【モデル・鈴木サチ】2回の流産、絨毛がんの治療を経て、5人目の出産へ。40代になって感じる妊娠・出産の難しさ
2023年11月、自身のInstagramで第5子を妊娠中であることを発表したモデルの鈴木サチさん。どうしても欲しかった第4子のこと、仕事と育児の両立について詳しく話しを聞きました。全2回インタビューの2回目です。
1人目の妊娠と5人目の妊娠、心境の違いは?
――第1子の出産から14年、4人目の息子さんの出産から2年が過ぎていますが、年齢的な負担は感じますか?
鈴木さん(以下敬称略) 20代のころと比べると40代の出産はどうしても産後、体力的に落ちてきているかなとは感じています。でもそれ以外はそこまで負担に思うようなことはないです。
先生から5人目なので子宮頸管(しきゅうけいかん)が短くなりやすいから、最後はあまり体を動かさないようにというアドバイスはもらっています。
――第5子の妊娠中の現在、心の変化はいかがですか? これまでとの違いはありますか?
鈴木 1人目のときは「あれをやったらダメ」、「これをやったら怖い」と思い込んで不安に思っていました。でも今は経験値もあるので、気にしていないというよりも、「気にしていられない」という感じですね(笑)
「卵子凍結」は前向きに
――Instagramにて44歳で第5子妊娠を発表した際、どんな反響がありましたか?
鈴木 ありがたいことに「おめでとう」という声をたくさんいただきました。また、妊娠・出産に関して多くの方が悩みを抱えているということも感じました。私は44歳で妊娠しましたが、これはまれなケースだと思っています。もし、妊娠を望んでいるならば婦人科で検査をしたり、体を整えたりする必要があると思います。
――現在「卵子凍結」に注目が集まっていますが、鈴木さんはどのように考えていますか。
鈴木 今、妊娠・出産を予定していなくても、将来の妊娠に備えて「卵子凍結」をしておくことはすごくいいと思います。とくに働く女性にとっては「そのとき」が来たときに、可能性を広げてくれると思います。実は私も4人目を妊娠するまでに2回、流産しています。流産を経験しているからこそ、妊娠の可能性を広げてくれる卵子凍結に前向きな考えを持っています。
――5人目の妊娠までトラブルなく順調に妊娠・出産を繰りかえされていたわけではないのですね。
鈴木 そうですね。30代までの妊娠・出産は問題ありませんでした。でも4人目が欲しいタイミングで立て続けに2回流産してしまったので本当にショックでした。そこで40代になってからの「妊娠・出産は奇跡なことなんだ」と改めて感じました。
――その時期の状況をもう少し詳しく教えてください。
鈴木 どうしても4人目が欲しくて気持ちもあせっていたのかもしれません。これまであまり考えなくても当たり前のように妊娠・出産を繰り返していたので、「私が流産するわけない」という思いもありました。だから1回目は稽留流産、2回目の流産のときには絨毛がんの予備軍であることがわかって、「うそでしょ!」と信じられない気持ちでいっぱいでした。
その後、半年は体を休ませないといけないと主治医から言われたとき、ちょうどコロナ禍だったこともあり、そんなストレスもあったし、半年間待ったら、年齢が行ってしまうじゃん、とあせりと不安でいっぱいでした。でも今思えば、2回の流産のあと体を休ませたことは逆に冷静になれてよかったように思います。その後、不妊外来にも通い、自分の体の状態を調べたりもしました。
不妊外来で自分の体をチェック
――コロナ禍に大変な思いをされていたのですね。そして不妊外来にも通われていたとは・・・。
鈴木 今の自分の体の状態を調べておきたかったのと、4人目を作るために必要なことがあればという思いで病院で先生に相談をしました。すると、年齢のわりには卵の質も量も問題ないです、というお墨付きをもらい、安心しました。そこから半年後にタイミング法の末、第4子を妊娠することができました。
――4人目の子どもを出産することに強いこだわりがあったのですね。
鈴木 そうですね。今の夫との間に2人は子どもを作りたいという強い思いがあったので、そこにはこだわりがありました。そしてこれから夫との3人目の子どもが誕生するので本当に楽しみです。
――鈴木さんにとって家族とはどんな存在ですか?
鈴木 今のお仕事も大事ですが、家族中心ですべてが回っているので私の人生そのものですね。
――これから第5子の出産を控えていますが、家族のことを心の中心に留めながら、仕事もこなしていかれるかと思いますが、鈴木さんは本当にアクティブですよね。
鈴木 まわりの人たちからよくそう言っていただきますが、私の姉からは無計画・無鉄砲と言われています(笑)。自分の中では何事も「なんとかなる」と思えてしまうんですよね。だから、育児と仕事を天秤にかけるのではなく、自分のやりたいことは全部やろうという気持ちです。
――たしかに迷っているくらいなら「なんとかなる精神」で前を向いていくのが一番ですね。とはいえ、実際問題、出産後不安なことはありませんか?
鈴木 今回は4月生まれなのでそこがちょっと気がかりにはなっています。4月生まれだと1年間保育園に預けられないので(一般的には年度途中の入園は難しいため)その間をどうしようかと今から悩んではいます。第4子が2月生まれだったので、生後2カ月半で保育園に預け、仕事に復帰していました。でも今回はそういうわけにはいかないかもしれないので、育児と仕事のバランスを今から考えています。
私の身心を整えてくれるピラティス
――Instagramで「なんでお子さんたくさんいるのにそんなにきれいなの?」という声を見かけます。妊娠・出産の回数・人数もさることながら、育児をしながら自身の美しさを保つ秘訣を教えてください。
鈴木 それが・・・、とくに何にもしていないんです。でも「そうは言ってもなにか特別なことをしているんでしょ?」とみなさんが思う気持ちはわかります。でも「特別なこと」はいっさいしていません。ただ、日常生活は整ってはいると思います。たとえば朝、太陽が昇る時間に起きて、白湯を飲む。そして、私の場合は朝と昼の2食をしっかりとり、日中は体を動かして夜は湯船につかって1日の疲れを取る、という規則正しい生活を何年も送っています。ですから、だれかのまねをするのではなく、自分の体と向き合って、自分に合う生活を心がけることが大事だと思います。
――今、食事は朝と昼の2食とのことですが、そのスタイルが鈴木さんには合っているということなのですね。
鈴木 はい、私の場合はお昼にしっかり量も栄養バランスも食べるのが体に負担がないので、1日2食です。家族は3食食べるので、家族の分の夕食は用意します。一斉に「いただきます」をすることもありますが、平日は各自、忙しいので、自分の都合に合わせて好きな時間に好きなものを食べるというスタイルですね。
――モデルの仕事とピラティスのインストラクターもされていますが、ピラティスが鈴木さんの健康や体形維持に関係していますか?
鈴木 先ほど特別なことはなにもしていないと言いましたが、ピラティスは大いに関係していると思います。ピラティスを続けていくと体のゆがみが取れますし、骨盤まわりを動かすことで血流もよくなります。ピラティスのおかげで体形の維持もできていますし、妊娠力もついたあとはよりピラティスに向き合うようになりました。
――最後になります。0~2歳ごろの子どもを育てている「たまひよ」読者のママ・パパにメッセージをお願いします。
鈴木 以前、5年生の長男が子育てについて書いてある記事を読んだときに「ママ、子育てって難しいの?」と聞いてきたことがありました。そのとき、私は「育児には1+1=2のようにはっきりとした正解がないから難しいかもね」と伝えました。とくに0歳~2歳の子育て、そして初めてのお子さんだと、右も左もわからないかと思いますし、まわりと比べて迷いが生じてしまうこともあるかと思います。でも、まわりと比較する必要はまったくないと思います。3時間おきにミルクをあげなきゃいけないとか、離乳食を絶対に食べさせなきゃいけないとか、いろんなことにがんじがらめになってしまいがちですが、自分のペースで自分が心地いい感覚を大事にして、肩の力を抜いて育児を楽しんでほしいなと思います。
お話・写真提供/鈴木サチさん 取材・文/安田ナナ、たまひよONLINE編集部
2回の流産を経験、そして不妊外来の受診と妊娠・出産に関してさまざまな経験をされた鈴木さん。根底に前向きな精神力と体力があるからこそ、乗り越えられてきたんだと感じました。この春には第5子誕生。元気な赤ちゃんの誕生を心待ちにしています。
鈴木サチさん(すずきさち)
PROFILE
ファッションモデル。1979年11月生まれ、 愛知県出身。 現在は多数ファッション誌、広告、 イベントに出演するかたわら、ピラティスのインストラクターとしても活躍中。2010年に第1子、2012年に第2子、2019年に第3子、2022年に第4子を出産し、現在は4人のママに。2024年4月に第5子を出産予定。