ママが復職する時の8つの心構えをキャリアコンサルタントが伝授
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木山 美佳
キャリアコンサルタント
㈱キャリ・ソフィア代表。大手人材会社にて研修講師・キャリアコンサルタントを経験。航空系研修会社にて研修講師として、多種多様な企業・大学の研修・講演実績を持つ。国家資格キャリアコンサルタント。大阪府立大学博士後期課程在籍・女性労働研究。息子をもつ母。
http://www.career-sophia.jp
昨今では共働きの家庭も増え、子どもが少しずつ手を離れるようになれば、ママも「復職」を視野に入れることでしょう。しかし、いざ復職となると不安になってどうしたらよいか分からないなんてことはありませんか? ここでは、子どもをもつキャリアコンサルタントの木山美佳さんが復職時の8つの心構えを教えてくれます。
「子ども」と「働くこと」の2つの視点
復職を考えるとき、まず思い浮かぶのは子どものことでしょう。保育園に預けるのか、子どもの世話は誰かに頼むべきか、もしも子どもの身に何かあったときはどうすれば良いか、など不安は尽きないものです。また働くことについても、復職する職場環境や自身のキャリアプランなども気になるところでしょう。この「子ども」と「働くこと」の視点から、「子どもに負担をかけないための心構え」と「スムーズに復職するための心構え」の2つに大別してお伝えします。
子どもに負担をかけないための心構え3つ
子どもに負担をかけないための心構えには「子どもの集団生活」「周囲の協力」「緊急時の対処」の3つのポイントがあります。それでは、詳しく見ていきましょう。
子どもが未就園児の場合は集団生活に慣らしておく
小さな子どもはいきなり保育園のような集団生活に入れられると戸惑うことがあります。慣らし保育が設けられる場合もありますが、保育園に預ける前に、地域のサークルや保育園で行われている行事など、近い年齢の子どもが集まっている場に連れていくと良いでしょう。同世代の子が集まる場の雰囲気に慣れ、ママと離れて遊ぶ機会を持つことは、子どもにとっても心の準備にもなります。そして保育園に預ける際は、先生とコミュニケーションをしっかり取るようにしましょう。
周囲の人を巻き込んで協力してもらう
「仕事も家事も育児も全て自分でしなきゃ……」と思っていると、心身ともに疲れ果ててしまいます。周囲の人に協力してもらえる環境を作っておくことが大切です。
身内やファミリーサポートなどのサービス、ママ友との連携なども考えておきます。家族で助け合うためにも、パパが家事に慣れていない場合は復職前に徐々に慣れておいてもらいましょう。自分の親や相手の親のサポートもありがたいですね。しかし、サポートしてもらって当然という考え方ではいけません。お願いしたいことを相談する、感謝の気持ちを伝えるなども忘れずに。最近は「孫ブルー」という言葉もあり、親に負担をかけ過ぎないように注意しましょう。
緊急事態がおこったときの対処について考えておく
子どもを預けていると、子どもが病気や体調不良になれば、仕事を休んだり急遽迎えに行かなければなかったりします。子どもの具合によっては数日の休みが必要という場合もあります。そのような場合に、どう対処するのかを考えておきます。病気の場合は、病児保育を行っている病院などの施設や訪問型のサポートを行っている機関もありますので、近隣で見つけておくと良いでしょう。また、しっかりと予防接種を受けておくことも大切です。
スムーズに復職するための心構え5つ
スムーズに復職するための心構えには「生活スケジュール」「職場や業務の情報」「職場関係」「キャリアビジョン」「ポジティブ」の5つのポイントがあります。
復職後の生活スケジュールを予想しておく
復職すると時間の使い方が一変します。仕事の勘を取り戻したり、覚えることが多々あったりと、はじめはうまくいかないケースがほとんどです。そのためにも、やることリストを作り、時間の使い方を予想しておくと効率的に活動しやすくなります。例えば、起床、仕度、保育園の送迎、買い物、家事などで必要なことと必要な時間を、1日単位や1週間単位で予測して計画を立てると良いでしょう。
事前に職場や仕事の情報を得る
育休明けで職場に復帰する人は休職期間中に新システムが導入されていたり、新たな人が入社していたりするなどの変化が起きていることがあります。復職前には職場に訪問するか、同僚や上司に連絡するかなどをして最新の社内事情を教わっておくと、復帰後に戸惑うことが少なくなります。
また、一旦離職して仕事を再開するママは、離職期間が長ければ長いほど、職場で求められる基本知識を再確認しておくようにすると良いでしょう。メールマナーやパソコン操作など、自治体等のセミナーや市販本で復習しておくと自信を持ってスタートできると思います。
いずれの場合も、情報を得ることは自分自身が仕事を再開する心の準備にもなります。そのため、復職前には勉強や情報収集しておくことをおすすめします。
職場の仲間との関係づくり
子どもが小さいうちは、職場でサポートしてもらうことも出てきます。同じ職場の仲間が快く仕事をしていくためにも「子どもが小さいから当たり前」という態度ではなく、丁寧なコミュニケーションを取って人間関係を築く必要があります。また助けてもらう分、自分ができることは積極的に行い、時には可能な範囲で仲間のサポートを心がけましょう。
サポートをお願いするときには、サポートしてくれる人の負担を減らし、引き継ぎがスムーズにできるように気を配りましょう。これからの社会は子育て以外でも介護などで時間に制限のある人が増えていきますので、お互い様の気持ちをもって仕事をすることが大切です。
自分のキャリアビジョンをもっておく
復職すると、いろいろと乗り越えなければいけないこともあります。けれども、それが自分自身の成長やキャリアアップにもつながります。そのためには、しっかりと自分の軸をもっておくこと。自分が仕事をする意味や仕事で得たいことなどを考えおくと、多少の壁があっても乗り越える原動力になります。
ネガティブにならない
復職したママがよく陥ってしまうのが「子どもが小さいのに預けてしまい可哀そう」「家族に負担をかけている」と自分を責めてしまうこと。ママがそう感じて暗い表情になっていたり、言葉に出していたりすると、子どもにもその気持ちが伝わってしまいます。働くメリットはたくさんありますので、ポジティブな面を見るようにしましょう。そして子どもと一緒にいる時間は、子どもと一緒になってイキイキと楽しみながら過ごせるような気持ちになることが何よりも大事です。
ママが頑張って仕事をしていると子どもに話してあげることで、活きたキャリア教育にもなりますよ。
復職する際はいろいろと心配事もありますよね。しかし、しっかりと準備をしておくことで良いスタートを切ることができます。そして周囲の協力を上手に得ながら、柔軟に考え、長く働いていける環境を作っていきましょう。
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