【専門家監修】幼稚園にかかる費用とは?
全園児の約83%が私立幼稚園に、約17%が公立に、残る約0.4%が国立に通っています。私立と公立では年間費用の差は大きく、かかる費用も公立は、私立の1/2〜1/3の保育料となります。理由は、私立は、入園料や制服の費用などのほか、独自のカリキュラムの教材費や施設、給食費、バス代などがかかることもその理由のひとつです。できれば、保育料の安い公立に入園したいと思っても近くになくて、私立の選択肢しかないこともあります。幼稚園の1年間の費用はどれくらいかかるのか、全国の年間平均費用を見てみましょう。
【記事監修】
学校法人 野上学園久我山幼稚園園長。東京都私立幼稚園連合会常任理事、公益法人全日本私立幼稚園幼児教育機構調査広報委員会副委員長。40年の長きにわたり、幼児教育に携わる
学校法人 江楠学園にじのはねこども園園長。公益法人全日本私立幼稚園幼児教育機構調査広報委員会副委員長。佐賀県で長きにわたり幼児教育や保育に力を入れている
幼稚園で1年間にかかる費用
保育料は安いけれど、園数が少ない!
公立は、住んでいる市区町村によって費用は変わります。地方によっては、統廃合されて公立幼稚園が少ない地域やはじめから設置されていない地域もあります。また、公立は2年保育が多いというのも特徴。費用の安い公立に行かせたいと思っても、近くにないということもあるので、費用だけに注目するのではなく、通える地域にあるのか、また保育期間の確認が大切です。
公立の平均費用138,557円
私立は、延長保育や園内習い事が充実!
以下の表はあくまでも全国平均です。私立は園によって、年間費用に大きな開きがあります。例えば、その差は入園料20,000円~100,000円、制服代が10,000円〜30,000円、と、大きな差があるからです。私立大学の附属幼稚園などは、年間約100〜150万円かかるということもありますが。ただ私立といっても保育料の高い幼稚園ばかりでなく、なかには保育料が公立なみに安いという幼稚園もあるので調べてみましょう。
幼稚園にかかる費用には、入園料や保育料以外に、諸費用として冷暖房費や絵本代のほかに、行事ごとの写真代、寄付金が必要という園もあります。通いたい幼稚園の費用はいくらかかるのか、どういったお金が必要かは、幼稚園のホームページで事前に確認しておきましょう。最近は、延長保育を充実させている幼稚園が増えているので、預かり保育や時間外の習い事を希望する場合は、別途費用が必要になります。預かり保育の費用は時間によって異なります。習い事を希望する場合、保育料に加えて1つの習い事につき3,500〜8,000円ほどかかります。
私立の平均費用 356,455円
幼稚園に必要な主な費用と購入するものの内訳
□入園時にかかる費用
□保育料
□給食費
□制服費(冬・夏各一式、制帽、バッグ、体操服など)
□冷暖房費
□教材費(粘土・スケッチブック、お道具箱セット、絵本代)
□行事費
□バス維持費
□PTA費(保護者会費)
□預かり保育費(希望者)
□時間外の園内習い事費(希望者)
家庭内学習費にかかる年間平均は8〜14万円
教育費総額として家庭学習費も含めて検討を
幼稚園に通う年齢になると保育料以外に、習い事や塾の月謝、ドリルや通信学習費などにお金をかける家庭が増えてきます。公立の幼稚園に通う園児の家庭で平均年間3万〜11万円、私立幼稚園に通う園児の家庭で年間9万〜18万円ほどかけているというデータも。年齢があがるにつれ、習い事や入学準備など幼稚園以外の学習費が高くなる傾向があるようです。幼稚園の費用と幼稚園以外の学習費をあわせると、子ども一人当たり、年間約18万〜60万円ほどかかる計算になります。子どもの教育費は、小学校高学年、中学校、高校、大学と、これからどんどん高くなります。大学進学することを検討している家庭は、教育費のかけ方も夫婦で話しあって、計画的に使うことが大切です。
私立幼稚園の補助金制度とは?
私立幼稚園に通う家庭を対象に、「入園料助成金」「保育料助成金」「就園奨励費補助金」といった名目の自治体独自の補助金制度があります。幼稚園の無償化に向け段階的に取り組む過程で、公立・私立幼稚園・保育園との補助額格差を解消するために設けられた制度。入園料や保育料の一部を自治体が助成しています。申請は、幼稚園または市区町村で行います。助成金制度は、各自治体のホームページなどに掲載されているので、事前に確認しておくといいでしょう。助成金の内容は、世帯収入や子どもやきょうだいの年齢、人数などによって支給される金額は変わります。地域によっては、所得制限なしでも受けられる助成金制度を設けている自治体もあります。
助成金は、年に1〜2回にまとめて交付されるところが多いようですが、時期や回数も自治体によって違います。以下は、杉並区の助成金制度です。
私立幼稚園の補助金制度の例(東京都杉並区)
対象となる人)
・園児と同居する保護者で、杉並区に住民登録していること
・園児が私立幼稚園などに在籍し、保護者が入園料や保育料を納入済みであること
・園児が満3歳児、3歳児、4歳児、5歳児であること
・子ども・子育て支援新制度に移行した園(区内は阿佐谷・杉並央文・桃井の3
園)の保護者の方は、入園料助成金のみ対象です
幼稚園の助成金の種類
入園料助成金 60,000円
※園児ひとりにつき1回に限り助成します
※負担した入園料が60,000円に満たないときは、負担した金額を限度としています
保護者補助金及び就園奨励費補助金
私立幼稚園など保護者補助金単価表(平成29年度)
補助金額(年間)
目安の世帯年収 第一子 第二子 第三子
生活保護世帯
区民税所得割非課税世帯 462,800円 462,800円 462,800円
ひとり親世帯の特例
年収約360万円以下 273,600円 377,800円 462,800円
※年齢を問わない兄・姉の人数
年収約680万円以下 210,400 円 332,600 円 455,600円
年収約730万円以下 159,600 円 214,000 円 368,000円
年収約1000万円以下 80,400 円 154,000 円 308,000円
年収約1000万円を超 48,000 円 154,000 円 308,000円
※小学校1〜3年生に在学している兄・ 姉及び就園中の園児数
※保護者の所得に応じて、保育料の一部を上記の単価表のとおり助成します。ただし、子ども・子育て支援新制度に移行した園は除かれます
※補助金は、支払った入園料と保育料の合計額が限度額になります。算定した補助額がこれを上回った場合は、限度額に減額して交付します
※世帯の中で2人以上に所得があった場合は、その合計区市町村民税所得割額で区分を認定します
※未申告などの理由で区市町村民税額が確定していない場合は、区分7で認定します
※保護者が単身赴任や入院などの理由で別居の場合は、同一世帯として取り扱います
※通園に要する費用を負担している方は、別世帯であっても同一世帯として取り扱っています
※年度途中の入退園・転出入の場合は月割で計算します(100円未満四捨五入)。
まとめ
幼稚園の費用は、地域や園によって大きく変わります。入園させたい幼稚園をいくつかリストアップしたら、どれくらい費用がかかるのかホームページなどで調べてみましょう。幼稚園の保育料は、ある程度は補助金制度でおさえることができるので、きちんと申請することが大切です。申請についてわからないときは、幼稚園または自治体に相談しましょう。ただ補助金は、事前に振り込まれるわけではありません。入金手続きがすんだあとに、年に2回程度に分けて振り込まれるので、幼稚園の入園に必要な費用の準備は必要です。
初回公開日 2017/8/30