1歳の三つ子を育てるママ。生まれてすぐのワンオペ、保活、そして、新幹線での通勤⁈ 三つ子の子育てのリアル【多胎育児体験談】
2024年春、一卵性の女の子の三つ子を出産したあやかさん。それからの1年は、NICU(新生児集中治療室)通いに始まり、3人分の授乳や寝かしつけ、3人同時の入園をめざした保活、そして仕事復帰と、めまぐるしい日々の連続だったといいます。
現在は地方に暮らしながら東京の会社で働くワーキングマザーとして、さらなる忙しい毎日を送るあやかさん。そんな彼女は、この1年をどう駆け抜け、乗り越えてきたのでしょうか?
三つ子育児のリアルや工夫、パートナーの支えについて語ってもらったインタビュー、後編をお届けします。
三つ子の退院後、夫婦2人きりでの育児がスタート。しかも最初はワンオペだった!
――三つ子ちゃんを出産したあとの様子を教えてください。
あやかさん(以下敬称略) 出産後、子どもたちは約1カ月半、NICUで過ごしました。私は先に退院し、その後はコロナ下ということもあり、週に2回だけ面会できるルールの中で、母乳を冷凍して届けたり、おむつ替えや沐浴(もくよく)などのお世話をしたりしていました。
――退院後は、ご夫婦で3人を見ていたのですか?
あやか はい。夫も1カ月半の育休を取得しました。ただ、退院の日程が直前に決まったため、育休のスタートが子どもたちの退院後、1~2週間ほどたってからになったんです。それまで日中は基本的に私ひとりで育児をしていました。
――最初の1~2週間は本当に大変だったのではないですか?
あやか もちろん大変でした。ある程度は覚悟していましたが、睡眠時間がなかなか取れないのがつらかったですね。ただ、アドレナリンが出ていたのか、結構楽しくもありました。
――楽しみながらなんて、すごいです!
あやか いやいや、正直ボロボロではあったんですが…。帝王切開の傷の痛みもあったし、関節や腰の痛みに加えて、バネ指にもなりましたね。
授乳も寝かしつけもグッズを大活用!
――体も大変な中で、具体的にはどのようにお世話をしていたのでしょう?
あやか たとえば、授乳は混合だったので、1人に母乳をあげながら、もう1人にはミルクをあげるというスタイルでした。赤ちゃんが1人でも安全にミルクを飲めるグッズにずいぶん助けられましたね。
――寝かしつけはどんなふうにしていましたか?
あやか 基本はミルクを飲ませて、そのまま眠くなったタイミングで寝てもらう感じです。私自身、腰がかなりダメージを受けていたので、全員を抱っこして寝かしつけるのは到底無理で…。誰かを抱っこしているときは、もう1人はバウンサーに乗せて足で揺らして、もう1人は自動のベビーラックに、という感じで回していました。
――いちばん大変だったのは、どんなときですか?
あやか 3人が同時に泣き出すと、本当に手が足りなくて、困りました。ジブリの『千と千尋の神隠し』に、手(足)がたくさんある「釜爺(かまじい)」ってキャラクターが出てくるじゃないですか。あれくらい手の数があったら…と何度も思いました!
――今は3人同時に泣くようなことは少なくなりましたか?
あやか まだまだありますね。でも、最近は少しずつコミュニケーションできるようになってきましたし、あやし方のバリエーションも増えたので、前よりぐっとラクになりました。あとは、私自身も「泣いたらすぐにどうにかしなきゃ」とあせらなくなって。「泣くこともあるよね」と受け止められるようになったのも大きいと思います。子どもたちに、自分の器を広げてもらっているなぁと感じますね。
離乳食は市販品を活用して、乗りきる!
――離乳食はどのように進めていきましたか?
あやか 離乳食は、修正月齢で6カ月になったタイミングで始めました。3人分となると作るのも大変なので、市販品をかなり活用!パルシステムのキューブ型のコーンなんかはとくによく使っていましたね。最初はみんな上手に食べられないので、毎回すごく汚れながらの食事タイムでした(笑)。
――三つ子でも、食べ方や好みは違いますか?それとも一卵性だと似ているのでしょうか?
あやか ほかの人が見たら区別がつかないかもしれませんが、親の目から見るとけっこう違いがありますよ。「この子はフルーツが大好きだな」とか、「この子は大きく口を開けてくれるから食べさせやすいな」とか。それぞれに個性があるなと感じます。
三つ子を育てながら、ワーママとしても活躍。週1の新幹線通勤をこなす

――現在はお仕事にも復帰されているそうですね。保育園への送りはどのように?
あやか 毎朝、夫と2人で子どもたちを車に乗せて登園しています。保育園に着いたら、アウトドア用のカート(ワゴン)に3人を乗せて園まで移動するんです。これが子どもたちにとって楽しいみたいで、カートに乗るとみんなご機嫌なんですよ。
――そこからお仕事スタートですね。
あやか はい。夫はそのまま出社、私はリモートの日だと自宅に戻って7時45分ごろから業務開始、出社する日はそのまま駅に向かって新幹線で東京へ向かいます。
――現在は地方にお住まいで、東京の会社に通勤されているとか。
あやか 夫の転勤で今は地方に住んでいます。基本は在宅勤務ですが、週に1回ほど東京のオフィスに出社している形です。出社の日はお迎えに間に合わないこともあるので、そのときは夫にお願いしています。逆に夫が遅くなる日は、私が1人でお迎えに行くこともありますよ。
――3人を1人でお迎えするのは大変そうです。
あやか 最初は「無理かも」と思っていたんですけど、今では慣れましたね。初めのころはカートがなかったので、保育園の先生に手伝ってもらいながら、1人ずつ抱っこして車まで運んでいたんです。でも、毎回お願いするのも申し訳なくて。試行錯誤の末に今の「3人一気にカートで移動するスタイル」に落ち着きました。
――それにしても、三つ子の育児をしながら共働き、しかも週1の遠距離通勤まで…すごすぎます。
あやか 本当に夫の協力があってこそです。全然“すごい”なんてことはなくて、いつもボロボロになりながら、力技でなんとか回しています。子どもが胃腸炎になったり、風邪をひいたりすると、完全に総崩れですね。
――3人だと病気が順番にうつるから、看病が長引きますよね。
あやか まさにそうです。なのでわが家では、病児保育にもかなり助けられています。
見た目はほぼ一緒でも、実はつむじの位置が違う!?
――最後に、1年ほど三つ子と過ごしてきて感じた、三つ子ならではのよさ・楽しさを教えていただけますか?
あやか とにかくかわいいです!キャラクターも三者三様で、それぞれ違った魅力があって。小さな社会が家の中に常にあるので、やり取りを見ているだけで癒やされます。
――どのようなやり取りをしているんですか?
あやか 顔を触り合ったり、誰かが笑い出すと、残りの2人も釣られて笑い出したり。誰かの動きを真似したりもしていますね。
ほかにも三つ子でよかったことと言えば…たとえば、子どもが体調を崩したけど、病児保育を利用できず、どうしても私が自宅保育しないといけない場面があって。これが子ども1人だけだと、私が仕事をしていると寂しく感じさせてしまうかもしれないけど、3人一緒だと自然に遊んでくれて。数がいることのありがたさを感じました。
――なるほど。それにしても写真を見てもすごく3人が似ていますね。一卵性だけあってみんな同じくらいに成長していっているのですか?
あやか はい。だいたい同じように成長しています。だけど、実は少しずつ違いもあるんです。たとえば、つむじの位置。1人は左寄り、もう1人は右寄り、そしてもう1人はつむじが2つあるんです。
――それはびっくり!すごくおもしろいですね。
あやか ですよね!人体の神秘の不思議というか…。「まず最初の受精卵がつむじが右の子と左の子の2人に分かれて、それからさらにどちらかがもう1回分裂し、つむじが2つある子が生まれたのかな?」とか…。そんな勝手な想像をいろいろふくらませて、楽しんでいます。
お話・写真提供/あやかさん 取材・文/江原めぐみ、たまひよONLINE編集部
最後に、同じ三つ子ファミリーへのメッセージを尋ねると、「単胎のお母さんと比べてしまうと、きっとつらくなるので、割り切りましょう。三つ子は三つ子。何もできなくても、生かしているだけで大丈夫!」と力強く語ってくれたあやかさん。
“生きているだけで上出来”。そのあたたかくて優しいエールが、今日も多胎育児に奮闘する誰かの心に、そっと届きますように──。そんな思いを感じた取材の締めくくりでした。
あやかさん
PROFILE
女の子の一卵性三つ子とパパと飼い犬の5人+1匹で暮らす。現在は、パパの転勤先の地方在住。東京にあるスタートアップ企業の執行役員で、週4のリモートと週1の新幹線出社をこなしているワーキングママ。大学時代からおつき合いしていたパパが趣味で動画撮影をしており、You Tubeではファミリーの日常をVlogとして公開中!
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●掲載している情報は2025年7月現在のものです。