実は恥ずかしい……意外と間違っている日本語
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「お身体ご自愛下さい」「的を得た言い方ですね」「とんでもございません」…など、
実は間違っているのに気がつかないで使っている日本語は意外と多くあります。
ママとして、園の先生方や先輩ママたちと会うことも多い日々。
使い方を間違えて覚えていないか、書道家の高宮 暉峰さんに伺いました。
高宮 暉峰
日本書道教育連盟 師範
書道のはな*みち 主宰 https://hana-michi.com/
著書に、 『まっすぐな線が引ければ字はうまくなる』(日本実業出版) 『悪筆セラピー』(幻冬舎)他多数。
プライベートでは二児の母。
お身体ご自愛下さい の間違いは?
よくメールの末文などでもいただく「お身体ご自愛下さい」
とても丁寧な表現のようなのですが、実はこれは間違い!!
ご自愛とは、もともと、体と心と、両方大切にする という意味合いがあります。
よって、お身体ご自愛……としてしまうと、頭痛が痛い!と同じように、重複表現となってしまいます。くれぐれもご自愛ください、という表現が正解。
なお、相手の方が入院されていたとか、風邪が治ったばかりで特に体を大切にしてほしい、という場合は、
「くれぐれもお身体大切になさってください」
「お身体お労りください」とご自愛を使わない表現にするといいでしょう。
ちなみに、「下さい」は、下という漢字が入っていますので、
目上の方に使うのはタブー。「ください」とひらがなで書いてくださいね。
的を得た言い方 本当はどう言うべき?
ママ友さんたちと話していて、要点を突かれたときなど、
「あ!それはすごい的を得てるね!」なんて言ってしまうことありませんか?
これもよく勘違いされてしまうのですが、的は得るものではなく、射るもの、ですよね。
的の真ん中を矢でズバリつらぬくようなイメージです。
このように、的を射る(まとをいる)とは物事をを正確に、要点をつくということです。
この際、しっかり覚えておきましょう。
ただ、的を射る(まとをいる)という言い方は、発音してみるとよく分かるのですが、
舌を噛んでしまいそうになりませんか?
ちょっと発音しずらいこともあり、的を得るという言い方のほうが、誤用とはいえ、広まってしまったという一説もあります。
ちなみに、得るという言葉は、「うまくとらえる」という意味があります。
要領を得る、信頼を得る、といった表現のときに使うとよいでしょう。
ついつい言ってしまう、とんでもございません。正しくは?
「とんでもございません」これはとても謙遜の気持ちが伝わってくるようで、よい表現のような気がしてしまいますね。
でも、「とんでもない」というのはこれで一つの形容詞。つまり「とんでも」+「ない」ではなく、「とんでもない」でひとくくりなのです。ですので、
「とんでもありません」や、「とんでもございません」など、
「ない」だけを変化させて使うのは、間違いなのです。
「とんでもない」
これをひとつの言葉だと覚えておけば大丈夫。
「とんでもない」は、同じ年のお友達などに。
「とんでもないです」「とんでもないことでございます」などは、目上の方への謙遜表現として覚えておくと、シーンにあわせて使うことができますね。
手書き 特別編お手紙で封をするとき「×」って書いていませんか?
最後に、会話表現ではありませんが、お手紙を書くときの豆知識をひとつお伝えしますね。
皆さんは、お手紙を書いて、封をした後、そこに「×(ばってん)」の印を書いてはいませんか?私は仕事柄、お手紙をよくいただくので、とても気になるのですが、やはり「×」を書いている方は結構いらっしゃいます。
この印は「封緘(ふうかん)」と言って、途中で開けられるのを防ぐためのものです。
「封」と書いたり、「緘」の印を押したりと様々な方法がありますが、封筒の封印として最も用いられているのが、手書きでの「〆」ではないでしょうか?これは「締」が簡略化されたもの。
よって、正しくは「〆」であり、「×」ではないので、注意してくださいね。いただく方も、「×」印の封緘をいただいたら、気持ちがよくないですよね。
こういったところにも、心配りや気持ちが表れます。あっ!と思った方がいらしたら、ぜひ心がけてみてくださいね。