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ママさんバレーチームの練習で出た、「尿もれ」の話。妊娠・出産をした多くの女性が経験する尿もれの実態【泌尿器科医】

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女性の肖像
●写真はイメージです
Milatas/gettyimages

男の子と女の子2人のママであり、泌尿器科医である岡田百合香先生の連載。今回は、「産後の尿もれ」についてです。産後の尿もれは、妊娠や出産によって骨盤底筋が弱くなり膀胱(ぼうこう)を支える力が低下するために起こります。「お母さん・お父さんのためのおちんちん講座」ママ泌尿器科医#56です。

ママさんバレーチームの練習で出た、尿もれの話

今回は産後の尿のトラブルについてお話します。

小学生のときからバレーボールをしていて、現在は地域のママさんバレーボールチームで楽しくプレーしている私。先日、チームの新年会で尿もれの話になりました。
1人が「みんな、バレーしているときに尿もれしない?」と投げかけたのをきっかけに、「めっちゃもれる!おりものシート必須だよ」「いやいや、おりものシートじゃカバーしきれないから、多い日用のナプキン当ててる」と大盛り上がり。
その場にいた十数人のうち約半分が「バレー中に尿もれする」とのことでした。
かく言う私も、バレー中に尿もれする1人。普段の生活で困ることはあまりないけれど、尿がたまった状態でジャンプすると、「あっ!」ということは度々発生します。

子宮が大きくなることで影響を受ける、女性の泌尿器

妊娠・出産は女性の泌尿器に大きな負荷をかけます。
妊娠中には、大きくなった子宮による膀胱への物理的な圧迫でためられる尿の量が減る一方、体を流れる血流が増加することで尿の量は増えます。またエストロゲンの作用により尿道の粘膜が充血・うっ血したり、排尿筋肉が厚くなることで過活動(尿がたまっていないのに、尿意を感じる症状)を引き起こします。妊娠中にトイレが近くなったり、急にもれそうになったり、夜中にトイレに起きるようになるのはこういった理由です。
妊娠後期に頻尿を経験した妊婦は81%であったという研究データもあります(この研究では「頻尿」の定義を「少なくとも昼間に7回、夜中に1回排尿する」としています)。

また分娩による影響も相当なもの。物理的に骨盤底筋や周辺の組織が傷つくことに加えて、その周囲を走る神経も圧迫されダメージを受けます。
分娩に関連した尿失禁は、なんと85%の妊産婦が経験するといわれています。産後時間がたつにつれて自然に改善していくこともあれば、数年たってから再発することもあります。

尿もれ対策に有効な骨盤底筋を鍛えるトレーニングは、自宅でもできる

治療法としていちばんに行うのは、骨盤底筋訓練を中心とした行動療法です。肛門や尿道周囲の筋肉をしめる練習をするトレーニングで、自宅でも簡単にできます。産後に限らず尿もれにおすすめの治療法で、20~30%の確率で治癒が、50~80%の確率で改善が期待できます。ただ難しいのは、効果が出るまでに少なくとも1~3カ月は継続する必要があること、モチベーションの維持が難しいことです。とくに産後は赤ちゃんのお世話と自分の身体の回復で精いっぱい。数分であっても毎日トレーニングを継続することは容易ではありません。
専門スタッフが定期的に訪問してくれたり、赤ちゃん連れで指導を受けて、ついでにリラクゼーションも受けられる…みたいなサービスがあれば頑張れるかもしれませんが・・・。
産前産後の女性が骨盤底筋訓練に取り組みやすいシステムづくりが必要ですね。

産後に、尿もれではなく、尿閉になること

産後の尿のトラブルとしては失禁(尿がもれてしまうこと)が多いのですが、尿閉(にょうへい・尿が出なくなってしまう)も起こりえます。
神経のダメージや膀胱への圧迫により、尿意(尿がたまっている感覚)が鈍くなったり、尿を膀胱から外へ押し出す力が弱くなってしまうことが原因です。
赤ちゃんが大きい場合に発生する可能性が高まり、多くは産後1週間以内に治るのですが、まれに1カ月ほど導尿(カテーテルを使って尿を出す)が必要になった方もいます。

産後の尿もれの相談は、産婦人科でも泌尿器科医でも

妊娠出産に関連した尿のトラブルはとても多くの妊産婦が経験するからこそ、「みんなそんなもんかな?」と軽く考えがち。
ただ、尿トラブルの程度や困り感は人それぞれなので、「困っている」「尿もれが治ったらもっと快適に生活ができる」と感じるのならば、遠慮せず相談してみてください。
最初はかかりつけの産婦人科でもいいですし、もちろん泌尿器科でも大歓迎です。
患者さんに自信をもってすすめられるよう、私も尿もれ対策として骨盤底筋訓練をやってみようかなと思います。

文・監修/岡田百合香先生 構成/たまひよONLINE編集部

産後の尿もれは、妊娠・出産をした多くの女性が経験する問題です。産後のママたちは赤ちゃんのお世話が大変で、自身のことは後回しにしがち・・・。気になっているなら、快適に生活できるように、受診を考えてみませんか。

●記事の内容は2025年2月の情報で、現在と異なる場合があります。

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