「遊び」が子どもの将来の学びにつながる、話題の「りんごの木」代表・柴田愛子先生インタビュー
撮影/小山志麻
子どもは、日々、遊びを通してさまざまな発見をします。それはママ・パパにとっては“発見”とは言えないごく当たり前のことかもしれませんが、子どもにとっては、心が揺さぶられる世紀の大発見! ということが多々あります。
0~4歳は、こうした心を揺さぶられるような体験が成長を促します。“子どもの心に寄り添う保育”を理念に、37年間にわたり、自主保育・りんごの木(横浜市都筑区)を運営する、代表・柴田愛子先生に、遊びの大切さについてお話をうかがいました。
遊びを通した発見が、好奇心と探求心を刺激します
子どもは、好奇心旺盛。気になるものがあると手で触ったり、0歳では口に入れたりして「これは何だろう?」と確かめます。
柴田先生が代表を務める、りんごの木でも、毎日のように子どもたちはさまざまな発見をしています。ある日、こんなことがあったそうです。
「3歳の男の子が、お散歩の途中で、街路灯の下に小さな穴が開いているのを見つけました。低い場所に空いていたので、大人ではなかなか見つけることができない穴です。その穴をのぞきこむと“向こうの景色が見える!”と気づいたのですが、次は“友だちの顔も見える!”と言い出して、“○〇ちゃん、のぞいて!”“ぼくの顔見える?”とのぞき合いが始まりました。
ママ・パパからすると、大したことのない遊びかもしれませんが、子どもにとっては“穴を見つけた!”というだけで大発見!
発見は、子どもの心を揺さぶり、好奇心を刺激します。そして“××したらどうなるかな?”と探求心を高めますが、それが頭と心の成長を後押しします」(柴田先生)
遊びは学び! 豊かに遊んだ時間が、将来の学びにつながる
「りんごの木を巣立った子どもたちは、さまざまな道を歩んでいます。行きたい大学に受かった男の子に私が“すごいじゃない!”とほめたところ、“これまで小、中、高校と学んできたけれど、ぼくにとっての学びの基本は遊びです。それを教えてくれたのが、幼いころにりんごの木で自由に遊んだ時間です”と言われたの。私は大学生の子が幼児期に遊んだことを覚えていることに驚いたし、ほかの子も20代になっても、30代になっても“幼いのころの遊びが仕事などの原点になっている”って言うの!」(柴田先生)
まさに“遊びは学び!”。
「4歳ごろまでに遊んだ思い出なんて、大きくなったら忘れてしまうのでは!? と思うママ・パパもいるかもしれませんが、決してそうではないのです。今、夢中になって遊んでいる時間が、将来の学びにつながったり、心の財産になったりする子もいます」
子どもは、どんな子でも発見する才能に満ちあふれています。「うちの子、あまり発見しないかも…」と思ったときは、発見を大げさに考えてないか、たとえば、公園に落ちているボタンを見つけたり、アリの巣を見つけたり、石をどかしたらダンゴムシがいたり…。そんな小さな発見でも、子どもにとっては立派な発見ということをインタビューから教えてもらいました。親子で発見を楽しんでみませんか?(文・麻生珠恵、ひよこクラブ編集部)
柴田愛子先生
りんごの木子どもクラブ代表。保育者。37年間、「子どもの心に添う」を理念に保育を実践。保育雑誌への寄稿、保護者や保育士向けの講演活動も行う。近著に『今日からしつけをやめてみた』(主婦の友社/1200円)がある。