子どものおねしょと、どうつきあう?
昼間のおむつがはずれたのに、夜寝ている間に子どもがおねしょ! 忙しい朝に限ってびしょびしょにぬれた布団やシーツを目にすると、ついがっかり&イライラしてしまうママ・パパも多いのでは? 「おねしょはいつまで続くの?」「まだおねしょしていて問題ないの?」など、おねしょに関する気がかりや疑問について、「ひよこクラブ」の人気連載「すくすく成長日記」の監修でおなじみ、小児科医の若江恵利子先生に聞きました。
おねしょのメカニズム
おねしょは、夜寝ている間に作られるおしっこの量と、おしっこをためる膀胱の大きさのバランスが悪い場合に起こります。わかりやすく言うと、夜間のおしっこの量が、膀胱でためられるおしっこの量を超えてしまうと、おねしょをしてしまうわけです。そのメカニズムを詳しく解説していきましょう。
子どもは「抗利尿ホルモン」が未発達
通常、夜間の睡眠時には、「抗利尿ホルモン」と呼ばれるホルモンが分泌されます。このホルモンにはおしっこを濃くして量を少なくする働きがあります。それにより、作られるおしっこの量が減り、一晩、膀胱におしっこをためておくことができるのです。けれど、このホルモンの分泌量が少ないと、夜間のおしっこの量が減らず、おねしょの原因になることがあります。
子どもは膀胱そのものが小さい
一方、膀胱は昼間よりも夜間のほうがふくらんで、尿をためられるようになっていますが、膀胱そのものが小さいとおしっこをたくさんためられず、おねしょをしてしまうことも。昼間はおむつがはずれたのに、夜はおむつがはずれない子は、「抗利尿ホルモン」の分泌量が少ないか、夜間の膀胱の膨らみが小さい場合が考えられます。
6歳くらいまでには改善
「抗利尿ホルモン」の分泌量や膀胱の大きさには個人差がありますので、ほとんどの場合は成長とともに改善していくでしょう。6歳までのおねしょなら、とくに心配はいりません。とはいえ、6歳を過ぎても月に数回以上おねしょが続く場合は、「夜尿症」と診断されて治療が必要になることも。「夜尿症」は幼稚園年長児の15%、小学校低学年児の10%、高学年児の5%に見られます。
おねしょの対応“3原則”
基本的におねしょは、子どもの排尿機能の発達が未熟なために起こるもの。子どもがおねしょをしても「気持ちがたるんでいる」「だらしない」など、心の問題としてネガティブにとらえないようにしましょう。昼間のおむつはずれと夜間のおむつはずれは別物なのです。
おねしょへの対応は「あせらず」「しからず」「起こさず」の3原則が基本です。これを知っておけば、子どもがおねしょをしたときに困らなくてすむでしょう。
その1「あせらず」
子どもがおねしょを繰り返しても、ママ・パパは「成長すれば、そのうちしなくなる」とゆったり構えましょう。
その2「しからず」
「なんでおねしょするの? しっかりして!」などとしかるのはNG。「夜おしっこが出ちゃうのはしかたないの。大きくなれば、おしっこしないで朝起きられるようになるからね。恥ずかしがることはないよ」などと、きちんと説明してあげることが大切です。そうすることで、子どもはおねしょをしても委縮したり、精神的に追い込まれたりしなくて済みます。
その3「起こさず」
おねしょが心配だからといって、寝ているところをわざわざ起こしてトイレに連れていくことは不要です。夜間のおしっこの量を少なくする「抗利尿ホルモン」はぐっすり眠っているときこそ分泌されます。熟睡させることを優先させましょう。
おねしょを減らす方法
子どもの排尿機能が整ってきても、生活習慣が原因でおねしょすることがあります。そのようなおねしょを減らすには、生活習慣の見直しが必要になります。
水分のとりすぎに注意!
夜は過剰に水分をとらないように気をつけましょう。もし、起床時におむつがおしっこでパンパンになっていたら、水分を与えすぎていないか再チェックを。麦茶や湯冷ましなどの飲み物に限らず、夕食時の汁ものや水分が多めの果物なども考慮するといいでしょう。また、夕食で塩分をとり過ぎると、のどが渇いて水分を多くとりがちなので、塩分を控えるのもポイントです。
便秘になっていないか確認を!
便秘になると、腸にたまった便が膀胱を圧迫して、おねしょの原因になることもあります。おむつはずれが完了して排せつを子ども任せにしていると、実は子どもが便秘だということを親が知らない場合があります。おねしょが続く場合は、子どもに「毎日ちゃんとうんち出てる?」と確認するといいでしょう。もし便秘になっていたら、食物繊維の多い野菜や果物を多く食事に取り入れるなど、便秘解消に向けての工夫をしてみてください。
体が冷えたら温める!
子どもの体を冷やさないことも大事です。習い事でスイミングをしている場合、体の冷えから夜間におねしょをすることも。スイミングから帰宅後は、すぐおふろに入って体を温めるのがおすすめです。
生活習慣とは関係ないですが、環境の変化がおねしょの原因になることがあります。下の子が生まれた、引っ越ししたなど、子どもを取り巻く環境が変わると一時的に不安になり、おねしょをしてしまうことも。新しい環境に慣れてくれば自然としなくなるので、おおらかな気持ちで見守りましょう。
6歳までの子がおねしょをするのは当たり前のこと。夜間は無理をせず、おむつをはかせて安心して寝かせてあげましょう。「あせらず」「しからず」「起こさず」の3原則を守り、子どもの成長をおおらかに待てばOK。6歳を過ぎてもおねしょが続く場合は、かかりつけの小児科医に相談を。治療の手だてはあるので、安心してください。(取材・文/永井篤美、ひよこクラブ編集部)
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