先回り育児は将来をダメにする?子どもを伸ばす見守り方
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自立を促すためにも「見守ったほうがいい」とわかっていても、子どもが失敗しそうになったらついつい手を差し伸べてしまうのが親心。上手な見守り方を、臨床心理士の塩崎尚美先生に聞きました。
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子どもがサインを出してくるまで待とう!
どこまで見守り、どこからサポートしたらいいの? 塩崎先生は、手を出すこと自体が悪いのではなくて、そのタイミングが重要と言います。
「子どもは、行ったり戻ったりを繰り返すもの。1人で遊んでいたり、歩き回ったり、子どもが自らママから離れていったときは、見守りタイムです。大きなけがにつながるような場面なら別ですが、基本は少し離れたところで手を出さずに見守りましょう」(塩崎先生)
少したって、「ママ見て!」「抱っこして」など、子どもがサインを出してきたときがサポートしてあげるタイミングだそう。このときは、たっぷり子どもに向き合いましょう。
「失敗する経験」をさせてあげよう
では逆に、手を出しすぎてしまうと将来子どもにどのような影響があるのでしょうか。
「今の子は、自分で考えて行動する経験が圧倒的に少ないと感じます。昔に比べて子どもの数が少ないので、家庭でも社会でも、よくも悪くも親や大人の目が行き届きやすく、ケアが手厚い。おぜん立てされた環境なら能力を発揮できる“いい子”が多いけれど、自分からは動けないタイプの子が多いです。大人の空気を読みすぎてしまうと、自由な発想が生まれにくいのでは?」と指摘します。
「大人が先を読んで失敗しないよう手を出してしまう”先回り育児”は、子どもの失敗する機会を奪ってしまうことでもあります。指示待ち人間にさせないためには、赤ちゃんのころから自由に遊ばせる、自由な発想を認める、失敗させることが大切です」
不安が強い人ほど過干渉になりやすい!
ただ、子どもに過干渉になっていても自分ではなかなか気づかないもの。過干渉になりやすいタイプの人の特徴はあるのでしょうか。
「ひと言で言うと、不安が強い人は過干渉になりやすい」と塩崎先生。漠然とした不安がいつもある人、物事が自分のイメージ通りにならないと大きな不安を感じる人は要注意だそう。
「そのほかにも、自分のやり方に自信がない、周囲の期待にこたえなければ…という気持ちが強い人も過干渉になりやすい傾向があります。そういう人は、不安になったら一呼吸おいてから対処してみましょう。赤ちゃんが元気で笑っているなら、少しくらい失敗してもなんとかなるものです」
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失敗することも、赤ちゃんにとって大切な経験。ママやパパは先回りしすぎないで、上手にサポートできるといいですね。(文・ひよこクラブ編集部)
■監修/塩崎尚美先生
日本女子大学人間社会学部心理学科教授。臨床心理士。専門は、発達臨床心理学、乳幼児からの親子関係、子育て支援。一男一女のママでもあります。
■参考:『ひよこクラブ』2018年1月号「先回り&過干渉育児は子どもの将来をダメにする!?」
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