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先天性の骨の病気と低身長、それでも『美海なら大丈夫』。ピアノで才能を開花させた少女【先天性脊椎骨端異形成症】

更新

6歳で初めてピアノコンクールに出場したとき。

高校3年生の長男と、中学2年生の長女・美海(みう)さんを育てる、橋本美佐子さん。美海さんは、生後間もなく先天性脊椎骨端異形成症(せんてんせいせきついこったんいけいせいしょう)と診断されました。美海さんの主な症状は低身長で、中学2年生の現在は身長88cm。2歳児と同じぐらいの身長です。

母親の美佐子さんと美海さんに病気のことや小学校・中学校生活、ピアノを習い始めたきっかけなどを聞きました。全2回のインタビューの後編です。

▼<関連記事>前編を読む

手のしびれから環軸椎亜脱臼と診断され、小学1年生で手術

幼稚園年長のとき。年長の終わりに、手のしびれを感じるように。

先天性脊椎骨端異形成症は、2型コラーゲン異常症関連疾患です。2型コラーゲンとは、骨や結合組織を構成するタンパク質の1種で、その遺伝子の変異によって骨の病気を発症します。低身長や背骨が曲がる側弯症、X脚、O脚などさまざまな症状がみられます。現代の医療では有効な治療法がなく、対症療法が中心です。

――美海さんの症状について教えてください。

美佐子さん(以下敬称略) 美海の主な症状は低身長で、5歳のときは身長69cm。生後9~10カ月ごろの乳児と同じぐらいの身長でした。
また幼稚園の年長の終わりに、手のしびれを訴えるようになり、環軸椎亜脱臼(かんじくついあだっきゅう)と診断されました。首の1番目の骨(環椎)と2番目の骨(軸椎)がずれている状態です。

先天性脊椎骨端異形成症は、骨の病気で、脱臼などもみられます。
美海は、小学1年生の6月に大学病院で手術をしました。手術は5時間ぐらいかかり、神経を圧迫しないようにしました。
また背骨が曲がる側弯症(そくわんしょう)もみられます。

美海は、幼稚園のころからずっと首と上半身を固定する装具をつけています。上半身の装具は、背骨が曲がるのを防ぐために装着していますが、学校ではトイレのときにはずしたりするのが大変なので、今では家にいるときだけ、夜の睡眠時を中心に1日15時間ほど装着しています。

首の装具は、万一、転んだり、ぶつかったりしたとき首を守るためで、体育の授業などで装着。ほかには歩行をサポートするために、靴の中にオーダーのインソールを入れています。

――通院の頻度を教えてください。

美佐子 美海は環軸椎亜脱臼の手術を受けた大学病院に今でも4カ月に1回通っています。美海が小学校を卒業するころに側弯症の手術をすすめられたのですが、今は上半身を固定する装具によって症状が安定しているため、手術はしないで経過観察の状態です。

学校では階段に手すりや、手洗い場に踏み台を設置

体に熱がこもりやすく、熱中症になりやすいので、屋外遊びでは注意が必要だとか。

美海さんは、自宅から近い小学校、中学校に通っていて、学校生活を楽しんでいます。

――美海さんは、幼稚園や保育園には通っていましたか。

美佐子 上の子が通う幼稚園に、年少クラスから入園しました。上の子の送り迎えを時にいつも美海を連れていっていたので、先生たちも美海のことをよく理解してくれていました。あたたかく受け入れていただき、とてもありがたかったです。

――小学校や中学校での生活を教えてください。

美佐子 小学校、中学校は通常学級に在籍していて、席は一番前です。
校長先生たちと相談して、美海の椅子には足置き台を。手洗い場には踏み台を置き、階段には転ばないように低い位置に手すりをつけてもらいました。

――集団生活で、とくに注意していることはありますか。

美佐子 美海が幼稚園のころ、家族で夏に遊園地に遊びに行ったとき、熱中症になってしまって2日ぐらい嘔吐が続いたことがあります。体が小さいので、体内に熱がこもりやすく、熱中症になりやすいようです。その点は、担任の先生や養護教諭には伝えています。

ほかには体が小さいので、みんなと同じように重い荷物を持つことができないなどはありますが、まわりのお友だちが「美海、持つよ~」と言って、手伝ってくれているようです。

「楽しく音楽に触れてほしい」と思い、5歳からピアノを

ピアノを始めた、5歳のころの美海さん。

美海さんは、5歳からピアノを習い始めると、小学1年生から教室の選抜コンサートに毎年出演。才能が開花し、2024年に開催された「第9回ベートーヴェン国際ピアノコンクール アジアB2部門」銀賞受賞。2025年に開催された「第33回 ヤングアーチストピアノコンクール 独奏部門 Dグループ」で入賞するなど、数々の賞を受賞しています。

――美海さんがピアノを習い始めたきっかけを教えてください。

美佐子 5歳のときに「ピアノを習いたい」と言うので、始めました。美海は歌うことが大好きで、2歳ごろから『シャボン玉』などの歌をよく歌っていたし、私もピアノを習っていたので「楽しく音楽に触れてほしいな」と思って、音楽教室に通い始めました。
音楽教室には、ヴァイオリンの授業もあり、美海はヴァイオリンにも興味を示したので、しばらくしてからヴァイオリンも習い始めました。

――体が小さい美海さんですが、ピアノの先生はどのように美海さんに教えていますか。

美佐子 ピアノの先生は「低身長だからできない」という考えはまったくしません。
美海は身長も低いのですが、手も小さいんです。でもピアノの先生は、左手で弾く音を右手で弾くなど工夫して教えてくれています。

上達してくると先生から「コンクールに出場してみない?」「オーケストラで演奏してみない?」と誘われるようになり、美海も目標を高くもつようになりました。

――美海さんは、中学2年生で身長88cm。2歳児と同じぐらいの身長ですが、ピアノのペダルには足が届きますか。

美佐子 最初は私の父がDIYでアシストペダルを改良してくれたのですが、上達とともにさらに演奏の幅を広げるために、ピアノの先生に相談しました。

ピアノの先生が、美海仕様でペダルを作ってくれる会社を一生懸命探してくれて、1社だけ引き受けてくれたんです。ペダルの高さや踏みやすさなどを美海に合わせて1年がかりで制作してくれて、ペダルが完成しました。「miu special」と呼んでいます。

【美海さんに聞く】今の私があるのは、お母さんが「美海なら、大丈夫!」と応援し続けてくれたから

2025年3月に、初めてソロリサイタルを開催。

美海さんは、2025年3月に初めてソロリサイタルを開催。美海さんにソロリサイタルや病気のこと、学校生活について聞きました。

――美海さんは、自身の病気をどのように受け止めていますか。

美海さん(以下敬称略) 小さくて目立つので、知らない人にジロジロ見られることもあるし、高いところの物が取れなくて不便だな~と思うことはありますが、友だちが助けてくれたりするのであまり気にしていません。

――卒業、入学、クラス替えなどで、仲のよかった友だちと離れてしまうこともありますが、不安に思うことはありませんでしたか。

美海 私が通う中学校は1学年に4クラスありますが、2つの小学校から入学してくるので不安はありました。
同じ小学校の友だちが、クラスに数人しかいなくて最初は戸惑いましたが、しだいに新しい友だちもできました。
新しい友だちには、私の病気のことを伝えて、「高いところの物を取ってなどお願いすることもあるけど、よろしくね!」と話しています。

――ピアノの練習は、毎日どのぐらいしていますか。

美海 中学校から帰ってくるのが夕方なので、帰ったらすぐに毎日2時間は練習しています。

――2025年3月に開いた、初めてのソロリサイタルについて教えてください。

美海 小学校卒業記念とあわせてソロリサイタルをしたいと思いました。そのころは側弯症(背骨の曲がり)を治す手術をする予定があったので、大変な手術の前にリサイタルをしたかったんです。
当日は約140名の方に来ていただき満席でした。アンコールを含めて8曲披露しました。

――ソロリサイタルでは、美海さんが進行役も務めたとのこと…。

美海 ピアノの先生から「ステージの進行はどうする?」と聞かれて、自分ですることにしました。曲の紹介や、病気のこと、身長が低いからペダルはオーダーで作ったことなどを話したのですが、先生と一緒に考えながら原稿を作りました。

私は、難しいことでも前向きにチャレンジすることが好きです。小学6年生の夏に出場したピアノコンクールでは、英語と日本語でスピーチをしてから演奏するため、日本語の文章を兄に英文にしてもらい、それを暗記しました。本番では緊張したけれど、うまくいきました。

幼いころから母が「美海なら大丈夫」「できるよ!」と応援し続けてくれたことが、私のチャレンジ精神のベースになっているのだと思います。

お話・写真提供/橋本美佐子さん・美海さん 協力/2型コラーゲン異常症患者・家族の会 取材・文/麻生珠恵 編集・構成/仲村教子(entente)、たまひよONLINE編集部

母親の美佐子さんは、「美海が生まれたときは、先々が不安で泣いてばかりいた」と振り返ります。けれど今は、目標に向かって懸命に頑張る美海さんの姿を見て、「この子ならきっと大丈夫」と、心から思えるようになったそうです。

「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。

2型コラーゲン異常症患者・家族の会

橋本美佐子さん(はしもとみさこ)・美海(みう)さん

PROFILE
【美佐子さん】高校3年生の長男と、中学2年生の美海さんを育てる。障害や大きな病気をもつ子どもを育てる地域のママ・パパと一緒にサークル活動を行う。スワロフスキーなどを埋め込んで作るアクセサリー・グルーデコのJGA認定講師で、随時教室を開催。
【美海さん】2012年5月生まれ。生後間もなく、先天性脊椎骨端異形成症と診断される。5歳からピアノを習い始め、2024年に開催された「第9回ベートーヴェン国際ピアノコンクール アジアB2部門 銀賞受賞」、「第4回イブラ・グランド・アワード・ジャパン」、2025年に開催された「第33回 ヤングアーチストピアノコンクール 独奏部門 Dグループ」で入賞するなど、数々の賞を受賞。

橋本美海さんのInstagram

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2026年4月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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