春は旅立ちの季節!素敵な旅をする絵本
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暖かくなると、どこかに出かけたくなりますね。これからご紹介する絵本を読めば、絵本の世界で旅を、おもいっきり体験できます。読んだ後は、あなたも列車に乗って、旅立ちたくなるかもしれません。
加藤 志異
絵本作家
絵本の作に『とりかえちゃん』(絵:本秀康/文溪堂)『ぐるぐるぐるぽん』(絵:竹内通雅/文溪堂)『なかなおり』(作 カピリナ・加藤志異と古沢たつおのユニット/朝日学生新聞社)などがある。
加藤くんと絵本をつくるworkshop
どこまでも行こう!!旅を体験できる5冊。
旅は新しいできごとの連続です。
絵本のページをめくるたびに、ドキドキワクワクできて、旅をしている気持ちになれる絵本をご紹介します。
夜行列車の中は、こんなに楽しい
夜行列車に一度は乗ってみたいという方は、多いのではないでしょうか?この絵本を読めば、誰でも夜行列車で旅をしているような気分になれます。
この絵本は絵だけで、文章はありません。
夜行列車の出発する駅からはじまり、夜行列車の中の様子が、細かく楽しく描かれています。
主人公はお父さん、お母さん、2人の子どもの四人家族のようですが、本当は、この夜行列車に乗っているたくさんの人達全員が主人公なのかもしれません。
夜行列車の中には、さまざまな人がいます。寝台車で寝る人、座席で寝てしまう人、美味しそうに駅弁を食べる人、雑誌を読んだり地図をみたりトランプをしたり、みんながリラックスして楽しいことをしています。夜行列車の中に住んでいるみたいです。いつまでも見ていたくなる絵本です。
夜の旅は美しい
列車の窓から、夜の景色を眺めたことはありませんか?懐かしいような、寂しいような、胸がいっぱいになる想い。この『よるのむこう』を読むと、その時の気持ちがよみがえってきます。
先程ご紹介した『やこうれっしゃ』とは違って、
この絵本には、人間は、あまりでてきません。
家族旅行というより、一人旅の気分です。
主人公が列車の窓から見た、世界の美しさが描かれます。夢か現実か分からない、光と闇の美しさ。
通り過ぎていく景色の素晴らしさに、心が暖かくなっていきます。
そして夜のむこうで、主人公は大切な場所にたどり着きます。
絵の色がとってもキレイです。濃い青と水色と緑が宝石のように、真夜中を彩ります。言葉も素晴らしく、秘密の宝物にしたい絵本です。
どんどんどんどん歩いて行こう!!
どこまでも歩いていきたくなる時はありませんか?
まっすぐに歩いていきたいけれど、怖いことや、大変なことが待っているかもしれない。
そう思うと、不安になってしまう時もありますよね。
でもこの絵本の子どもは、そんな事は少しも思わず、どんどん どんどん歩いていきます。目の前に何があっても、どこまでも、どこまでも、歩いていくのです。「どんどん どんどん」という言葉のリズムが気持ちよく、何度も何度も読み返したくなります。片山健さんの絵は生命力にあふれていて、たくさんの勇気がもらえる絵本です。
お子さんと一緒に読むと、親子でパワーがもらえますよ。
大好きなぬいぐるみと旅をする
ぬいぐるみの「こん」が歩き出し、小さな女の子の「あき」と一緒に、さきゅうまちのおばあちゃんに会うために、汽車に乗って旅にでます。幼くて、頼りなさそうな、こんとあきを見ていると、絵本を読んでいるこちらは、すごく心配な気持ちになります。ハラハラドキドキの連続です。
「大丈夫、こん?」
「頑張って、あき!」
と声をかけたくなります。
こんの「だいじょうぶ、だいじょうぶ」
というセリフは涙なしには読めません。
不器用だけど、お互いに助け合って、旅をしていく「こん」と「あき」の友情に、胸が熱くなります。
旅で出会う大人達も優しい人ばかりです。
こんとあきの旅を、絵本を読んで応援しましょう。
旅をして感じる、とっても大切な何か
何のために人は旅に出るのでしょうか?
この物語のぼくとわたしは、願いを聞いてくれるという、はっぴぃさんに会うために、山へ旅立ちます。そしてはっぴぃさんがくるという、山の上の大きな石の上で、とっても大切な何かを感じるのです。
絵も色も文字も、とっても素敵です。黄色が輝いています。
読み終わると、生きることの素晴らしさ、出会いの大切さ、自分にとって願いとはなんだろうといった、さまざまなことが浮かんできます。子どもにも大人にも、世界中のみんなに読んでもらいたい絵本です。
まとめ
旅行だけでなく、生きることそのものが旅なのかもしれません。
絵本を読むことも、1つの大切な旅なのではないでしょうか?