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【要注意】東京23区の水害(洪水)想定&対策とは?!

更新

家の中の水します。
tiero/gettyimages

2019年5月に江戸川区から10年ぶりとなる「水害ハザードマップの改訂」が行われました。
「水害想定内容」自体に大きな変更があったわけではないのですが、使用された“区内にとどまるのは危険です!”というキャッチコピーがSNS上などにて拡散されるとともに、地域住民に大きな反響を与えることとなり巻き起こしました。
反面、あらわになったのが「東京23区の水害リスクの認識不足」という課題です。
江戸川区に住んでいなくとも、決して他人事ではありません。「東京23区の水害(洪水)リスク」について、防災アドバイザーの榑林宏之さんにお話しいただきました。

関連:グラッときたら逃げるは危ない!? 今と昔でこんなに異なる「避難の判断」と地 震対策(防災)

榑林 宏之
一級建築士・防災アドバイザー
一級建築士として活動。「都市環境・住宅環境と防災」「都市環境・ランドスケープ計画

における、人の行動・動線設計と危機管理」などに携わっています。
BAUMPLANNING一級建築士事務所

東京23区の水害(洪水)想定とは?!

東京都の災害リスクというと「首都圏直下型地震」が度々取り上げられることがあります。
実際、2011年3月の東北地方太平洋沖地震(M9.0)をきっかけに、新たな課題(高層・超高層住宅、エレベーターの停止など)が顕在化し、首都圏直下型地震を念頭にしたさまざまな対策が進められています。
反面、「地震」ばかりがクローズアップされることで、ほかの自然災害(水害、噴火被害など)に対する人々の意識がやや希薄となっているのが実情です。
今年5月に発表された「改定江戸川区水害ハザードマップ」に関連した反響はそんな実情を浮彫にしました。
東京都において、大規模水害をもたらす要因(仕組み)として下記3つの要素が想定されています。
1)大雨による河川決壊の大規模水害(洪水)
2)津波・高潮による大規模浸水(洪水)
3)局地的豪雨時の排水機能低下に伴う大規模浸水(内水)
それぞれ詳しく見ていきましょう。

大雨による河川決壊(荒川・江戸川)の大規模浸水( 洪水)

東京都には、荒川・江戸川流域に「海抜ゼロメートル地帯」が存在しています。(東京都の124k㎡が対象地域に)
江東5区の多くが海抜ゼロメートル地帯となっており、昔から「大規模水害の可能性」が想定されていました。
今年5月に発表された「改定江戸川区水害ハザードマップ」は、2015年に江東5区(墨田区、江東区、足立区、葛飾区、江戸川区)にて立ち上げられた専門協議会にて、あらためて策定された避難などの対応方針に基づき作られています。

参考:江戸川区水害ハザードマップ

被害想定内容は、多少見直しはあったものの、昔から想定されていたリスクを継承して作られています。今になって、はじめて発表された内容ではありません。
それにもかかわらず、地域住民(主に江戸川区の住民)に驚き・反響がでたことは、いかに、「東京都の水害リスクに関する意識が低かったか」の証と言えるのではと感じています。

「平成30年西日本豪雨」が示した記録的雨量の現実的な可能性

東京都の水害想定(洪水被害想定)にて、「荒川の堤防決壊」が生じる目安となっているのが、『荒川流域で72時間の総雨量600mm以上(632mm)』です。
これは、平成28年(2016年)5月に国土交通省が”想定し得る最大規模の降雨量”として示した総雨量。
ただ、これが本当に「想定し得る最大規模の降雨量」なのかには、注意が必要と考えています。
というのも、実際に近年、各地で「想定降雨量」を大きくこえる豪雨が度々観測されているからです。
直近では、平成30年(2018年)6月28日~7月8日の期間、降り続いた雨による被害(平成30年西日本豪雨)が記憶に新しいところ。
この豪雨では、なんと“72時間雨量”にて記録を更新することになった地域が「119地点」も存在したのです。
最大値を記録したのが
*高知県馬路村:1319.5mm(72時間雨量)
そのほか「650mm以上(72時間雨量)」を記録したのが、“12地点”存在しているのです。
そう、「荒川の決壊目安:632mm」は、現実味を帯びた値であるとともに、さらなる雨量の可能性も十分にあり得ることが実証された形となりました。
東京都で、「大雨による河川決壊(荒川・江戸川)による大規模浸水」をリアルな出来事として受けとめておく必要があるのです。

津波・高潮による大規模浸水(洪水)

関東周辺での大規模地震(首都直下型地震など)に伴い発生する「津波」と「台風」などに伴う「高潮」による大規模浸水(洪水)が想定されています。
●東京都「高潮浸水想定区域」

実際、過去にも高潮による大規模水害(1917年9月の大正6年の高潮災害)が発生しています。
当時と比較して、高潮対策も進んでいるものの、近年大きな勢力の台風が増加。高潮の規模&可能性も上積みされていますので、高潮による大規模水害リスクは高まっているものと考えられます。
また、津波・高潮によって、先に記した「河川決壊」が生じる可能性もありますので、複合的な水害想定が必要となりそうです。

局地的豪雨時の排水機能低下に伴う大規模浸水(内 水)

江東5区(海抜ゼロメートル地帯)では、雨が降ったときに、河川(荒川など)へ排水する仕組みとなっています。
しかし、局所的な豪雨が発生したときには、排水機能低下および機能停止の可能性があり、主に局所的な低地(道路のアンターパスなど)および海抜ゼロメートル地帯などにて、大規模浸水が生じる可能性が指摘されています。

大規模浸水(洪水)時のリスクとは?!

東京都で大規模浸水が発生した場合に、どのような被害に注意が必要となるのかを認識しておくことはとても大切な要素となります。
さまざまな被害要素が想定できますが、中でも、かならず認識、常に念頭にしておく必要がある「4つのリスク」を示しておきます。

地下鉄を通じて東京全域に拡大する浸水被害

最重要な要素となるのが
*浸水被害は、江東5区(海抜ゼロメートル地帯)にとどまらないということです。
東京都全域に、「地下鉄」が存在。大規模浸水が生じたときに、まず地下鉄内に浸水が拡大してくことが想定されています。
最深部を通っていて多くの地下鉄と繋がっている「大江戸線」から、徐々にほかの路線へと水没が拡大していくことに。
江東5区にて発生した浸水は、東京全域に大きな被害を及ぼす要素となることをしっかり認識しておきましょう。

すべての生活インフラ機能の停止(2週間以上)

大規模水害にて、大きな課題となるのが
*すべてのインフラ設備(電気・ガス・給排水・通信)が機能停止となることです。
しかも、浸水がなくなるまで、機能停止期間が続くことから、少なくとも「2週間以上」はインフラ設備の機能停止が続くものと想定されています。

広域避難(区域外避難)の必要性

大規模浸水は、被害エリアが広範囲となるのが特徴。
ゆえに、地域内避難は無理で、区域外への広域避難が前提となります。
「地震災害時の避難計画」とは、まったく別に「水害時の避難計画」をたてておくことが必要不可欠となります。

迅速な救助活動は期待できない

浸水は、広域にわたる被害となります。
特に東京都は人口密度が高いため、江東5区だけでも、「250万人以上」もの人々が影響を受けるものと推測されています。
そのため、迅速な救助活動はまず期待できません。
初動避難が遅れとしまった場合は、建物内に長期間取り残される可能性があるということ。個別の水害避難計画がとても重要な要素となります。

大規模浸水(洪水)時の対策とは?!

大規模浸水(洪水)が発生したときの対策(行動)として、最低限覚えておく必要がある
要素をピックアップしました。ご参考になさってください。
*水害が発生する前の早期避難が最重要
*浸水発生後は、屋内待機が原則
*河川の様子を見に行くことは、絶対ダメ
*避難時は、紐で結べる運動靴で。
*杖がわりとなる「長い棒」を持参して避難。

関連:地震対策(防災)の最新常識「水の確保」

東京都は、非常に人口密度の高いエリア。大規模浸水が発生した場合、避難が容易におこなえないことが想定されます。
「津波」を除いた大雨による洪水の可能性は、ある程度事前に想定できるもの。
地域ごとに避難勧告なども出されますので、「自分は大丈夫」という意識は捨てて、素早い広域避難行動を心がけるようにしましょう。

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