子どもがお友達とケンカ! 怒るべき?怒らないべき?
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成長と共にお友だちと一緒に遊べるようになって来た我が子を見るのはうれしくもありますが、心配事も増えてしまいます。遊びの中での「やった、やられた」、「とった、とられた」などの子ども同士のトラブルはどうしたらよいでしょう。教育・子育て心理アドバイザーの雨宮奈月さんに子ども同士のトラブルの対処法を教えていただきました。
雨宮 奈月(教育・子育て心理アドバイザー)
IQとEQを育てる総合学習教室HEC Kids Educationを主宰。
コミュニケーション能力とロジカルシンキングを伸ばす英語クラスと知能開発クラスをオリジナルのメソッドで指導、表現力を伸ばすコースでは英語劇やミュージカルをプロデュース。
子育てや学習の環境を「丸ごと指導」するカウンセラーでもあり、アメリカで幼少期を過ごした帰国子女、3児の母でもある。
まさかうちの子どもがお友だちを泣かせちゃった?
さっきまで仲良く遊んでいたのに、泣き声が聞こえてきて振り返ると困り顔の我が子と泣いているお友だち。ついつい「何したの?」と詰問して怒ってしまうところですが、ちょっと待ってください。それは本当に怒るべきなのでしょうか?状況を確認する前に相手の子へ「ごめんね~」と謝ってしまったりしていませんか?
子ども同士のトラブルで、泣いている子と泣いていない子がいれば、周囲の人は泣いている子を慰め、泣いていない方を責めてしまいますが、その対応は決して正解とは言えないかもしれません。なぜなら、同じ境遇にあっても「すぐに泣いちゃう子」と「我慢強い子」、「その場で泣けない子」もいるからです。
今泣いている子が必ずしも「謝られる対象」ではないかもしれないということです。それを確かめもせずに親が決めつけてしまっては、親子の信頼関係を損ねてしまうかもしれません。
では冒頭の、うちの子が泣かせてしまったかもしれないという状況においてベストな対応は何でしょうか?
「パパ・ママは子どもにとっての一番の味方でいるよ!」との意思表示をしてあげて欲しいなと思います。
・お友だちを泣かせてしまって後悔しているのならば、一緒に謝るよ!
・そんなつもりじゃなかったんだ、と誤解があったならば一緒に伝えるよ!
・困っている事があるなら一緒にどうしたらいいか考えるよ!
まず、このように子どもに寄り添ってあげてください。子どもは、怒られるかもしれない…と身構えずに、自分の親は自分を信じてくれると安心します。その信頼を確認した後に「どうしたの?」と聞いてあげてください。
きょうだい喧嘩でも同様です。上の子が下の子を泣かせてしまった場合、すぐに上の子を怒らないで、話を聞いてあげてください。その上で、「泣かせたこと」を怒るのではなく、「怒るべきポイント」だけを注意することを心掛けると良いでしょう。
相手が泣いたから「ごめんね」をするシステムを作らずに、どうして相手が嫌な思いをしたのか理解した時に「ごめんね」が出来るようにしたいですね。
ケンカをしたら怒るのはNG?
そもそもケンカをするのはダメなことでしょうか?
自分の主張と相手の主張が違うことで起こるものですから、ケンカ自体は決してダメなことではありません。子どもはケンカを経験していく中で、自己中心性から抜け出し、ルールやマナー、そしてコミュニケーションの取り方を学ぶのです。
子どものケンカは、相手の気持ちを想像する思いやりを育てる子育てにおいてのチャンスなのかもしれません。また、自分の気持ちをどうしたら相手に伝えることができるかを学ぶチャンスでもあります。
「なぜケンカをしたのか」ではなく、「どうしてケンカになったのか」を考える、良いきっかけになるはずです。自分の気持ちと相手の気持ちを分かった上で次にする行動は「ごめんなさい」なのか「仲直り」なのか「交渉」なのかを一緒に考えてあげてください。
・どうしてケンカになっちゃったのかな?
・どうしたらケンカにならずに済んだのかな?
・仲良くするにはどうしたらよいのかな?
ケンカをしたこと自体を怒らずに、ケンカの内容に焦点を当て、子ども自身に考えさせる声掛けをしてあげましょう。
ケンカの後はどんなルール?
ケンカ時の対応、我が家の方針がまとまったところで、ケンカの相手との関係を考えてみましょう。きょうだい喧嘩とお友だちとのケンカとでは、同じようにはいきません。
ある程度気心の知れている間柄では、各家庭の方針をシェアし合ってそれを実行しても良いかを事前に話しておくと良いでしょう。
・うちは「ごめんね」とお友だちに言うまでOK出さないよ
・うちはお友だちが「いいよ」と言ってくれるまで「ごめんね」するよ
・うちは泣き止めば「えらいね」って言って終わりだよ
・うちはちゃんとお互いでお話して解決させるよ
さまざまな方針があるかと思います。各家庭の方針を相手に押し付けるのはよろしくありませんが、いろいろ大人がいることを知るのも勉強です。自分の親以外の大人からの言葉が与える影響が意外にも大きいので、仲間内では子どもにいつも言っていることを変えずに伝えてあげてください。子どもに筋を通すためにも家のルールをよそでも使えるものにしておくと良いでしょう。
うちの子どもが泣かされた現場をみちゃった!誰になにを言うべき?
一方で、全く知らないお友だちとのケンカの場合は、まずは誰に声をかけるべきでしょうか。相手の子どもなのか、その保護者なのか、我が子なのか。
「ママ、パパ、おうちで言っていることと違うよ!」と子どもから思われないよう、おうちルールに矛盾しないように、必要な言葉を相手や相手の保護者の方に子どもと一緒に伝えてあげて欲しいです。
傍観者ではなく、フェアな審判の立場でもなく、子どものサイドに立ち、伝えることを応援してあげてください。
・ボクが先に使っていたから返して!
・わたしがここにいたのよ!
・押されて痛かったよ!
それでも、相手が同じ価値観ではないかもしれないので、「ごめんね」とは言ってくれないかもしれません。しかし、相手からの行動を期待するのではなく、上手に自分の主張を言えたことを褒めてあげてください。
そうはいっても、毎日の出来事の中でいつでも立派に声掛けをしてあげられるものでもありませんね。一番良いのは、お家でママとパパが上手に仲直りするところを見せてあげることです。子どもは、そういったことも見て成長していきますよ。