命にもかかわる1才児の転落事故。危ないのはベランダより窓!
最近、乳幼児の事故のニュースなども多く、気になっているママ、パパも多いのではないでしょうか?
東京消防庁によると、平成27年に東京都(稲城市と島しょ地区を除く)で日常生活でけがをして、病院に救急搬送された子ども(12才以下)は1万4041人。1日あたりにすると、約38人という計算になります。とくに0~2才児の事故が多いそう。事故が起きても救急車を呼ばなかったケースがあることを考えると、実際にはもっと多くの事故が起きていることが推測されます。
ママやパパを始め、ばあば・じいじなど、0~2才児と過ごすことが多い大人はみんな、他人事とは思わず、「うちの子にも起こるかも!」という意識を持ち、しっかりと事故予防をすることが大切です。今回は室内の事故対策について考えてみたいと思います。
0~2才の事故で、多いのは転落事故!
東京消防庁のデータでは、0~2才児の事故で発生件数が多かったのが転落事故。転落事故の原因トップ5は、0才代では、①ベッド、②ソファ、③階段、④椅子、⑤人(抱っこ、おんぶなどをしていて落下)、1才代では、①階段、②椅子、③自転車の補助椅子、④ベッド、⑤ソファ。2才代では①階段、②椅子、③自転車の補助椅子、④ベッド、⑤ソファがトップ5でした(平成27年)。
0才代で最も多いベッドからの転落を防ぐためには、ベビーベッドに赤ちゃんを寝かせるときは必ず柵を上げて使うことが大切。大人用のベッドで寝かせる場合もベッドガードをつけるなどの安全対策を徹底しましょう。「まだ寝返りしないから」「寝ているから大丈夫」などの思い込みは禁物。寝返り前の赤ちゃんでも動いて転落することがあります。
おもちゃやぬいぐるみ、おむつなど、思いもよらないものを踏み台として、ベビーベッドから転落してしまう事故も起きています。ベッドの中には踏み台となるものは置かないこと。また、ベビーベッドの中で赤ちゃんが立ち上がったときに胸が出るようになると、頭から転落する危険が出てきます。ベッドの高さを調節するか、ベビーベッドの使用は中止しましょう。
抱っこひもで抱っこしているときに、赤ちゃんがひもをすり抜けて転倒する事故も多発しています。赤ちゃんを抱っこしているときに前にかがむときは、必ず手で支える、おんぶや抱っこをしたり降ろすときは低い姿勢で行うなどの対策をしましょう。
そのほか、階段には転落予防の柵をつける、ベビーチェアのベルトは締める、自転車に子ども1人を乗せたままにしないなどの予防も必要です。
意外な盲点! 身長よりも高い窓からも転落する可能性が!
命にかかわる危険もある転落事故が、ベランダや窓から落ちる事故。数はそれほど多くないとはいえ、東京消防庁のデータでは、平成23~27年の5年間に東京都(稲城市と島しょ地区は除く)で2階以上の窓やベランダから落ちて救急搬送された5才以下の子どもは116人もいました。
窓やベランダというと、ベランダのほうが事故が多いと思うかもしれませんが、意外にも多いのは窓! 窓際に置いたソファなどを踏み台にして、窓から転落するケースが多いようです。踏み台になりがちなものは、ソファ、ベッド、椅子、テーブル、棚、植木鉢、室内用ジャングルジム、段ボール箱など。東京消防庁によると、窓枠に干していた布団によじ登り、1才児が窓から転落したというケースも! もちろんベランダの柵から転落する事故も起きており、その場合は自転車や三輪車、エアコンの室外機が踏み台になることもあるようです。
事故予防策としては、窓際やベランダには踏み台となるようなものを絶対に置かないこと。幅が2cm以上あるものは、すべて踏み台になる可能性があります。物を置く場合は、窓やベランダの柵から少なくとも60cm以上は離しましょう。また、ベランダに子ども1人で入れないように鍵やロックをつけるなどの工夫も必要です。
最悪の場合、命にかかわることもある子どもの転落事故。子どもは日々成長し、できることが増えます。昨日までよじ上れなかった所に、今日は上れるようになっているかも! また、大人が予想もしないものによじ上って、転落する可能性もあります。「まだ大丈夫」と油断しないで、今すぐ、半年先の子どもの発達を見越した事故対策を、始めましょう。(取材・文/ひよこクラブ編集部)
参考/ひよこクラブ2015年11月号「今日から始める0~2才の室内事故対策」
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※この記事は「たまひよONLINE」で過去に公開されたものです。