発熱11日目にマイコプラズマ肺炎で入院。息子はたくさんの管につながれて、見るのもつらい状態…。さらに入院中起こった予想外のできごとに困惑…【体験談】
2024年夏に流行した、マイコプラズマ肺炎。シングルで子育てしているわぐりさんの息子(ムスコくん・保育園年長さんの6歳)も、初夏にマイコプラズマ肺炎にかかり、入院まで経験しました。最初は原因不明で、ママの不安も大きかったそう。全2回インタビューの2回目は、入院中の経過や予想外のできごとについて聞きます。
「症状を改善してあげたい」「この病院で治してもらおう」その思いで同意書にサイン
4回も受診し、薬を飲み続けたものの、熱も咳(せき)も治まらず、発熱の原因が突き止められぬまま、10日間自宅療養をしていた、わぐりさんの息子さん。11日目に40.3度の発熱があり、再度救急外来を受診したところ、酸素飽和濃度が91%という低い値であることが判明。マイコプラズマ肺炎と診断され、入院することになりました。
「午後7時ごろに受診をし、検査などをいろいろ受けて、入院が決まったのが夜中。ここから付き添い入院が始まり、医師から治療方針についての説明を受けたのは、もう夜中の0時近くでした。
その病院では、息子が服用した薬が効かなかった場合、別の薬を使うことになっているそうで、そちらの薬を使用したいとのことでした。ただ、その薬は欧米では小児にも使われているそうなのですが、日本では小児には使われてはいないとのこと。迷いましたが、先生の副作用などの説明を聞いたうえで、この症状から息子を早く解放してあげるにはやるしかない、この病院で治してもらおうという思いで、その薬の使用を決め、同意書にサインをしました。
この日の息子は、たくさんの管につながれて、本当にぐったり苦しそうにしていて、明らかに重篤な状態で、見ているのもつらいくらいでした。
ただ、その薬や点滴が効いたのか、酸素を吸って体の酸素飽和濃度が上がったからか、翌朝には熱もかなり下がったんです! 息子もすごく楽になったように見えました。病院で出された朝ごはんも普通に食べていましたね。しかも、お昼のおやつがポテトチップスで、私はびっくりしたんですけど、息子は喜んで食べていました。ごはんが食べられるようになったら点滴を外せるからねって、病院の先生に言われたのも本人にとって大きかったのかもしれません。
順調によくなっている感じがして、私も安心しました」(わぐりさん)
しかし、発熱14日目(入院4日目)に予想外のことが起こりました。そして、しばらくの間、わぐりさんは悩まされることになるのです。
「入院のストレスのためか、息子が夜中や日中に突然泣き叫ぶようになったんです。それも、夜中に2回、日中に2回とか結構な頻度だし、1回かんしゃくを起こすと30分~1時間は、本当に手が付けられない感じになりました。本当に人が変わったような感じで、息子なのに息子じゃないみたい。背中をさすって落ち着かせようとしても『俺に触るな!出ていけ!』みたいな暴言を吐かれた日もありました。
何かを投げたりもするけれども、やわらかいものを投げるとか、ちゃんと理性はあるし、こちらの声も聞こえているみたいでしたけど、理性に訴えかけても治まることはありませんでした。
これも抗生剤の副作用ですか?と医師に聞いてみたのですが、こういう副作用は報告されてないそうで…。やはり息子も入院でストレスがたまったんでしょうね。
ただ、私も1日のうち22時間は病院にいて、2時間だけ親に見てもらって、シャワーだけ浴びて、洗濯をして戻ってくるという生活をしていた中での出来事だったので、精神的にも限界。しかも、何かをきっかけに始まるけれど、そのきっかけが何なのかはわからなかったんですよね。正直、このかんしゃくが本当にキツかったです。私としては、入院中、いちばんキツかったことですね。
感染症での入院だったため、部屋は大部屋ではなく個室ではありましたが、ドアは開いていて同じフロアにはたくさん病室もあったので、まわりに迷惑をおかけしたんじゃないかということも心配でした」(わぐりさん)
そんな予想外のできごとがありつつも、息子さんの体は順調に回復。発熱15日目(入院5日目)には点滴や酸素の管が外れました。
「発熱6日目(入院6日目)には無事退院することができました。少し体力が落ちているように感じましたが、熱も咳も治まり、元気そうで安心できました」(わぐりさん)
6日間の付き添い入院ですが、付き添うほうもなかなか大変。わぐりさんも、狭くてかたい簡易ベッドで寝なくてはならなかったそうです。
「簡易ベッドをレンタルしたのですが、それが本当に小さくてかたくて。ずっとこれに寝るのかと思うと、なかなかつらいものがありました。夜中もちょっとしたことで目が覚めて、寝たり起きたり。『飛行機で寝るよりマシ』『横になれるだけマシ』と思って乗りきりました。
でもすぐに夜中のかんしゃくが始まってしまい、まともに横になることも難しかったです」(わぐりさん)
入院中に始まったかんしゃく。それは退院後もしばらく続いた
6日間の入院後、無事退院できたわぐりさんの息子さん。しかし、その後もかんしゃくだけは続いたそうです。
「退院後、息子はしばらく抗生剤を飲みながら、自宅療養をしていました。夜中のかんしゃくは、退院後3日くらいすると落ち着いたので、それはよかったのですが、日中に何か気に入らないことがあると、すぐかんしゃくを起こすようになっちゃったんですよね。
『かか、きらい』『かかのばか』『あっちいけ』とかの暴言もありますし、手を出してきたこともあります。かんしゃくを起こしている最中は、何を言っても聞かないし、手が付けられないし、本当に人が変わったようになります。
本人もつらそうでしたけど、こちらも何をするとかんしゃくのスイッチになるのか、まったく予想できなかったので、ビクビクしながら過ごすことになりました。それがしばらく続いたのは、つらかったですね」(わぐり)
とにもかくにも、順調に回復し、今は元気に保育園に通っているムスコくん。今、わぐりさんが思うこととは…。
「私の場合、最初はかかりつけの小さな病院に連れて行っていたんです。でも、出された薬があまり効いている感じがしなかったし、いつもの風邪とちょっと様子が違うなと私自身は感じていました。そんなときに、たまたま休日に症状が悪化して、救急外来に行ったときに、初めてマイコプラズマ肺炎の可能性を知らされました。
今思うのは、いつもと違うなって感じたとき、もう少し早い段階で、詳しい検査ができる病院に連れて行ったり、紹介してもらったりしたほうがよかったんじゃないかなということですね。」(わぐりさん)
お話・イラスト提供/わぐりさん 取材・文/酒井有美、たまひよONLINE編集部
マイコプラズマ肺炎は初期ではわかりにくく、医師もなかなか診断がつけられない病気です。ただ、できるだけ早く症状を改善させてあげたいと思うのは、親心としてありますよね。咳が長引く、熱がなかなか下がらないなどの症状があれば、早めに受診し、不安なこと・普段と違うと感じることを相談してみるといいかもしれません。
わぐり
PROFILE
2018年に男の子を出産した、38歳シングルワーママ。X(旧Twitter)やInstagramに育児中のちょっとした出来事や気持ちをイラストに描いて、つぶやいている。犬とボードゲームと海外旅行を愛するオタク。
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●掲載している情報は2024年9月現在のものです。