォローしていたくらいで、発信のしかたも、動画の編集のしかたも何も知りませんでした。ただ、家族の写真を載せようかな〜くらいに、軽く考えていました。
発信を始めたら、少しずつフォロワーさんが増えたんです。みなさんからのコメントで「こんなことが気になるんだ!」と思いもよらない発見がありました。インスタ投稿開始してから娘にアプリ名を教えてもらったぐらいです。投稿内容はフォロワーさんから質問されたことなどを参考にしています。
9人のママが子育てに悩み奮闘する姿や、私たち家族のつながりが、投稿を見てくれただれかの生きるヒントになれたらうれしいなと思います。
お話・写真提供/山本彩子さん 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部
仕事・子育てしながらでもまだまだ新たなことに挑戦している彩子さん。「私たちの生活の様子を見て、生活しやすくなったり、参考にしてもらえたらうれしい」と笑顔で話してくれました。
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2023年11月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。