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風邪をひいたあと、せきがだらだら続く・・・。免疫が弱いの?受診したほうがいいの?【ママ小児科医】

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週齢の生まれたばかりの赤ちゃんのくしゃみ
●写真はイメージです
AnnaNahabed/gettyimages

2児を子育て中のママ小児科医・白井沙良子先生が、診療の中で質問が多いことや、季節や時期に合わせてママ・パパたちに伝えたい役立ち情報、そして気がかりへのアドバイスまで、さまざまな情報を発信する連載「ママ小児科医さよこ先生の診療ノート」がスタート。第1回は、今まさに、そしてこれからの季節心配になる「子どもの長引くせき」についてです。白井先生は「風邪をひいたあと、せきが1カ月くらい続くのは、異常なことではない」と言います。

ただの「風邪」でも、せきは1カ月くらい続くことも

「保育園や幼稚園に入ってから、ずっと風邪が続いていて、やっと熱が下がったと思ったのに、今度はせきがだらだらと・・・。肺炎になっちゃってる? ひょっとして、うちの子ってぜんそくなの?」(1歳6カ月)
「薬を飲んでいるのにせきがとまらない、効かないなら、病院をかえてみたほうがいい?せきをしていると寝づらかったり、食事も進まなかったり・・・」(2歳)
「やっと熱が治まったと思ったら、今度はせきがひどくて。しかも2週間くらいずっと続いてるんです。なにか肺炎とか、変な病気じゃないか、心配で・・・」(1歳)

このような相談は、外来でも非常によく質問されます。ただし、風邪をひいたあとのせきが長引くのは、実は正常の経過の一つです。

子どもが風邪をひいてから、どれくらいで症状が治まるかを調べた研究(※1)では、せきは約25日目にやっと治まると報告されています。特別な病気や、重症というわけではなくても、風邪をひいたあと1カ月くらいせきが続くのは、異常なことではありません。

どうして、こんなにせきが長引くのでしょうか。理由の一つとして、風邪のピークを越えたあとも、子どもは気道の過敏性が高い状態が続くため、ちょっとした刺激でせきが出てしまうからと言われています。これは「感染後咳嗽(かんせんごがいそう)」とも呼ばれ、一般的な風邪の経過の一つです。診察や検査をしても異常は見られませんし、日本小児呼吸器学会「小児の咳嗽診療ガイドライン 2020」でも、特別な対応は必要ないとされているものです。

せきをすぐに止める薬は、ありません

「せき止めの薬を飲んでいるのに、せきがおさまりません・・・」(9カ月)というお悩みもよく相談されます。実は「確実にせきを止める」という明確なエビデンス(科学的根拠)がある薬はありません。

子どもの風邪で、おそらく最もよく処方されるのがカルボシステイン(商品名:ムコダイン®など)です。ただしこれはせき止め薬というわけではなく、たんをサラサラにする薬です。ねばっこいたんがのどの奥に垂れることによって起こっているせきを、多少は改善しうる、という程度です。また内服しはじめて、実際に症状が改善してくるのは内服7日くらいたってから、という報告(※2)もあります。

また大人で出されるような、いわゆるせき止め薬とよばれる成分(デキストロメトルファンなど)や、抗ヒスタミン薬(レボセチリジン)なども、子どもの風邪症状には有効ではないことが複数の研究(※3)から報告されています。

なおたんがからんでいない、乾いたせきの場合は、麦門冬湯(ばくもんどうとう)(※4)という漢方薬が効くこともあります。ただし、これも内服4~5日目から効果があるというもので、即効性があるとは言いがたいです。

もし薬が飲めたとしても、せきがすぐに改善するわけではないのです。

抗菌薬(抗生剤)が必要なケースは、限られています

せきが続くと「肺炎になっていないか心配です」(3歳)、「細菌が悪さをしているから、せきが長引いているのでは?抗菌薬が必要なのでは?と思って受診しました」(6歳)というような相談をいただくことも多いです。

結論からお伝えすると、せきに対して、抗菌薬(抗生剤)が必要な場合は、限定的です。たしかに長引くせきは、気管支炎や肺炎の可能性も否定できません。ただしウイルス性の気管支炎や肺炎のほうが(細菌性のものより)頻度が高く、その場合は抗菌薬はまったく効果がありません(抗菌薬は、細菌にしか効果がありません)。

また、抗菌薬は子どもにとってデメリットもあります。具体的には、乳幼児期に抗菌薬を投与されることによって、将来、気管支ぜんそくや食物アレルギーといったアレルギー性疾患のリスクが高まるといわれています(※5)。

一つの目安として、厚生労働省の「抗微生物薬適正使用の手引き第二版(2019年)」では、日中も続くせきが10日間以上みられる場合には、抗菌薬を検討するとしています。またたんがからむせきが4週間以上続く場合などには、抗菌薬が有効な場合があるという研究報告(※6)もあります。

せきが出ていても、1〜2週間ほどで、発熱もなく過ごせていれば、抗菌薬は必要ない、使っても効果が乏しい可能性が高いということです。

【ホームケア・1】「鼻吸い」をしっかり

せきは長引くもの。薬も完全には効果はない・・・、となると、ホームケアでなんとかしたいと思いますよね。

鼻吸いは、鼻水だけではなく、せきのホームケアとしても有効です。鼻吸いをしてあげることで、風邪症状の悪化を防げることは、研究(※7)でも明らかです。子どもが嫌がると、ついためらいがちですが、寝る前や、授乳・食事の前だけでも、心を決めて取り組めるといいでしょう。

鼻吸い器は、電動で吸引できるタイプがおすすめです。口で吸うタイプは吸引力が弱く、また風邪がうつるリスクもあるので、おすすめできません。

また、鼻血が出るのが心配で、鼻吸い器を使いづらい・・・.というお声もよく聞きます。ただし正しい使い方であれば、市販の鼻吸い器を使った結果、重篤な出血となることは、まず考えられません。そもそも風邪、つまり鼻の粘膜が炎症を起こしているときは、鼻吸いをしなくても鼻血が出ることはよくあるものです。もし鼻血が出てしまっても、出血すると血が止まりにくくなる病気などを指摘されたことがなければ、過度に心配しなくていいでしょう。

【ホームケア・2】基本の「睡眠」と「加湿」

一般的に「風邪を引いたら、しっかり寝ないと・・・.」といわれますが、たしかに睡眠は大事であることが研究でも示されています。成人が対象の研究ですが、睡眠時間が短い人(7時間未満)は、睡眠時間が長い人(8時間以上)と比べると、風邪に約3倍かかりやすくなるという報告(※8)もあります。1歳未満であれば合計14時間ほど、3歳までは約12時間ほどは睡眠が必要とされています。せきでなかなか夜に寝つけない・起きてしまうということもあるので、風邪の時は昼夜関係なく、こまぎれもいいので、意識して睡眠時間を確保できるといいでしょう。

また部屋の湿度が低く乾燥していると、せきが長引いたり悪化したりする原因の一つになります。保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)では、保育室の湿度は1年を通じて60%くらいが目安とされています。加湿器や濡らしたタオルなどで、可能な範囲で加湿に取り組めるといいでしょう。

【ホームケア・3】1歳以上は「はちみつ」に期待

せきに対して、はちみつは、薬に劣らない効果があるかもしれない、という研究(※10)があります。はちみつには抗炎症作用などがあるからです。ただし乳児ボツリヌス症のリスクがあるため、1歳未満の子どもにははちみつは絶対に与えないでください。
 
絶対にこの量をあげないといけない、という決まりはありません。子どもが嫌がらなければ、食事の前後やおやつのときなどに、ティースプーン1杯程度のはちみつをあげるだけでも、せきのホームケアになりえます。

気長にかまえる

せきがだらだらつづいたり、薬を飲んでくれなかったりすると、不安になったりイライラしたりしますよね。ただし、せきが続くのは異常な経過ではないこと、薬が飲めたとしても効果は限定的で即効性はないことなどを思い出し、気長に乗りきれるといいでしょう。

「せきのせいで水分がとれない、まったく寝つけない」「どんどん悪化している」「発熱が3~4日間以上続く」などの症状がなければ、どーんと構える!というのも、保護者にとっての大事なホームケアかもしれません。「せきゼロ!」をめざすとしんどいですから、鼻吸いや加湿、睡眠時間の確保など、無理なくできるホームケアにトライしながら、うまく乗り越えていけるといいですね。

監修・文/白井沙良子先生

構成/たまひよONLINE編集部

「せきが苦しそうで見てられない」というママ・パパも多いかもしれません。白井先生のていねいでわかりやすく解説を頭に入れて、あわてず子どもたちに寄り添ってあげましょう。

※1 Thompson M, Vodicka TA, Blair PS, Buckley DI, Heneghan C, Hay AD; TARGET Programme Team. Duration of symptoms of respiratory tract infections in children: systematic review. BMJ. 2013 Dec 11;347:f7027.
※2 Chalumeau M, Duijvestijn YC. Acetylcysteine and carbocysteine for acute upper and lower respiratory tract infections in paediatric patients without chronic broncho-pulmonary disease. Cochrane Database Syst Rev. 2013 May 31;(5):CD003124.
※3 Parisi GF, Licari A, Papale M, Manti S, Salpietro C, Marseglia GL, Leonardi S. Antihistamines: ABC for the pediatricians. Pediatr Allergy Immunol. 2020 Feb;31 Suppl 24:34-36.
※4 Irifune K, Hamada H, Ito R, Katayama H, Watanabe A, Kato A, Miyoshi S, Hamaguchi N, Toyozawa R, Hamaguchi S, Abe M, Nishimura K, Higaki J. Antitussive effect of bakumondoto a fixed kampo medicine (six herbal components) for treatment of post-infectious prolonged cough: controlled clinical pilot study with 19 patients. Phytomedicine. 2011 Jun 15;18(8-9):630-3.
※5 Ahmadizar F, Vijverberg SJH, Arets HGM, de Boer A, Lang JE, Garssen J, Kraneveld A, Maitland-van der Zee AH. Early-life antibiotic exposure increases the risk of developing allergic symptoms later in life: A meta-analysis. Allergy. 2018 May;73(5):971-986.
※6 Chang AB, Oppenheimer JJ, Weinberger M, Rubin BK, Irwin RS. Children With Chronic Wet or Productive Cough--Treatment and Investigations: A Systematic Review. Chest. 2016 Jan;149(1):120-42.
※7 Alexandrino AS, Santos R, Melo C, Bastos JM, Postiaux G. Caregivers' education vs rhinopharyngeal clearance in children with upper respiratory infections: impact on children's health outcomes. Eur J Pediatr. 2017 Oct;176(10):1375-1383.
※7 Pizzulli A, Perna S, Bennewiz A, Roeblitz H, Tripodi S, Florack J, Wagner P, Hofmaier S, Matricardi PM. The impact of nasal aspiration with an automatic device on upper and lower respiratory symptoms in wheezing children: a pilot case-control study. Ital J Pediatr. 2018 Jun 14;44(1):68.
※8 Cohen S, Doyle WJ, Alper CM, Janicki-Deverts D, Turner RB. Sleep habits and susceptibility to the common cold. Arch Intern Med. 2009 Jan 12;169(1):62-7.
※9 Oduwole O, Udoh EE, Oyo-Ita A, Meremikwu MM. Honey for acute cough in children. Cochrane Database Syst Rev. 2018 Apr 10;4(4):CD007094.


●記事の内容は2023年11月30日の情報であり、現在と異なる場合があります。

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