消費税増税や幼保無償化などの変化が家計に与える影響
2018年12月に発表された税制改正大綱のうち、所得税に関する改正法案が2019年3月27日に成立しました。2019年は、改元のほかに消費税が10%になるのも大きな変化でしょう。このような変化が家計にどのような影響があるかをファイナンシャルプランナーの藤孝憲さんに紹介いただきました。
藤 孝憲
FPオフィスベストライフ
CFP(R)認定者・宅建士・住宅ローンアドバイザー・証券外務員2種・エクセルVBAエキスパート
商品販売をしない消費者目線のファイナンシャルプランナーとして、ご家族に合ったライフプランニングをもとに資産運用を含めたお金の使い方や住宅ローン・保険の選び方などアドバイス。
消費税8%のままとなる商品
10月に消費税が8%から10%になる予定です。後述する幼保無償化(子ども・子育て支援法改正)は消費税を財源にしていることから、よほどのことがない限り増税すると思われます。延期となっても、いつかは増税の日がやってくるでしょう。そこで、消費増税や幼保無償化が子育て家庭の家計に与える影響についてをわかりやすくご説明します。
消費税はすべての商品やサービスが10%になるわけではありません。日々の生活で幅広く利用されている外食を除く飲食料品、新聞の定期購読は軽減税率が適用され8%のままとなります。また、学校の授業料や入学金、家賃や土地の購入代金など元々消費税が非課税なものもあります。
一方、酒類やガソリンなどは増税の影響を受けます。
幼保無償化の対象者は?
幼稚園、保育所、認定子ども園などを利用する3歳から5歳のすべての子どもたちの利用料が無償化(幼稚園は月2.57万円まで)される予定です。実費として徴収される通園送迎費や食材料費、行事費などは対象外となります。
この無償化分について、中長期的な予定を踏まえ、その利用方法について考えておかなければなりません。家計の状況によって、将来の教育費負担に備え、無償化分を貯蓄する人もいれば、その分を別のものに支出する人もいるでしょう。少なくとも子どもが社会人になるまでの教育費を参考に、判断するようにしましょう。
住宅ローン控除が拡充
消費税増税の影響を大きく受けるのが住宅取得資金です。消費税は建物に対して課税されますので、たとえば2,000万円の建物なら、増税前に比べ40万円負担が増えることになります。この消費税増税に対する負担増を軽減するために導入されるのが住宅ローン控除の拡充です。
住宅ローン控除は、一定の要件を満たせば、すでに支払った所得税(住民税)が還付される制度です。これまでは住宅ローン控除の適用期間は10年でしたが、消費税増税以降に購入した場合、13年に延長されます。
住宅ローン控除は「住宅ローンの年末残高✕1%」で計算しますが、最後の3年間は、控除の仕組みが少し異なります。「住宅ローンの年末残高✕1%」より、「建物取得価格✕2%÷3」の方が少なければ、「建物取得価格✕2%÷3」が控除額となります。
住宅ローン控除の拡充について簡単に表にまとめましたので参考にしてください。
<住宅ローン控除の拡充>
消費税10%が適用された住宅を取得した場合
<控除額の例>
建物2,000万円/住宅ローン3,000万円の場合
下記の例では、制度拡充により約40万円払い戻しが増えます。
※筆者作成
※所得税額などは仮の数値です。
住宅ローン控除額は年末ローン残高によって金額が決まりますので、毎年借入残高が減ることから、控除による効果は少しずつ減っていきます。また支払った税金以上の金額が戻ってくることはありません。最大限度額(40万円✕13年=520万円)が必ず適用できるわけではありませんので、ご注意ください。
自動車税の減税
消費税増税後に購入した新車について、自動車税の税率が引き下げられます。自動車税は毎年4月1日の所有者に課せられ、総排気量によって税額が異なります。ここでは一例を紹介しますので、参考にしてください。
<自動車税の減税>
※2,500cc超は1,000円の減税となります。
自動車税の減税は、総排気量が少ないほど減税額が大きくなっています。また、環境性能の優れた車に対しては優遇措置が設けられています。自動車の場合は、購入費用よりも維持費にお金がかかります。消費税増税後に自動車の購入をお考えの方で、なるべく負担を減らした場合には、維持費にも注目して、買い替えまでの維持費総額を試算して比べてみましょう。
まとめ
負担軽減措置が導入されるとはいえ、消費増税は家庭の家計にかなりの影響を与えます。その影響は全世帯に及びます。
でも、私がさまざまな家計の診断をしていると、消費税は全世帯に影響します。
家計の診断をしますと、使途不明金があったり、携帯電話の料金負担が大きすぎたりと、見直せるところが出てきます。増税により節約するかどうかは家計の状況によりますが、これから教育費などの支出が増えるご家庭は、これを機に家計の見直しをしてみるのもいいかもしれません。