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トイトレを科学的なアプローチから考える。うちの子に合った「ほめ言葉」を見つけると、トイトレがスムーズに進む【ママ泌尿器科医】

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●写真はイメージです 写真提供/ピクスタ

男の子と女の子2人のママであり、泌尿器科医である岡田百合香先生の連載。今回から3回連続で、「応用行動分析で考えるトイレトレーニング」の話をお届けします。「応用行動分析」とは行動の変化を促すために科学的なアプローチをすること。療育の現場などで多く使われているそうです。「お母さん・お父さんのためのおちんちん講座」ママ泌尿器科医#57です。

トイトレとは、「新しい行動を身につけさせる」こと

最近、特別支援教育に関心をもって勉強会に参加しているのですが、その中で出会ったのが「応用行動分析」の考え方。「これは、トイレトレーニング(以下、トイトレ)に役立つぞ・・・!」とひらめき、皆さんにもぜひ紹介したいと思いました。
今回から3回、勉強会の講師であり特別支援学校で教員をしている亀田准季先生との対談形式でお送りします。

岡田 亀田先生、よろしくお願いします。

亀田 お願いします。私は普段、特別支援学校で知的障害のある子どもの教育をしています。その中で、子どもの行動の背景を探ったり、新しい行動を身に着けさせたりする際に「応用行動分析」を使っています。

岡田 トイトレはまさに「新しい行動を身に着けさせる」ことですね。

亀田 はい。トイトレは一定期間をかけて取り組む“親子での挑戦”です。挑戦の前に、応用行動分析の考え方を使って、いくつかの“作戦”を立てることが大切です。

岡田 どうして事前に「作戦」が必要なのでしょうか。

亀田 お子さんは「トイレで排泄をする」という新しい習慣づくりに取り組むことになりますが、その動機は必ずしも「子ども自身がやりたいから」ではなく、大人側の都合がメインである場合も少なくありません。

そのため、子どもにとってはママやパパ、周囲の大人の励ましやほめ言葉がとても重要なモチベーションになります。思うように進まない時期や親があせったりイライラしてしまうようなタイミングでも「ほめ続け」るためには作戦が必要です。

わが子に「届くほめ言葉」を見つけよう

亀田 そこで最初の作戦は「届くほめ言葉/ほめ方を考えよう」です。

岡田 「届くほめ言葉」というのは新鮮ですね。ただほめればいいというわけではないと。

亀田 「えらいね」とほめられるのがうれしい子もいれば、「かっこいい」というほめ言葉でやる気が出る子もいます。うちの子はどのような言葉をもらうとやる気が出るのだろうか・・・、ということを初めに考えてみてください。

岡田 そう言われてみると、わが家の場合「すごい」でほぼワンパターン化していることに気づきました。言い方に若干のバリエーションはあるものの、ほめ言葉の引き出しがあまりないので、もしかしたらもっと刺さるほめ言葉があるのかも。

亀田 私の長女は「お姉さんみたい」という言葉がヒットしました。また、好きなキャラクターを用いてほめることなんかもいいかもしれませんね。

岡田 なるほど。キャラクターのセリフをまねしてみたり、ぬいぐるみや人形を使って褒めるのも喜びそうですね。

亀田 言葉だけでなく、「なでる」「抱きしめる」「タッチ」といったスキンシップを伴うほめ方もいいですね。

小さな目標を立てて、小さな挑戦をしていく先に成功がある

岡田 トイトレにおいて、「しかるのではなく、ほめるのが大事」というのはよく言われていますが、「ほめる」にもさまざまなテクニックがあるのですね。
ほかにはどのような作戦がありますか?

亀田 次は「目標を分割しよう」です。
トイトレにおいては「トイレで排泄成功」を最終的な目標とするのですが、それまでを小さな目標に分割して考えます。

岡田先生は「トイレで排泄する」の中にどのような行程があると思いますか?


岡田 「1/トイレに行く」「2/ズボンと下着をぬぐ」「3/便座に座る」「4/排泄する」「5/ふき取る」「6/下着とズボンをはく」「7/流す」でしょうか。

亀田 そのとおりです。この作業を「課題分析」と言います。課題分析を行うことで、小さな目標を考えることが可能になります。

岡田 なるほど。こまかく分割することで、子どもがクリアするハードルを下げることができるし、ステップごとにこまかくほめることもできますね。

亀田 まさにそのとおりです。“小さな挑戦の先に、大きな成功がある“イメージです。目標を分割することで、結果的にほめる機会が増えます。たくさんほめられたほうがモチベーションも上がりますよね。

岡田 また、子どもがどこでつまづいているのかを把握する際にも役立ちそうです。

亀田 そうですね。子どものつまづきポイントによっては、さらにこまかく分割することも可能です。

「1/トイレに行く」を「トイレの前まで行く」「トイレの中に入る」に分割したり、「3/便座に座る」を「5秒座る」「10秒座る」、「服を着たまま座る」「服を脱いで座る」といった形に分割することもできます。

岡田 確かに、家庭の環境によっては「トイレに行く」の前にも「廊下の電気をつける」「階段を上がる(下りる)」といった行程が含まれる場合もありますよね。それぞれの家庭環境や子どもの性格に応じて、事前に作戦を立てることがとても大切だとわかりました。

お話・監修/亀田准季先生・岡田百合香先生 文/岡田百合香先生 構成/たまひよONLINE編集部

次回は、トイトレをスタートした後の「ほめスキル」について引き続き岡田百合香先生と亀田准季先生の対談をお届けます。

亀田准季先生

PROFILE
愛知県出身。これまで特別支援学校(肢体不自由、知的障害)を中心に、小学校特別支援学級や高校通級などで多様な特別支援ニーズのある子の教育に携わる。その中で得た知識や経験をもとに、特別支援教育について学ぶサークルを立ち上げ、多くの学校関係者等とともに、地域の特別支援教育の推進に努めている。専門は応用行動分析、ペアレントトレーニング。3児の父。

●記事の内容は2025年2月の情報で、現在と異なる場合があります。

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