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子どもを「愛する」ってどういうこと?自己肯定感を“潰さない”親の声かけ

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Alfira Poyarkova/gettyimages

自己肯定感は、人生の幸福度に大きく影響すると言われています。子どもの自己肯定感を高めるために、私たち親はどういったことに心がければいいのでしょうか? 立教大学で哲学を教える大熊玄先生が、「自己肯定感と親の対応」をテーマにお話してくれました。

親の「ちゃんとしなさい!」が、子どもの自己肯定感をつぶす

自己肯定感とは、とても簡単にいうと自分に対して「これでいいんだよ」と思えるということです。もともと子どもたちには自己肯定感が備わっているのですが、子どもたちが思っている「これでいいんだよ」に対して、親としてはいろいろな葛藤が生じるものです。

たとえば四六時中絵を描くのが好きな子に、親はつい「この子はこのままで大丈夫なんだろうか?」と心配してしまいます。そして「勉強をちゃんとしなきゃダメだ」とか、「絵の道では食べていくのは難しいよ」などと口を出して、親が正しいと思う社会に適応させようとしてしまうんです。自己肯定感のある子に育てる親の心得とは、第一に、この葛藤に耐えることだと言えるのかもしれません。

自分を好きになれなくても、大切にできればいい

自己肯定感は、よく「自分を好きでいること」と思われがちですが、むしろ「自分を大切にできる」という感情のことではないでしょうか。人がみんな自分のことを好きになれるとは限りませんが、自分を大切にし続ける努力はできます。「自分のこういうところは嫌いだけど、それでも大切にしよう」と思えるかどうかが、自己肯定感の高低につながってくるのだと思います。

エーリッヒ・フロムという社会心理学者の「愛するということ」という本のなかで、愛するという感情は「大切にすること」だと述べられています。フロムは、この感情は生まれつき持っているものではなく、練習によって習得できる技術だと定義しています。

フロムによると、愛することには「ケアをする」「責任を持つ」「尊敬する」「理解する」の4つの要素があります。例えば「おまえを愛しているよ」と言っても何もしない親は、子どもを本当には愛していないことになります。子どもを常に気遣い、ケアして、困ったことにはすぐに対応し、「すごいね!」と尊敬して、その子のありのままを理解する。この4つのバランス感覚を意識して、自分は子どもにどんなことができるのか見つめ直すことが大切です。そうすれば、子どもは親から“愛の英才教育”を受けたことになり、愛すること、自分を大切にすることができるようになります。

親子の垣根を超え、人生を共にするパートナーに

「私は親にちゃんと愛されなかったから、子をうまく愛せるかわからない」と言うお母さんお父さんもいます。でも、大丈夫です。親もこれから、子どもと一緒に自己肯定感を育てていけばいいのです。自分が楽しく、ワクワクして「これでいいんだよ」と言えるにはどうすればいいんだろうと探りながら、子どもと楽しみを共有していきましょう。

医療が進歩した現代は「人生100年時代」といわれています。子どもを30~40歳で産んで、もしその後ずっと親子関係が続くとしたら、60~70年もの長い間お互いに付き合っていくことになります。これはもう、同じ時代を生きる同世代といってもいいですよね。これからの子育ては、時代、人生を共に生きるパートナーを育てるという意識が必要ではないかと思うんです。これからの時代を生きていく者同士、試行錯誤しながら、親も子どもも一緒に育っていければいいですね。

関連:ほめて伸ばすって?自己肯定感を高めるひと言の見つけ方


【大熊玄先生】プロフィール
立教大学21世紀社会デザイン研究科准教授、文学部准教授
金沢大学大学院博士後期課程満期退学、Pune 大学大学院国費留学。金沢大学非常勤講師(インド哲学・金沢学等)、石川県西田幾多郎記念哲学館専門員・学芸課長を経て、2015年より同館副館長。西田哲学会理事。


この記事では、2019年3月に立教大学で開催されたイベント「たまひよカレッジin立教大学2019年春講座」で行われた萩原なつ子先生・大熊玄先生の講義「自己肯定感のある子に育てるための『親の心得』」の内容を抜粋して紹介しました。(文・たまひよONLINE運営事務局)

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