ビタミンD欠乏による、乳幼児のくる病が増 改定した厚労省のガイドでも注意喚起!
今年の春改定された「授乳・離乳の支援ガイド」に、新たに「母乳育児の場合、鉄欠乏やビタミンD欠乏予防の観点から、適切な時期に離乳を開始し、鉄やビタミンDを含む食品を積極的にとらせること」という一文が追加記載されました。鉄の重要性はよく聞くけれど、ビタミンDが不足するとどうなるのでしょうか?小児科医の時田章史先生に聞きました。
1才~1才6カ月ごろに 赤ちゃんの脚がO脚気味と感じたら 小児科医に相談をしましょう
ビタミンDが不足するとどうなるのかや予防法など、赤ちゃんの栄養や病気に詳しい、小児科医の時田章史先生に話を聞きました。
「ビタミンDが不足すると『くる病』になりやすくなります。ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける栄養素なので、不足すると骨からカルシウムが溶け出し、骨がやわらかくなって変形してしまいます。わかりやすい変形は O脚 です。くる病は成長障害や骨折などを引き起こします」
くる病の赤ちゃんが増えているという報告や、0〜5カ月の赤ちゃんの約5割がビタミンD不足であるという報告も。それには、ママのビタミンD不足も関係しているといいます。
「赤ちゃんは胎内にいるときに、ママからビタミンDをもらって生まれてくるのですが、ママがビタミンD不足だと赤ちゃんにも不足します」
誕生後にはさらに減っていくというビタミンD。赤ちゃんにどうやって与えればいいのでしょうか?
「ビタミンDは母乳やミルクに含まれていますが、母乳中のビタミンD濃度は、ミルクよりもかなり少ないことがわかっています。母乳は赤ちゃんにとって最
良の栄養ですが、母乳育児の場合は
離乳食からも積極的にビタミンDをとり、適度な日光浴もしましょう。ビタミンDは日光を浴びることでもつくられます。紫外線予防も大切ですが、涼しい時間帯を選び、1日数分の日光浴を行ってください」
ビタミンD不足のサインは、くる病の症状として現れる『O脚』
「1才〜1才6カ月ごろに、赤ちゃんの脚がO脚気味だと感じたら、小児科医に相談してください。母乳育児に加え、離乳食が進んでいない場合や、日光にあまり当たっていない場合なども不足しやすいといえます。ビタミンD不足の検査は保険が適用されます。治療のための薬や予防のためのサプリメントが処方されるケースもあります」
時田先生教えて!ビタミンDについてもっと知りたい
Q
ビタミンD不足を予防するために
離乳食に取り入れたほうが
いい食材は?
A
ビタミンDが多く含まれる食品としては、しらす干しや鮭などの魚、卵黄、きのこ類が挙げられます。これらの食事を離乳食メニューに上手に取り入れましょう。しらす干し、卵黄は、離乳初期(5~6カ月ごろ)から与えることができます。
Q
ビタミンD不足になりやすい要因は?
A
要因はいくつかあります。母乳育児であること、日光に当たっていないこと(または過度に紫外線予防をしていること)、年間日照時間が短い地域に住んでいること、離乳食を適切な時期(5~6カ月ごろ)に始めていないこと、離乳食が進んでいないこと、離乳食でビタミンDを含む食材を避けていることなどがあげられます。いくつか当てはまる場合は、小児科で相談をしましょう。
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発売中の9月号では「赤ちゃんのおちんちんの皮は、むく必要はない」というテーマを解説しています。(取材・文/ひよこクラブ編集部)
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