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被災時の育児について緊急メッセージ「災害時だからこそ、周囲の力を頼って、頑張りすぎない育児を!」【小児科医】

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2024年の元旦に発生した能登半島地震。被災された赤ちゃん連れのファミリーに向けて、小児科医の黒澤照喜先生からの緊急メッセージをお届けします。地震などの災害に遭う可能性はだれにでもあります。今回は被災していないママ・パパも、ぜひ読んでみてください。

被災したママ、パパへ― まわりの人に頼って、気持ちと体を休ませる時間をつくりましょう

突然の災害に見舞われ、つらく恐ろしい思いをしながら毎日を送られているみなさまに、心からお見舞い申し上げます。長引く避難生活で不自由な思いをされ、いろいろと悩みが出てくる時期かと思います。

「ひよこクラブ」では、ママ・パパだけで頑張りすぎない“チーム育児”を提唱してきましたが、このようなつらいときこそ、子育てを自分たちだけで抱え込まないでください。困っていることや悩みをまわりの人に話すだけで気が晴れることもあります。そこから解決策が生まれるかもしれません。
手を抜けるところは少しでも手を抜いて、ママやパパが気持ちと体を休ませる時間をつくっていただければと思います。

赤ちゃんは、“みんなで守ってあげる存在”です

赤ちゃんや、基礎疾患のあるお子さんなどは、災害時には最優先で対応が必要な“災害弱者”です。弱者である赤ちゃんを守るのは、ママ・パパだけの仕事ではありません。いろいろな人の力を積極的に借りて、みんなで守ってあげましょう。
たとえば避難所で、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎のある赤ちゃんに必要な対応を求めることなどを、けっして遠慮しないでください。適切に対処してトラブルなく過ごせることは、赤ちゃんだけでなく、まわりのみんなの幸せにもつながります。

赤ちゃんのことを心配しすぎないで。「食う・寝る・遊ぶ」ができていれば大丈夫!

避難生活では、赤ちゃんの体温調節や栄養・水分補給、清潔のケアが普段と同じようにはできず、これで大丈夫かと心配にもなりますね。でも、普段の診療でもママ・パパにお伝えしていますが、「食う・寝る・遊ぶ(ご機嫌がいい)」ができていれば、赤ちゃんはひとまず大丈夫です。被災時の赤ちゃんの生活については、下記にも詳しく掲載されていますので、気になることがあれば参考にしてみてください。

参考:日本新生児成育医学会「被災地の避難所等で生活をする赤ちゃんのためのQ&A(一般向け)」

感染症対策は? ―恐れすぎず、正しい情報を得て対策を―

冬に流行する風邪やインフルエンザ、ウイルス性の胃腸炎などの感染症予防の基本は、新型コロナの感染対策で実践していたことと同じです。換気と手洗いをし、他者との距離を保ちできる限り“三密”を回避するなどですが、避難生活では難しい場合もあります。

感染症は、正しい知識を得て、恐れすぎないことがとても大事。できないことを心配しすぎずに、感染症に関する正しい情報を知り、“今の状況でできることをやっておけばOK”と考えておきましょう。

赤ちゃんの感染症は、いちばん身近なママ、パパからうつることが多いです。ですから、ママやパパの体調がすぐれないときは、くれぐれも無理せず体を休めてください。避難所では、感染を広げないためにも、赤ちゃんも大人も感染症を疑う症状が出たら、すぐにまわりの人に伝えることが大切です。注意したい具体的な症状については下記を参考にしてください。

参考:「避難所掲示用『報告するべき症状』ポスター(避難所における感染対策マニュアル 2011年3月24日版 9/23ページ)」

赤ちゃんの具合が悪くなったら? ー遠慮せずに周囲に助けを求めましょう―

発熱、下痢、嘔吐(おうと)が見られたり、いつもと明らかに様子が違うなど、赤ちゃんの体調に異変を感じたときは、迷わずまわりの人に助けを求めましょう。平時のように、何かあったらすぐに医療機関を受診することが難しい状況ですから、早め早めの対処が必要です。

受診したときには、今後どのような経過が予想されるのか、どのような状態になれば再受診すればいいのかなど、今、家族でできるケアについて、いつも以上にていねいに聞いておきましょう。

赤ちゃんを守るためにも、ママ・パパのメンタルケアを大切に

震災発生から、つねに気の張った状態が続き、いろいろとやらなくてはいけないことも多く、ママもパパもすでにいっぱいいっぱいの状態になっているかと思います。

つらいと感じる気持ちは抑え込まないで

緊張の糸が途切れたときにわっと涙が出たり、よくわからない怒りに襲われたりすることもあると思います。そうした感情は無理に抑え込まず、だれかにうまく伝えていきましょう。

今後は、被災地にいろいろな職種の支援の手が入って、困りごとへの相談なども少しずつ拡充していくと思います。また、そうした専門家ではなくても、ご夫婦やママ友・パパ友、ご近所の方など、つらいと感じていることはお互いに話をしたり、聞いてあげられるといいですね。

赤ちゃんは泣くのも仕事!

とくに避難所で生活しているファミリーは、赤ちゃんが泣いたとき、抱っこで泣きやませようと、頑張りすぎて疲れていませんか? 周囲への気兼ねもあって、精神的にも負担を感じてしまいますよね。

でも、3~4カ月ごろのたそがれ泣きのときと同様で、何をやっても泣きやまないこともあるもの。そんなときは、泣かせておくのも一つの手です。赤ちゃんのお世話に、まわりの人を巻き込んでもいいと思います。赤ちゃんを安心させてあげるためにも、ママ・パパはご自身のメンタルを、どうか大切にいたわってあげてください。

「まっ、いいか!」と気楽に構えることも大切

赤ちゃんを連れての過酷な避難生活に、この先どうなるのだろうと、今は不安でいっぱいだと思います。でも、今と同じ状態がずっと続くことはありません。命にかかわること、絶対にやらなきゃいけないこと以外は、「まっ、いいか!」と気楽に構えましょう。災害時だからこそうまく手を抜いて、大変な時期を乗りきっていただけるよう願っています。

監修/黒澤照喜先生

小さな赤ちゃんと一緒の避難生活は、とても大変だと思いますが、黒澤先生の言葉のように、ママ・パパ自身のこともできるだけいたわって、乗りきっていただければと思います。震災後の厳しい状況の中にいる赤ちゃん、ママ・パパの生活が、少しでも早く改善し、元に戻るように心より祈っています。(取材・文/四辻深雪、ひよこクラブ編集部)

●記事の内容は2024年1月の情報で、現在と異なる場合があります。

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