子どものイヤイヤはなぜ始まる?親は受け入れるべき?
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ネガティブなイメージが先行する、イヤイヤ期。戦々恐々としているママたちからあがった質問へ、発達心理の専門家、井戸ゆかり先生に回答していただきました。
Q:赤ちゃんはなんでイヤイヤするの?
そもそも赤ちゃんがイヤイヤをするのはどうしてなんでしょうか?
「『不快な気持ち』を言葉でうまく伝えることができないから。泣いたり怒ったりして自己主張しているのです」(井戸先生・以下同)
1.眠い、空腹などの生理的不快感がある
「0~1才代では、生理的不快感により、気持ちが不安定になってしまうことが最大の原因になります」
2.自分の要求を言葉でうまく表現できない
「言葉が未発達で要求をうまく伝えられず、自分が何を求めているのかも自覚できず、モヤモヤしているのです」
3.やりたくないことを強要される
「押しつけられるのがとにかくイヤ。自分のやりたいことができないことで不機嫌になります」
4.ママの気を引いて甘えたい
「まだまだ甘えん坊な赤ちゃん。ママの気を引きたくて、気まぐれでイヤイヤすることも多いです」
Q:イヤイヤは受け入れたほうがいい?
「イヤイヤは自己主張のほかに、感情表現の練習の役割もあります。ある程度は受け入れましょう。赤ちゃんがイヤイヤしてママが反応を示すことが、一つのコミュニケーションとなり、繰り返すことで人間性やコミュニケーション能力を形成します。イヤイヤを経て伸びる赤ちゃんの力は3つあります」
イヤイヤを経て伸びる「コミュニケーション力」
「イヤイヤは何かを伝えるための手段の一つ。ママが共感することで自分が受け入れられていると感じ、コミュニケーションが楽しめるようになります。赤ちゃんの自己主張はなるべく受け止めましょう」
イヤイヤを経て伸びる「感情表現力」
「喜怒哀楽を表現する練習になります。ママが怒って気持ちを押さえつけると、感情を出さない子になることも。“今は自立するために必要なものが育っている時期”とポジティブにとらえて」
イヤイヤを経て伸びる「気持ちのコントロール力」
「ママがさりげなくフォローすることで自分の気持ちに気づき、コントロールする力が養われます。何がイヤなのか、赤ちゃんがうまく言葉で表現できない気持ちを代弁したり、共感したりしてあげて」
イヤイヤを経験することで、子どもの能力が伸びていく・・・そう思うと、イヤイヤ期を多少前向きにとらえることができそうですね。イヤイヤを受け止めるママ・パパも、イヤイヤ期を乗り越えることで親としてワンランクアップできそう!(取材・文/ひよこクラブ編集部)
■2017年『ひよこクラブ』5月号「共感&切り替えで乗り切る9カ月からのイヤイヤ期攻略法」より
■監修:井戸ゆかり先生
東京都市大学 人間科学部 教授。発達臨床心理学、保育学が専門。乳幼児期からの子どもの心身の発達や、親子関係などを研究し、講演会などを行う。2人のお子さんのママでもあります。
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