パパが「育休を取りたい」と言い出せない”心のハードル”とは?
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本誌の読者から、パパが育児休業(以下、育休)を取得したという話を、ちらほら聞くようになりました。厚生労働省の最新の調査では、男性の育休取得率は5.14%で過去最高。けれど、女性の83.2%には遠く及びません。まだまだパパは育休を取りにくいよう。NPO法人ファザーリングジャパンの理事を務める塚越学さんに実情を伺いました。
※育児休業とは、労働者が原則1才に満たない子どもを育てるために、仕事を休業することができる制度。ママ、パパともに取得することが可能。
金融業や保険業に限れば、男性の育休取得率13%の国の目標を達成!
国は2020年までに男性の育休取得率13%をめざしていますが、17年度の取得率は5.14%。目標が達成できるのか心配になるほどです。「育休を取りたい!」と思うすべてのパパの願いがかなうには、何が必要なのでしょうか?
「5.14%という数字だけを見ると少ないと感じてしまいますが、金融業や保険業に限れば、国の目標である13%を超えています(15.76%)。情報通信業も12.78%と近い数字です。この結果から、男性が育休を取得しても問題ないことがわかります」(塚越さん・以下同)
業界によって取得率に差はあるものの、男性の育休は法律によって定められた制度。これまでにも「パパ休暇」「パパ・ママ育休プラス」など法の整備が進められてきました。
「制度がいくら整っても、パパ側の“心のハードル“がある限り、取得には至らないでしょう。パパが育休を取りたくても取らない理由は、主に
“職場に迷惑がかかる”
“前例がない”
“妻が専業主婦だから”
などです。会社に育休を取得したいとすら言っていないケースが多いのです」
パパが「育休を取る!」と決めることが最初の一歩。ママから期待することも大事
「パパが育休を取ると“決める”ことがスタートラインだ」と塚越さん。
「まずは上司や人事部に相談し、なるべく迷惑がかからない方法を考えたり、評価に差し障りない範囲で取得したりする方法があります。ぜひ後進のためにも、新しいパパのロールモデルになってもらいたいですね」
ママがパパに働きかけることも大事だと塚越さんは言います。
「ママから『育休はいつ取るの?』『あなたが必要! 育休を取って』とくり返し言いましょう。ママのワンオペ育児を“チーム育児”にするために、パパへの期待を伝えましょう」
塚越さんがすすめる、第1子のときのパパの育休の取り方とは?
「新生児期の育児を夫婦2人で経験すると、パパも“子育て脳”になり親としての土台ができるので、産後8週の間の取得がおすすめです。家族とよく話し合って決めましょう」
パパの育休取得タイプ
主なパパの育休取得タイプは以下の6つ。育休を取得する場合は、休みたい日の1カ月前までに書類を提出しましょう。
参考/ファザーリング・ジャパン
夫婦de育休ファイル
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ママたちの間で話題になっていることから時事ネタまで、子育てに関するニュースを掘り下げる、ひよこクラブ人気連載「子育てトピックス」。読者に人気のテーマを、毎月ネットでも紹介します。2019年1月号のトピックは、「不快性射乳反射(ふかいせいしゃにゅうはんしゃ)のこと」。チェックしてみてください。(取材・文/ひよこクラブ編集部)
■監修:塚越 学さん
NPO法人 ファザーリング・ジャパン理事。東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部 上席シニアコンサルタント。共著に新刊『パパとママの育児戦略』(repicbook)がある。
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