スーパー保育士・原坂一郎先生が教える!「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」をおうちで支えるには?
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2017年に「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」「幼保連携型認定こども園・保育要領」の法令の改定が行われ、保育園や幼稚園、こども園では“幼児期の終わりまでに育ってほしい姿”を掲げて、保育に当たっているのをご存じですか。“乳幼児期の終わりまで”とは、具体的には5歳児後半に見られるようになる姿のこと。
“幼児期の終わりまでに育ってほしい姿”には、自立心や協同性など、さまざまな項目がありますが“園にお任せ!”では、なかなか身につかないといいます。
家庭でのサポートの方法を、スーパー保育士・原坂一郎先生に聞きました。
子どもの成長に合った、基本的習慣ができるようにサポートを!
“幼児期の終わりまでに育ってほしい姿”の中で重要視されるのが、食事、排泄、衣服の着脱などの基本的生活習慣の自立です。幼稚園の先生たちは4歳の誕生日ぐらいまでには食事、排泄、衣類の着脱を、ほぼ完全に1人でできることを目標にして保育に当たっています。
基本的生活習慣の自立は、すぐにできるものではありません。たとえば、箸を使って自分で食事ができるようになるには、その前段階として9ケ月ごろから手づかみ食べをしたり、1歳以降になったらスプーンやフォークを使うことに慣れていくなどステップを踏むことが必要です。排泄や衣類の着脱が1人でできるようになるのも同様で、スモールステップの積み重ねです。そのため家庭では「4歳の誕生日が近いのに〇〇ができない!」とあせらないように、ゆったりとした段取りでサポートを続けましょう。
基本的生活習慣は、小学校入学までには身につけよう!
“衣食住”とよく言われますが、それは人が人として生活する上でいちばん大切なこと。小学校に入学するまでには、ママ・パパに手伝ってもらわなくても基本的生活習慣が1人でできるようになることが目標です。具体的には、次のことができるようになるといいでしょう。
【小学校入学までにできるといいこと】
●食事は好き嫌いなく、最後まで1人できれいに食べられる
●おしっこ、うんちともに自分でトイレに行って用をたし、後始末ができる
●自分で衣類の着脱ができて、脱いだ衣類をきれいにたためる
●1人で布団に入り、朝までぐっすり眠れる
優しい気持ちなどは、親子のかかわりを通して育んで
“幼児期の終わりまでに育ってほしい姿”と言うと、「優しい気持ち」や「思いやり」などをイメージするママ・パパもいるかもしれませんが、基本的には子どもはみんな優しくて、思いやりがあります。優しさや思いやりというと、「お友だちにおもちゃなどを譲る」「転んでけがをした妹・弟を助ける」「ママの荷物を持ってあげる」などを思い浮かべることが多いと思いますが、それだけではなく、たとえば金魚にエサを与えたがったり、子猫をなでようとしたりするのも立派な優しさです。
こうした優しさや思いやりは、ママ・パパが普段から子どもに優しく接していると自然に育つもの。逆に厳しくしかり続けると、子どもが本来、持っているやさしさや思いやりの心がそがれてしまうことがあるので注意しましょう。
“幼児期の終わりまでに育ってほしい姿”参考になりましたか。もし「うちの子、まだ〇〇ができない…」「優しい気持ちがたりないかも…」と気になったときは、園の先生に相談するのも一案です。園と家庭では子どもの様子が違うときもあります。きっと先生からかかわり方のいいアドバイスがもらえるはずですよ!(取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部)
監修/原坂一郎先生(こどもコンサルタント)
株式会社KANSAIこども研究所所長。23年間にわたる保育所勤務経験から、どんな子どももすぐに笑顔になるユニークな保育を推奨。「スーパー保育士」と呼ばれる。笑いと笑顔をキーワードに、子育てに関するさまざまな研究・執筆・講演活動を行っている。