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主夫・村上誠さんに聞く「主婦(夫)に向く人・向かない人」

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Halfpoint/gettyimages

近年、「イクメンブーム」といわれるように子育てを楽しむパパは増えましたが、ママたちからは「育児の楽しいところだけじゃなくて、家事をもっとやってほしい」という声も…。
いまだ女性が担うことの多い家事・育児ですが、10年前から「主夫」として家庭を切り盛りしてきた男性がいます。日本ではまだ圧倒的なマイノリティーである「主夫」という選択肢を増やすため、さまざまな発信をし続ける「秘密結社・主夫の友」の総統でもある村上誠さんです。村上さんに、主夫を選んだきっかけや「主夫業」で得た気づきを伺いました。

主夫を選んだのはいちばん合理的だったから

村上さんが「主夫」の選択をしたのは、2008年ごろのこと。共働きの村上家の家事育児をサポートしてくれていた同居のお母さんが倒れて、要介護になったことがきっかけでした。

「そのころ妻はインターネット系の広告代理店に勤務し、長男の育休復帰後フルタイムに戻り忙しく働いていました。一方の私はフリーランスのグラフィックデザイナー。家族で何度も話し合いましたが、妻が仕事を辞めたり、時短勤務に戻らずに働き続けて、融通が利きやすい私が仕事のペースを落としながら家事や育児と介護のダブルケアをするのが物理的にも経済的にもいちばん合理的だったんです。

私が共働き家庭で育ったため母親の就労に理解があり、父親も子どもも家事を分担することは当たり前の環境だったことも決断を後押ししました。
それでも、妻が仕事に疲れてくると『なんで私が働かなきゃいけないの…』と弱音を吐くことや『だれが稼いでると思っているの!』なんてキレられることもありましたよ。妻は専業主婦家庭で育っており、働く母親のロールモデルを想像しづらいのでしかたないですよね。その都度話し合ったり、愚痴を受け止めながらも今の形に落ち着いています」(村上さん・以下同)

「主婦(夫)業」には男女問わず向き・不向きがある

きちんとコミュニケーションを重ねて合理的に「主夫」を選んだ村上さんご夫婦でさえ、お互いに不満を抱えてしまう家事と仕事の分担問題。村上さんは、もっと男性が家事を担ったほうがいいケースも多いと感じるそう。

「学生や独身時代に一人暮らしで、家事をひと通りこなしてきた男性は多いはず。一方、結婚するまで実家暮らしで、専業主婦のお母さんがなんでもやってくれた家庭で育った女性の場合、家事経験が少ないことも多い。
性格的にも”きちょうめん”や”きれい好き”など家事が向いている男性も多いのに、なぜか結婚したら男女ともに『家のことは女性がやるもの』という固定的な性別役割分担意識に縛られてしまうのです。
また、子どもの友だちの親とのつき合いやPTA活動、自治会や管理組合など地域の交流も大切な家事の一つです。しかし、男女ともにこうしたコミュニケーションが苦手な人はいます。性別を問わず、家事労働は向き不向きがある。それなのに、圧倒的に女性に家事分担がかたよっているのは、お互いに選択肢を狭めてしまっていますよね。男性でもサービス業や営業職の方は、近所つき合いも得意かもしれませんよ」

パパはママの自己肯定感を上げるべし

たしかに実際やってみると、家事の段取り力やおつき合いのためのコミュニケーション力など、マルチな力を求められる主婦業。家事が得意でコミュニケーションが上手な村上さんでも、つらい時期はあったそう。

「子どもが小さいころは、今ほど育児する父親も多くなく、SNSなどのつながりもありませんでした。地域のコミュニティーはママだらけ。けっこう孤独な育児をしていましたね。家事や育児ばかりの生活は『社会に必要とされていないのでは』と不安になるし、頑張りを理解・評価されないと自己肯定感が下がってきます。
近年、子どもの自己肯定感が重視されていますが、育児をしている人の自己肯定感はなおざりです。まずは親の心が満たされて、自己肯定感がシャンパンタワーのようにあふれたときに、子どもにも自然に愛情が注がれるものなんですよ。仕事が忙しくて家事の分担ができないパパたちは、ママの自己肯定感を上げることが大切。日々、ささいなことでも肯定して感謝を伝えましょう。

とはいえ、謙遜(けんそん)や身内を卑下する文化が根深い日本では、ほめられなれていない、ほめるのが苦手な方も多いのではないでしょうか。そんな方は、間接的に伝えてみるのもおすすめです。私の妻もよく、『○○さんが、こんな風にパパをほめていたよ』と客観的に持ち上げてくれます。子どものいいところが自分に似ていると言われるのも、うれしいですよね」

「パパに、もっと家事を分担してほしい!」というママたちの声に、村上さんにアドバイスもいただきました。

「最近『家事シェア』がブームですが、まず話し合っておくべきなのは『家事の及第点』です。どこまでやれば十分か、逆にどこまで妥協できるか、お互いのボーダーラインを知っていれば、イライラすることも減るはず。分担したものは、相手の自主性に任せるのも大切です。わが家でも、色物やタオルは分けたい私と何でも一緒に洗うタイプの妻ですが、妻が洗濯をしてくれるときは口出ししません。
そして新たに家事を分担してもらうなら、パパも料理ができるようになれるといいですね。食事は毎日の生活の基本ですし、子どもも食べ物を与えてくれる人になつきます。とくに離乳食作りは、調理方法や味付けがシンプルなので、料理の入り口として最適ですよ。逆にゴミ捨てやふろ掃除といったマイナスをゼロに戻す家事は、『もっとやりたい』という気持ちにはなりにくいかもしれません」

パパの家事分担でありがちな「ゴミ捨て」ですが、意外な落とし穴があるのですね!離乳食作り、パパもぜひ挑戦してみてくださいね(取材・文/ひよこクラブ編集部)

●Profile/村上誠さん
1971年生まれ。妻、長男(12歳)、次男(6歳)、父の5人家族。結婚と同時に実両親と同居。2008年に同居していた実母が倒れ、要介護者となったのをきっかけに自分のワークライフバランスを見直し、兼業主夫となる。NPO法人ファザーリング・ジャパン理事、ファザーリング・ジャパンちば代表、NPO法人孫育て・ニッポン理事、NPO法人いちかわ子育てネットワーク理事なども務める。

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