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モデル・erinco。海外での卵子提供を経て、母は54歳のときに私を出産。自分の出生についてSNSで投稿しようと決めた、ある一通のDMとは?

更新

6歳のころ、小学校の入学式にて。

両親が48歳で出会い、結婚。共に54歳のときに誕生したerincoさん。約30年近く前のこと、どうしても子どもが欲しかった2人はアメリカで卵子提供を受け、お父さんの精子との受精卵をお母さんの子宮に戻し、お母さんは自然分娩でerincoさんを出産しました。
インタビュー前編では、子どものころから抱えていた“海外っぽさのある容姿”への違和感や、20歳の誕生日に出生の真実を知ったときの心の動きを語ってくれたerincoさん。後編となる今回は、自身の生まれた経緯についてSNSで公表するに至った理由、そして今は共に天国にいるご両親への想いについて聞きました。

▼<関連記事>前編を読む

亡くなった母への感謝をつづったインスタ投稿。それを見たフォロワーからあるDMが届き…

話題となった自身のルーツを語ったインスタでの投稿。Threadsでも感動を呼び、3万超えの‟いいね“を獲得(2025年8月時点)。

――erincoさんは2025年の3月に、SNSで自分の生まれた経緯について投稿されて、話題となりましたね。投稿するに至った背景を教えてください。

erincoさん(以下敬称略) 実はもともとはSNSで公表することは考えていなかったんです。でも、ある出来事がきっかけで決心しました。

今年の1月、それまでとても元気だった母が突然、くも膜下出血と脳出血を発症し、82歳で亡くなりました。その後に迎えた3月8日は母の誕生日。その日は「国際女性デー」の日でもあって。私は「54歳で私を産んでくれてありがとう。お母さんがあきらめずに努力してくれたおかげで、私はこの世に生まれることができた」という、母に対する感謝のメッセージを込めた投稿をしました。すると、それを見たフォロワーさんから、一通のDMが届いたんです。

そのDMをくださった女性は40代。旦那さんはもっとずっと年上で、長い間2人で不妊治療を続けてきた末に、海外で卵子・精子の両方を提供してもらう「ダブルドネーション」を選択して、赤ちゃんを授かり、少し前に出産したという方でした。私の投稿を見て「ご両親が自分たちと似たような境遇かも」と考え、連絡をくれたそう。それまでの私は自分と同じ背景を持つ人に出会ったことがなく、これにはとても驚きました。

彼女はお子さんの写真も送ってくれたんです。写真には日本人のご両親と、外国の血縁を感じさせる顔立ちの赤ちゃんが写っていました。もうそれが昔の自分の姿を見ているようで…鳥肌が立ちましたね。すぐに「会いましょう」という話となり、実際にお会いできることに。お子さんと初めて顔を合わせたときは、うわーっと気持ちが高まり、思わず涙があふれました。

「自分の声が同じ境遇である人の励ましや希望になるかもしれない」と投稿を決意

「昔は“人と違う見た目”が嫌で、長く縮毛矯正をかけていました。地毛のくるくるを活かすようになった今のほうが、断然、自分のことが好きです!」

――同じ境遇の方と出会ったことがきっかけになったんですね。

erinco はい。その方とお会いしたとき、体外受精をすることがいかに大変であるかを教えていただき、自分の両親への感謝の気持ちがさらに高まりました。また、高齢出産や卵子・精子提供を経験したご家族は、無事に妊娠したあとも、さまざまな悩みを持つことを知ったんです。「将来、容姿の違いで子どもが傷つくことがあるんじゃないか?」だったり、「親が高齢だと体力的にも子育てが大変になるんじゃないかな?」だったり。

実際、私自身も、両親が54歳のときの子どもだったので、20代で父の介護を経験したり、両親と早くお別れすることになったりと、大変なことがたくさんありました。また、人と違う容姿に悩んだ時期もあります。ただ、それ以上に、母と父からたっぷりの愛情を受けて育ち、「生まれてきて本当によかった」と心から思えています。だからこそ、その場で「絶対大丈夫ですよ!」と、伝えました。

この経験を通して、自分と同じような背景を持つ方々や悩んでいる人たちに、少しでも励ましや希望を届けられたらと思って、自分の出生について投稿することを決めました。

――投稿後はどのような反響がありましたか?

erinco 主に高齢出産をされた方から、たくさんのメッセージをいただきました。さまざまな不安を抱える一方で「erincoさんの投稿を見て、安心した」や「erincoさんのように、元気でアクティブな大人に育てたいです!」のような声が届いたり、「40代で、出産はあきらめていたけれど、選択肢があると初めて知って、これから考えてみようと思いました」と送ってきてくれた方もいたり。投稿するまでは正直、不安がありましたが、今は勇気を出してよかったと思っています。

天国に行った両親には「産んでくれてありがとう!」と言いたい

「子どものころから自然の中で体を動かすことが大好き。自分も子どもが生まれたら、自然に囲まれた場所で育てたいです」

――天国にいるお父さん、お母さんに、今伝えたいことはありますか?

erinco やっぱり、一番に伝えたいのは「産んでくれてありがとう」です。たくさんの愛情を注いでくれて、いつも支えてくれて、本当に感謝しかありません。両親に愛されて育ったからこそ、私は人と出会って話すのが大好きな、明るい性格になれたと思っています。
ときどき思うんです。こうして今、自分が地球上に存在しているのは、両親のあきらめない思いや縁あって助けてくれた方がいてのことで、それって、すごく奇跡のようなことだなと。だからこそ、絶対に後悔のない人生にしたい。私だっていつまで生きられるのかわかりません。でも、生きている間はとことん毎日を楽しみたいと思っています。そして、いずれ私が天に召されて両親と再会したときは「人生、すごく楽しかったよ!」と2人に報告して、「エリを産んでよかった」と心から思ってもらえたらいいなと思いますね。

――それは最高の親孝行ですね。将来的に、ご自身の家族を持ちたい気持ちはありますか?

erinco はい。いつかは子どもが欲しいなと思っています。親が一生懸命つないでくれた命を、私も次につなげていきたい。自分がそうしてもらったように、どんな子でもたっぷりの愛情を注いで、のびのび自由に育てたいですね。将来は、自然に囲まれた場所で子育てできればいいなぁなんて思っています。

お話・写真提供/erincoさん  取材・文/江原めぐみ たまひよONLINE編集部

2025年1月に他界されたerincoさんのお母さん(お父さんは3年前にがんで逝去)。習字や脳トレを日課とし、70代後半からピアノを習い始めて、80代で初めて発表会に出場するなど、晩年まで前向きに挑戦を続ける方だったそうです。「とてもアクティブですね!」と声をかけると、複数の仕事を並行しながら趣味にも本気のerincoさんは「やっぱり似ているんでしょうね」と笑顔に。

最後は「生まれてきてよかった」「この命を次につないでいきたい」と締めくくった彼女。若いながらもいろいろな経験を乗り越えた上で語られたその言葉はとても力強く、「自分も毎日を大切に生きよう!」と背中を押された取材後でした。

「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。

PROFILE
神奈川県在住、1997年生まれの28歳。両親が54歳のとき、海外で卵子提供を受けて誕生。現在はジムインストラクターを軸に、アパレルスタッフ、カフェ勤務、モデルなど多方面で活動中。くるくるのカーリーヘアがトレードマークで、明るく人懐っこいキャラクターが魅力。学生時代にはいじめを経験し、一時は男性と話すことができなくなるほど人間関係に悩んだ過去も。それでも“人が好き”という本来の自分を取り戻し、今では仕事も趣味も全力で楽しむ日々を送っている。

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2025年9月現在の情報であり、現在と異なる場合があります。

erincoさんのInstagram

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