4人のママ、加藤夏希。切迫早産になり入院も経験。平日はワンオペ状態だけど、子どもが4人になって子育てがラクに?!
俳優として活躍する加藤夏希さん。プライベートでは、2014年に一般男性と結婚し、8歳・5歳・3歳・そして生後7カ月の4人のママに。自身初となるプロデュースを手がけた舞台の上映を控え、仕事面でも忙しい日々を送っています。平日はほぼワンオペという4人の子育てについて、また、頑張りすぎない子育てのコツを聞きました。
全2回インタビューの前編です。
平日はワンオペ状態でも、子どもが4人になって子育てがラクになった
――現在4人のママということで、子どもたちとの日々の暮らしについて教えてください。
加藤さん(以下敬称略) 長女が小学2年生の8歳、長男が年長さんで5歳、二男が3歳、二女が現在7カ月になります。長男と二男は同じ保育園に通っていて、二女はその園の待機児童です。兄たちと別の園であればすぐに入ることもできたのですが、一緒の園に通わせたいという希望があって、待機する形を選びました。平日の仕事の間は、東京都の『ベビーシッター利用支援事業』というサービスを利用しています。
4人の子どもたちとの暮らしは、基本的に時間に追われていますね(笑)。朝起きた瞬間から、洗濯やら朝食やら、朝の準備やらでバッタバタのまま、子どもたちを学校と保育園に送り出し、いちばん下の娘をシッターさんに預け、仕事場に着いて初めて「フ〜」とひと息つくような毎日です。
そして仕事が終わってからも、そのまま学童へ長女を迎えに行って、一度家に戻ってシッターさんから二女を引き継ぎ、それから、長男と二男の保育園へお迎えに行きます。お迎えのときは、本当に分刻みで動いている感じですね。ただ帰宅してからは、「子どもたちのごはんさえ作れば、取りあえずいいや」という気持ちでやっているので、そういう点では気持ちはラクです。
夫は仕事が忙しくて、とくに夜はいないことが多いんです。だから、平日は私がほとんどワンオペ状態。週末は夫が休みなので、日中に子どもたちと一緒に公園へ遊びに行ったり、夜には一緒におふろに入ったりしていますね。
――下の娘さんはまだ7カ月ですが、産後はどのぐらいで仕事に復帰したんですか?
加藤 今回の出産では、切迫早産(せっぱくそうざん)で少し前から入院をしていて、しばらく病院に缶詰め状態だったんです。それで、37週に入ってすぐに出産しましたが、もう外に出たくてうずうずしていました(笑)。自分の体としてもすっかり元気に回復してきた、産後2カ月ぐらいから少しずつ仕事にも復帰して、仕事場にも娘を連れて行っていました。
1月に舞台をやるのですが、舞台の出演に加えて、今回は初めてプロデュースから参加させてもらってます。その打ち合わせなどが妊娠中からすでに始まっていて、切迫早産での入院中や産後にも動いていたりと、いろいろバタバタのまま迎えたお産でした。
ただ、もう4人目ということもあって、自分の体の変化だったり、赤ちゃんの成長の過程などもある程度予測ができたので、産後もあまり悩んだりせずに過ごすことができています。
――やはり、それまでの3人の産後のほうが大変でしたか?
加藤 そうですね、2人目までがとくに大変でした。1人目は、何もかもが初めてで、わからないことだらけ。そして2人目は、流れは知っているけど、性別が違ったし、きょうだい間のこともわからなかったし、そういうことに苦戦していました。
3人目からは、長女もだいぶ成長してきて、赤ちゃんだった二男をすごくかわいがってくれたり、お世話もしてくれました。そしてついに4人目ともなると、長女はすっかり頼もしい存在に。二女のおむつ替えをしたり、ミルクをあげるなど、お世話をよくしてくれるんです。だから、“赤ちゃんが泣いていて、でも家事をやらないといけない”というバタバタしがちな時間帯や場面でも、意外と夕食づくりなどは余裕をもってすることができていますね。
1人目の育児では、「全部、私の役目だから」と背負い込んでいた
――パパさんも、1人目、2人目と、だんだんと責任感は変わっていきましたか?
加藤 長女のときは、歩き出すまではほとんどパパの出番がなくて(笑)。夫には、「どうぞどうぞ、飲みに行ってきてください」という感じで、私は長女と常にべったりでした。
当時は、おむつ替えもミルクも、基本的には私がすべてやっていたんです。「私がやりたいし、私の役目だから」と思っていたんですよね。だから、パパは横で“見てるだけ状態”だったし、娘を抱っこするときは「ちょっと、抱っこしてもいいですか?」と私に確認してくるくらいでした(笑)
娘が歩き始めてからようやく、「こうやって遊べるんだ!」というのを夫もわかってきたみたいでした。だから私も、「このぐらいになれば、パパの出番もあるんだな〜」なんて思っていましたね。
ただ2人目になると、これまでと同じようにはいかなくなって。「ごめん、大人の手がたりないからやって!」という感じで、最初から一緒に子育てをしていましたね。だから夫も、そこが初めての0歳児育児のスタートで、「え、泣いてるけど、全然泣きやまないよ」「夜中って、こんなに泣くものなの?」と戸惑っているんですよ。私は冷静に、「いや、1人目も同じ感じだったんだけどね」と心の中で思っていました(笑)
――少し話はそれるのですが、パパさんとはどのように知り合ったのでしょうか?
加藤 夫はもともと、飲み仲間の1人だったんですが、ほとんどしゃべったことはなかったんです。それで、その飲み仲間でオンラインゲームをやろうよという話になって、夫とはそのゲームのチャット上で初めて会話をしたような感じでした。
ゲームの中にはそれぞれの役割があって、夫は私を常に守ってくれる立ち位置で、逆に夫がピンチのときは私が守るような、そういう組み合わせだったんですね。その関係性が、ちょっとキュンとしちゃうような(笑)。そこから1年ぐらいは友だちの期間がありましたが、その後に恋愛に発展して結婚しました。
赤ちゃんをだれにも触れてほしくない!気持ちが抑えられない「ガルガル期」も経験
――第1子のときは、1人で赤ちゃんと向き合う時間が多かったそうですが、落ち込んだり、孤独を感じたりすることはありましたか?
加藤 長女のとき、ホルモンバランスによって精神状態が不安定になる「ガルガル期」がけっこうひどかったですね。とにかく、夫にも、手伝いに来てくれた母にも、赤ちゃんを触られたくないし、抱っこされたくなかったんです。とにかく「赤ちゃんは、私が守らなきゃ」という感覚でした。
せめて、寝ているときくらいはベッドに寝かせたらいいのに、ずっと抱っこしているような状態で・・・。独占欲というか、母の本能?のようなものなのかな・・・そんなものが強くて、その気持ちが抑えられなかったんです。
それが変わってきたのが、長女が動き始めてからですね。「ママに抱っこされたくない」「もう自分で動きたい」という気持ちが長女から伝わってきて、「ああ、どんどん母の元から去っていくんだな〜」なんて寂しくなったりも(笑)
――その後、2人目、3人目と、子育てに対する考え方はどう変化しましたか?
加藤 2人目は男の子で、これまた、格別にかわいかったですね(笑)。それで今度は、長女に対して“ガルガル”が出てしまって・・・。「手を洗ってから赤ちゃんに触りなさい」とか、けっこう厳しく言ってしまったこともありました。長女はまだ2歳だったのに、急にママが変わったとショックだったかもしれないです。
3人目の二男のときは、生まれて3カ月でもう保育園に入園でした。だから、私がしっかり向き合って子育てしたという感覚がほとんどなくて、たくさんの大人たちに育ててもらったという感じです。とにかく、いろいろな人たちが3人の育児にかかわってくれたなと感じたときに、これまでの育児についてあらためて振り返ってみたんです。それで、「私、頑張りすぎてたな〜」と気づくことができました。
そんな自分の中の気持ちの変化があって、3人目からは急に手抜きに(笑)。これまでは、離乳食も全部手作りで頑張っていたんです。でも、「これで食べられるんだし、チンでいいんだ!」と、レトルトの離乳食も使うようになりました。実は明日から、二女の離乳食を始めてみようかなと思っているんですが、離乳食のスタート時期の、ワンスプーンのレトルトとかあったらいいな〜なんて(笑)
3人目以降からは、育児の「手の抜き方」「息の抜き方」がわかるようになってきましたね。
――そうすると、気持ち的にはどうでしたか?だいぶラクになったんでしょうか?
加藤 それまでずっと、子育ての最中は、基本的に子どもとしかしゃべっていないような日々だったんですが、自分の心持ちが変わったことで、大人としゃべるのってこんなに楽しんだとか、世の中の話ができるってすばらしいなとか、再認識したんです。あとは、見ているテレビ番組も、ずっと子ども向け番組ばかりだったのですが、ちょっとしたニュース番組やバラエティ番組を見るようになってきたら、「すごく楽しいな!」なんて思いましたね。
今まで、そっち側にいたはずなのに、子育てに集中しすぎていて、その楽しさや感覚を忘れていましたね。子育てしながらも、ずっと仕事はしていたのですが、どうしても話題が子どものことになりすぎていたのかもしれないです。
ママが怒ってばかりじゃつまらないよね・・・。そんな思いから生まれた子育て術
――テレビ番組の中で、「コール&レスポンス」の子育て法が話題になっていましたね。これは、どんなときに発動されるんですか?
加藤 長女はそんなこともないんですが、男子2人がとにかくやんちゃなんです。テレビ台の上にのぼってテレビをガタガタさせたり、ソファの上からカーテンレールのひもをワイヤー代わりにして遊んだり。あとは、耳元で急に叫んだり、寝ている人の上をまたいだり、おふろあがりにびしょびしょのままリビングを走り回ったり(笑)。男の子の育児を初めて経験して、「あ、こういうことやるんだ」と実感しました。
最初のころは、「やめて、危ないから!けがするから!」と私もどなって言っていたんですが、常に怒っているだけでは、本人たちにはノイズにしか聞こえないみたいなんです。
それで、「私が毎日こんなにイライラしていたら、家に帰ってきても子どもたちは楽しくないだろうな」と思ったんですよね。このままでは家庭の中の雰囲気もよくないし、どうしたらいいもんかと悩んでいたときに、「かけ声」がいいかもと思いついたんです。
それがきっかけで、「コール&レスポンス」を思いつきました。私が「ソファの上には?」とコールをすると、「立・た・な・い!」とか、「ソファからは?」「ジャンプし・な・い!」という感じで、問いかけると、決まったセリフが自然と子どもたちから出てくるんです。
ただ、もちろん最初からできたのではなくて、まずは、「ソファの上には、“立・た・な・い”だよ」と優しく教えることから始めるんです。
それから、
(私)「わかった?ちゃんと聞いてた?ソファの上には?」
(息子)「立・た・な・い」
(私)「そう、正解!!」
というふうに、クイズ形式で教えていくんです。
(私)「ごはん粒は?」
(息子)「プッとし・な・い」
(私)「そう、正解!」
という感じで。
それを繰り返すうちに、自然とレスポンスがかえってくるように。それが徐々に、テンポよくかけ合いができるようになってきました。
さらに今では、私が「コール」をしなくても、きょうだいの間でやってくれるので、いい感じに浸透してくれているなと思っています。
――きょうだい間でやってくれるのはいいですね!きょうだいが多いことで、育児の面でよかったなと思えることはありますか?
加藤 何をするにも、きょうだいの間で競い合いながらできるのはよかったですね。1人だと、だれかと比べたりすることもないので、何か1つ行動を起こすにも時間がかかりがちなんですよね。そうすると親のほうが待てなくなって、「早くしないんだったら、〇〇させないよ」みたいなかけ引きをしてしまうこともあったりして。
でもきょうだいがいると、「だれがいちばん早くできるかな?」とか「だれがいちばん最初に眠れるかな?」なんて声をかけると、けっこう競い合いながらやってくれるんですよ。
――マザーズバックの中に「カセットコンロ」を入れて毎回持ち歩いていたという話も聞きました。それはどんな状況だったんですか?
加藤 長女が赤ちゃんのとき、いつどこで災害が起こっても大丈夫なように、ミルクのセットにカセットコンロ、おむつなどすごい量の荷物を毎回持っていたんです(笑)
当時は液体ミルクがまだなくて、粉ミルクしかなかったので、どうしても荷物が増えがちで。さらに、今ならミルクが冷たいままでも、「まあ、このままでもいいか」なんて飲ませちゃうと思うんですけど、そのときの私は、「ミルクは42度じゃないとダメ!!」と、かなりきっちりガチガチでやっていたんですよね。
2人目からは完母になったので、まずミルクのセットを持たなくなったんです。それから、男の子はおむつ替えのときに、そんなにおしりふきの量が必要なくて。これまでは、「手と口をふく用」「おしりふき用」「アルコール消毒用」と3種類を持っていたのですが、「もしかして、1個でいける?」と気づいて(笑)。子育てに対する気持ちが少しずつ軽くなるように、荷物もどんどん軽量化していきました。
お話・写真提供/加藤夏希さん 取材・文/内田あり(都恋堂)、たまひよONLINE編集部
初めて子育てでは、産後のホルモンバランスが乱れることで起こるガルガル期を経験した加藤さん。さらに、子育で「こうしなきゃ」「こうであるべき」というガチガチな考え方が、2人目、3人目と大人の手が圧倒的にたりなくなってきたことで、徐々にほぐれていき、気持ちの変化とともにマザーズバッグの中の荷物も減っていったそうです。
インタビューの後編は、4人の妊活や出産のこと、もともと苦手だったという料理との向き合い方について聞きました。
加藤夏希さん(かとうなつき)
PROFILE
1985年、秋田県生まれ。12歳でゲームソフトメーカーのイメージガールとしてデビュー。『燃えろ!!ロボコン』に出演後、ドラマやバラエティ番組を中心に活躍。趣味はアニメやゲーム、キャラ弁づくり、落語、手芸。食品栄養管理士と食育アドバイザーの資格を持つ。2014年に一般男性と結婚し、16年に第1子の女の子、19年に第2子の男の子、21年に第3子の男の子、24年に第4子となる女の子を出産し、4児のママに。
2025年1月29日〜2月2日に東京・新宿のシアターサンモールで、加藤夏希さんが共同でプロデュースし、出演する舞台『鬼背参り』(夢枕獏原作)があります。
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2025年1月の情報で、現在と異なる場合があります。