【YouTuber・佐藤そると】「子どもを産んで育てられるのか?」と心配されたことも。21才で妊娠、今は2才の娘のママに【体験談】
ハイトーンのブリーチヘアに、トレンドのメイク。ポップなファッションを自分らしく着こなすその姿は、まさに令和の時代を生きる若者そのものといった雰囲気の、佐藤そるとさん。15歳からYouTubeでの発信を始め、いまやSNSのフォロワーは65万人を超える人気クリエイターです。そんな彼女の人生が、大きく転換したのは2年前の21歳のとき。信頼する彼との結婚、愛するわが子の妊娠、出産を経験。
今回のインタビューでは、ママになるのが夢だった話から、妊娠に対する周囲の反応、自分自身の心の揺れ、出産ストーリーまでたっぷり語ってもらいました。全2回のインタビュー、まずは前編をお届けします。
自分の母の姿を見て、早くから「子どもが欲しい」と思っていた!
――2年前、21歳で母となった佐藤さん。ママになることをずっと夢見てきたそうですね?
佐藤さん(以下敬称略) はい。小さいころから「早く結婚したい」と思っていました。その延長で「子どもだって絶対欲しい!ママになりたい!」と考えていたんです。
そう思うようになったのは、母の影響が大きいと思います。「子どもは自分の分身みたいなもの。子どもがいると楽しいよ!」と母はよく言っていました。母は子育てしつつ、自分の人生を謳歌している人だったので、そんな姿を見て、自分も「ママになるのっておもしろそう」とずっと思っていました。
――お母さんからポジティブなメッセージを受け取ってきたんですね。お母さんが子育てで疲れている様子はなかったのですか?
佐藤 いっさいなかったです。私は3姉妹の末っ子で、母が私を産んだのは39歳。友だちのお母さんと比べても年齢は上のほうだったと思いますが、エステティシャンの仕事をしていたこともあって、疲れた様子どころか、いつもキレイな人で。メイクも上手で、個性的なファッションを上手に着こなしていました。授業参観のときなんか、すごく目立っていて、その姿が誇らしかったですね。
自分のことをよく知る家族には、親になることをとても心配されて…
――妊娠をご家族に伝えたときは、どのような反応でしたか?
佐藤 当時はまだ大学生でしたし、とても心配されました。生活が安定しているとは言いにくかったし、私は集団に入るのが苦手で、今もたくさんの人が集まる場だと萎縮するところがあって…。そういう、社会に不適合な、生きづらさを感じている姿をいちばん近くで見て、理解してくれていたのが家族だったので「子どもを産んで育てられるのか?」という心配があったようです。
――心配されたのはお母さんですか?
佐藤 実は母は、私が妊娠する1年くらい前にくも膜下出血で倒れていて…。無事に回復して退院ができたものの、記憶障害も少しあるような状況でした。本人の状況的に私の妊娠を心配する感じではなかったです。とくに心配していたのは父。交際相手がどう…とかではなく、純粋に私のことがとにかく心配だったようです。
――彼や彼のご家族はどのような反応でしたか?
佐藤 とても喜んでくれました。お義母さんには、彼が報告したのですが「おめでとう!」と泣いて喜んでくれたそうです。
――ステキですね。もともと彼のご家族とも仲がよかったのでしょうか?
佐藤 はい。お義母さんとは、朝までオールして夜中に語りあっちゃうほど、仲よしなんです。
もともと彼とは長く同棲をしていたものの、すぐ結婚しようとは考えていませんでした。でも、妊娠する少し前に、私がPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)で、子どもができづらい体質であることがわかって…。
ずっと子どもが欲しかった私は当時、とてもショックだったんです。そのまま彼やお義母さんにもPCOSのことを伝えたのですが、その後、私のいないところでお義母さんが「将来子どもができづらいって事実をどう思った?」と、彼に聞いてくれたらしくて。
すると、彼は「気にしない。それでも結婚はできる!」と答えたそうです。その話をお義母さんから聞いたときに、こんなふうに受け止めてくれる彼となら結婚したいな、とちょうど思っていたんです。
心ないコメントに“YouTuberの佐藤そると”が対処。本来の自分とは切り離す
――YouTubeでの妊娠発表は出産前ギリギリのタイミングだったとか。
佐藤 はい。無事に赤ちゃんが育ってくれるかもわからなかったし、正直、何を言われるかが怖くて、報告が遅くなりました。
――実際に発表してみて、どんな反応がありましたか?
佐藤 うーん…。自分の年齢が若いこともあって、ある程度たたかれる想像はしていたけど、やっぱりこういうことを言われるんだなぁ…というコメントがいろいろ来ましたね。
たとえば「シングル?」とか。悪意はないのかもだけど、事実じゃないので、できるだけ言われないほうがいいじゃないですか。他にも「(妊娠するなんて)イメージじゃない」とか、「女っぽい部分が見えて、すごく嫌」なんて言葉もありました。
また、かなり少数ですが「不妊で悩んでいる人が見ると、嫌な気持ちになると思うよ」というコメントももらって。私自身、PCOSの持病があって、子どもを授かりにくいと覚悟していたので、複雑な気持ちになりました。
――妊娠中といえば、気持ちが不安定になりやすい時期でもあります。ネガティブなコメントに対して佐藤さんはどのように気持ちの整理をしていたのでしょう?
佐藤 当時はどんな言葉でも「世の中にはこういう考えもあるんだ」と一つ一つ受け止めました。とはいえ、受け止めるのはあくまでYouTuberの“佐藤そると”で、本来の自分ではないと思っていて…。
普段から“今の自分”と“佐藤そると”は別の存在で、2人いるみたいにとらえているんです。だから、“佐藤そると”に向けられた言葉は彼女が受け取ればいいし、本来の私はダメージを受ける必要はないという考えです。
ただし「妊娠おめでとう!」などのポジティブなコメントは、“佐藤そると”と“本来の自分”を区別せず、素直に全面で受け止めていました。「自分もPCOSなので、希望です!」みたいに言ってくれた人もいて、それは本当にうれしかったです。
出産は「鼻からスイカ」のほうがマシ!?と思うほど、つらかった!
――妊娠生活はいかがでしたか?
佐藤 すごく妊娠したかったのに、妊娠しているときはつらく感じることも多かったです。おなかが大きいと、かわいい服が着られないし、とにかくおなかが減るし! 気持ち悪くもなるし、メンタルが落ち込みやすくなる。外から妊婦さんを見ていると幸せそうな感じがしますが、全然違うなと思いました。
ただ、産んでみると…。あのときのほうがもっと自分のことはいろいろできたなって気はしています。まあ、一人目のときは何もかも経験がないから、みんな同じような感じだと思いますが…!(笑)
――出産のことも教えてください。
佐藤 すごく過酷でした! 前駆陣痛がスタートしてから、出産まで32時間。その間、痛みでほとんど眠れず、本当につらかったです。
――本当にお疲れさまでした。出産前に準備は何かされていましたか?
佐藤 事前にYouTubeでいろいろな動画を見ました。出産中の様子をそのまま映している動画やいきみ方を教えてくれる動画まで…とにかくたくさん見て、予習しました。
その中で、子宮口周辺をやわらかくするためのストレッチを紹介する動画があったんです。「その運動をすると、子宮口が広がって、赤ちゃんがスムーズに出やすくなりますよ」という内容だったので、陣痛の間にやっていたんですが…。全然、子宮口、開かなかった!(苦笑)。効果は人それぞれだと思いましたね。
あと、よく陣痛〜出産の痛みを「鼻からスイカ」とか言うじゃないですか。私はその意味がよくわからなくて…。だって「鼻からスイカ」のほうがまだ楽じゃない?って!
――そっちですか(驚)。あの想像を超える痛みを乗り越えるのは、本当に大変ですよね。彼は立ち会われたんですか?
佐藤 私の希望で、分娩体勢に入ったあとは部屋を出てもらったんです。でも、陣痛に苦しむ間は彼もずっと付き添ってくれました。いきみ逃しのサポートもしてくれたし、気を紛らわせるために、話したり、リラックスできるような曲をかけてくれたり。
そういえば途中、自作の変な歌を即興で作って、歌ってくれたりもしました。ちょっとおかしな人なんです(笑)。その歌を聞きながら、陣痛が来ていない間は笑って、陣痛が来ると「(今は)笑えない、笑えない…!」と悶絶していました。
――赤ちゃんが生まれた瞬間はどんな感じでしたか?
佐藤 私の中から赤ちゃんがドゥルン!と出てきて…。そのあと、胎盤も出てきて、頭が真っ白になりました。「すごい」「やばい」という言葉だけが頭の中に浮かんで、そのまま口から出ていました。でも同時にとても感動して…! つらかった痛みも一瞬で忘れてしまいました!
お話・写真提供/佐藤そるとさん 取材・文/江原めぐみ たまひよONLINE編集部
自身のYouTubeでは、テンポのいいぶっちゃけトークで視聴者を惹きつける佐藤さん。今回のインタビューの冒頭では緊張する様子が見られましたが、出産トークでは普段の動画に近い、そると節が。彼のお話では笑いを交えながら、イキイキと話していて、仲のよさが伺えました。さらに詳しい出産の顛末は、YouTubeや著書でも触れられているので、ぜひチェックしてみてください。
後編では、一見順調に思えた産後の暮らしのなかで、彼女が直面した「産後うつ」のこと、また「子どもを産んだことで変わった自分の人生」について、お話を聞きます。
佐藤そるとさん
PROFILE
2001年10月19日生まれ。福島県出身。YouTubeを始めとしたSNSで活躍する人気クリエイター。中学3年生の不登校の時期に動画撮影をスタート。その後、YouTubeでの活動を開始し、一躍大人気に。2023年に21歳で結婚、出産を経験する。産後はYouTuberと並行しながら、自身が所属していた会社の一員としても働く。著書『社会不適合者だった私がママになった話』が好評発売中!
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●掲載している情報は2025年9月現在のものです。
『社会不適合者だった私がママになった私』
自称社会不適合者出身の人気クリエイター・佐藤そるとさんがつづる、リアルで等身大の育児奮闘記。死ぬまでずっと気まぐれに生き続ける予定だった彼女が、妊娠・出産・育児を通して見つけた“新しい自分”の姿がつづられています。若くして子育てを始めたママ、これから母になる人の背中をそっと押してくれる1冊です。1760円(KADOKAWA)