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3日おきに高熱を出す3歳の三女。「昼間は元気なのに、何かがおかしい」と感じた母【急性リンパ性白血病】

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背中から髄液の中に、直接抗がん剤を注入する治療後の茜ちゃんの様子。

京都府で3人の娘を子育て中の安藤紀代子さん。三女の茜(あかね)ちゃん(4歳)が、血液のがんである白血病と診断されたのは3歳になってすぐのことでした。茜ちゃんの入院治療が始まると、紀代子さんは付き添って必死に看病をしましたが、家にいる2人の娘のことも気がかりでしかたがなかったと言います。
茜ちゃんに気になる症状がみられるようになってから、2週間に1回の外来受診を続けている現在のことまでを聞きました。全2回のインタビューの前編です。

突然、夜中に発熱。インフルエンザワクチンの副反応?それとも「知恵熱?」

待ちに待った3人目の子どもだった茜ちゃん。妊娠・出産はとても順調でした。

茜ちゃんが生まれたのは、長女が7歳、二女が5歳のときでした。

「3人目の子どもが欲しいと思っていたのになかなか恵まれなかったので、茜の妊娠がわかったときはめちゃくちゃうれしかったです。
誕生後、3人目にして初めて激しい夜泣きを経験しましたが、それ以外に困ったことはなく、風邪もめったにひかない元気な子だったんです。少し年が離れた長女・二女にもかわいがられながら、茜はすくすくと育っていきました。私は仕事をしているので、茜は8カ月のとき保育園に入園。保育園でも楽しく過ごしていたようです」(紀代子さん)

元気で明るい茜ちゃんに変化が現れたのは、2024年11月。茜ちゃんが3歳になる直前のことでした。

「夜中に茜の体が熱いのが気になり、熱を測ってみたら38度5分。ほかに症状はみられなかったので、3日前に受けたインフルエンザ予防接種の副反応かな?と最初は思いました。でも、副反応だったらもっと早く熱が出るはず。『明日、小児科に連れて行かないとダメだな。明日は仕事を休まないといけないなあ』と考えていたんです。

ところが、朝になったら平熱に戻っていて、茜は元気で朝ごはんもよく食べます。『知恵熱かな?』なんて思いつつ茜の様子を観察しましたが、とくに問題なさそうなので、保育園に連れていき、私は職場へ。保育園では熱がぶり返すこともなく、元気に遊んでいたということで、帰宅後は姉たちとはしゃぎ、ごはんもよく食べていました」(紀代子さん)

しかしその日以来、3日おきくらいに同じようなことが起こるように。

「夜中に高熱を出すけれど朝には平熱に戻り、日中は元気に過ごせる・・・。これが3日おきくらいに起こります。しかも、だんだん唇の色が白くなっていくように感じました。最初は急に冷え込んできたせいかなと思ったのですが、上2人の唇の色と明らかに違うんです。同じころ保育園の先生に、『最近、午前中は元気がないです。午後からは活発になるんですが』と言われたことも気になりました。

とはいえ、元気なときはとても元気なので、もうしばらく様子を見てみようと思っていたところ、保育園で発熱し、迎えに行くことに。一度小児科で診てもらったほうがいいと考え、翌朝、かかりつけの小児科クリニックを受診。12月10日のことでした」(紀代子さん)

総合病院で血液検査をした結果、「ヘモグロビンの数値が異常に低い」と

3歳のお誕生日祝い。茜ちゃんに心配な様子が見られるようになったのは、この直前でした。

小児科を受診した茜ちゃん。平熱で、元気もありましたが、紀代子さんはこれまでの経緯を説明し、3日ごとに高熱を出すことが心配だと相談しました。

「先生は『熱が下がって元気にしているのなら大丈夫だと思うけど』と言いつつも、私の話を真剣に聞いてくれました。このときは問診と聴診器による診察のみでしたが、診察室を出るとき、先生と看護師さんがなんとなく重苦しい雰囲気で話をしているのがちらっと見えたんです。引っかかるものを感じましたが、検査をする話も出なかったから大丈夫なんだろうと、翌日はいつもどおり茜を保育園に連れて行きました」(紀代子さん)

茜ちゃんは元気に登園。紀代子さんは安心して職場に向かおうとしたところ、紀代子さんのスマートフォンが鳴ります。電話をかけてきたのは、昨日受診した小児科クリニックの看護師さんでした。

「『先生がやっぱり気になるから、近くの総合病院で検査を受けてほしいと言っています。紹介状を用意するので取りに来てください』って言うんです。

何事!?とびっくりしました。でも、詳しく調べてもらって安心したい、治療が必要なら茜の症状に適した薬を出してほしいと思ったので、仕事を休んですぐに紹介状を取りに行き、茜を保育園に引き取りに行った足で総合病院に向かいました」(紀代子さん)

茜ちゃんは総合病院で血液検査を受けました。

「検査結果はすぐに出て、『ヘモグロビンの数値だけ異常に低い。京都府立医科大学附属病院(以下、京都府立医大病院)を紹介するから、さらに詳しい検査を受けてほしい』と、担当した先生から言われました。さらに先生は、『極度の貧血状態だから、輸血をしたほうがいい』って言うんです。輸血するほどの貧血ってどんな状態?と、一気に不安が高まりました。
翌朝一番で京都府立医大病院を受診すると伝えると、輸血もそのときでいいということになり、その日は何もせず帰りました。

帰宅後、紀代子さんはヘモグロビンの数値が低いときに疑われる病気について、ネットで検索しました。

「調べていくと、再生不良性貧血や白血病という怖そうな病名も出てきました。茜がそんな大病を患っているわけはない。大丈夫!と自分に言い聞かせながらも、茜の体の中で何か悪いことが起こっているんだと、私の胸はザワザワしっぱなしでした」(紀代子さん)

「白血病」という病名を聞いたとたん思考が停止。死の恐怖に震える

急性リンパ性白血病と診断され、入院生活が始まったばかりの茜ちゃん。

翌朝一番に、紀代子さん夫妻は茜ちゃんを連れて、京都府立医大病院の小児科を受診します。

「問診や血液検査などを行ったあと、検査結果が出るまで時間があるから、と言われたので、病院内のカフェでランチをしていました。すると私のスマホが鳴り、小児科の看護師さんが『すぐ診察室に来られますか』って。電話で呼び出されるなんてただごとではないと、私も夫もものすごく緊張したことを、今もはっきりと覚えています。

診察室に入ると先生から、『白血病を含む何かしらの血液の病気です。極度の貧血状態だからすぐに輸血が必要です』といった説明がありました。
『白血病』という病名が耳に飛び込んできたとたん、私は思考が停止、何も考えられなくなりました。頭に浮かんだのは『茜が何か悪いことをした?神様なんていないんだ』ということ。そして、『絶望』という言葉でした。絶望っていうのはこういうときに使う言葉なんだ、と考えていました。

ありがたいことに夫はとても冷静で、『どんな治療が必要になりますか』『どれくらい入院が必要ですか』『茜は治りますか』って、私も知りたいことをどんどん先生に質問してくれました」(紀代子さん)

その日は木曜日で週末が近かったこともあり、輸血だけして一度帰宅し、週明けに入院することになりました。

「本当はその日のうちに入院したほうがよかったんだと思います。でも、入院は半年から1年かかるとのことで、私はその間、ほとんど茜の付き添いで病院に泊まり込み、家からいなくなります。だから、長女と二女にちゃんと話をしてから入院したかったんです。
そして、娘2人と家のことを任せる夫に、説明しなきゃいけないこともたくさんあったし、何より入院前に週末を家族5人そろって過ごしたい、という気持ちも強かったんです」(紀代子さん)

長女と二女には、白血病という病名は出さずに、茜ちゃんは長期入院が必要になる、ということだけを説明したそうです。

「茜の病気がわかったとき、長女は11歳、二女は9歳。病名を伝えたらネットで検索して、ショックを受けてしまうと思いました。茜に付き添って不在になる私はそのフォローができないので、白血病とは知らせずに、『茜の体の中に悪いものがいて、その治療に時間がかかるから、もしかしたら1年くらい入院することになるかもしれない。お母さんは茜に付き添わなくちゃいけなくて、週末しか帰ってこられなくなると思う。2人に寂しい思いをさせてごめんね』って言いました。

その場では2人とも頑張ってこらえてくれたのですが、そのあと長女はおふろ場で泣いていて、二女は週明けの入院当日に泣きじゃくっていました。
私たち家族がこんなに悲しい思いをしたのは初めてでした」(紀代子さん)

ステロイド治療中、どんどん表情がなくなっていく娘に、言い知れぬ不安を覚える

ステロイド治療が始まったころ。治療が進むにつれて笑顔が減って表情が乏しくなっていきました 。

茜ちゃんの入院生活が始まったのは、2024年12月16日のこと。急性リンパ性白血病という正式な病名が告知され、複数の抗がん剤を組み合わせた化学療法と、大量ステロイド治療を行うという説明も受けました。

「入院3日目から、最初のステロイド治療が始まりました。これが本当につらかったです。ステロイド薬は脳にも影響するらしく、茜の顔から笑顔が消え、どんどん表情が乏しくなっていったんです。
その反面、食への執着は強くなり、まるでブラックホールのように食べ続けます。そのせいで、1カ月で3キロ太りました。

治療を始めた当初は、薬の副作用についてあまりわかっていなかったので、茜が茜ではなくなるように感じて、毎日怖くて不安でしかたがありませんでした。
しかも入院9日目ごろに、茜が盛んに『おうち帰ろっか。早く帰ろっか』と言うようになったんです。せつなくて私も心が折れそうになりました」(紀代子さん)

その後、つらいステロイド治療が終わったとたん、茜ちゃんは元の茜ちゃんに戻ったそうです。

「ステロイド治療が終わった翌日には笑顔を見せてくれ、ベッドの上で楽しそうに歌ったり踊ったりする娘。いつもどおりの茜が戻ってきた~と、うれしくてうれしくて、茜にばれないようにこっそり泣きました」(紀代子さん)

続いて抗がん剤治療に入ると、今度は薬を飲ませることがとても大変に。

「ステロイド薬や抗がん剤そのものは点滴投与だったので、飲ませる苦労はなかったのですが、腎臓や肝臓を守る薬、肺炎などを予防する薬は服薬しなければならず、しかも味が苦いなど飲みにくいものが多いので、とても苦労しました。

アイスなどに混ぜて飲ませる方法も試してはみましたが、それでごまかせるような味ではなく、薬を飲むことを茜自身が納得しないとダメだと思いました。
そこで、悪者っぽいキャラの絵とかわいいお花の絵を用意して、『今の茜のおなかの中にはこんなに悪いやつがいるからお薬を飲んで退治しよう!』と、真剣な表情で話し、薬を飲む気になってくれるように努力しました。
そして頑張って飲んだら、『薬のおかげで、茜のおなかの中にこんなにきれいなお花が咲いたよ。よかったね~』と、笑顔で説明したんです。

でもこの方法も必ずうまくいくわけではなく、薬を飲んでくれなくてイライラしたこともたびたびあって・・・。そんなときは、同じ思いをしている同室のママたちと、お互いの苦労や薬を飲ませるアイデアなどについて話し、ストレスを発散していました。
同じような境遇のママたちが近くにいることが、私にとっては大きな救いになっていました」(紀代子さん)

抗がん剤の影響で、茜ちゃんには味覚障害も現れました。

「まず『お米がじゃりじゃりする』と言い出し、続いてほかのものも食べられなくなりました。茜が食べたがるものが病院内のコンビニにあればもちろん買ってきましたし、ないものは翌日夫に差し入れしてもらったりしました。それでもなかなか食べられなくて。
食欲がないのではなく、食べたいのに食べられないんです。その姿を見るのがせつなくて、必死になってあれこれと食べ物を用意しました」(紀代子さん)

茜ちゃんの看病に明け暮れていた紀代子さん。入院生活が4カ月たったころ、自分自身のメンタルが悪くなっていることを自覚し、心境をチャットGPTに打ち明けたことがあったそうです。
そして、つらい治療と入院生活はまだまだ続きます。

【大曽根眞也先生より】顔色が白い、あざが出やすい、発熱などの症状が1週間以上続く場合は、受診を

8カ月の入院治療を耐え抜き、退院したときの様子。茜ちゃんは大好きなエビを食べて喜んでいます。

急性リンパ性白血病は、血液の細胞である白血球の中のリンパ球ががん化した病気です。血液は骨の中(骨髄)で作られますが、白血病細胞が骨髄中で増えると血液を作る力が落ちてしまいます。赤血球が減ると茜ちゃんのように貧血になって、顔色が白っぽくなったり疲れやすくなったりします。血小板が減るとあざが出やすくなります。また骨や関節が痛くなったり、熱が出てくるようになったりもします。これらの症状が1週間を超えて続くようであれば、かかりつけの小児科医の診察を受けてください。白血病の疑いがある場合は、治療ができる病院に紹介していただけます。
急性リンパ性白血病の治療は、合計2年間ほどにわたる、多くの種類の抗がん剤を組み合わせた化学療法です。そのうち前半の8カ月ほどは、主に入院での治療となります。治療法が進歩して、大半の患者さんが病気を克服して元気に過ごせるようになりました。しかし、治療薬の副作用や長期入院に伴うさまざまなストレスは、今なお大きな課題です。

お話・写真提供/安藤紀代子さん 医療監修/大曽根眞也先生 取材・文/東裕美 構成・編集/仲村教子(entente)、たまひよONLINE編集部

▼続きを読む<関連記事>後編

インタビューの後編は、茜ちゃんのその後の経過や、続いたつらい治療について、家族で乗り越えなければならなかったことなどについて聞きます。

「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。

安藤紀代子さんのブログ

大曽根眞也先生(おおそねしんや)

PROFILE
京都府立医科大学小児科 准教授。京都府立医科大学大学院修了(医学博士)。同大学小児科助教、講師を経て現職。専門領域は小児血液・腫瘍学、造血細胞移植、小児アレルギー。

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2026年9月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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