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家庭用「無呼吸アラーム」で乳幼児突然死症候群を予防できる?専門医に聞きました

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RuslanDashinsky/gettyimages

厚生労働省が、保育園での乳児の睡眠時の突然死などを予防するため、購入費補助を計画したということで、にわかに注目された乳幼児用の警告装置「無呼吸アラーム」。いったいどんなもので、本当に乳幼児突然死症候群を防ぐことができるのか。日本SIDS乳幼児突然死予防医学会理事長である市川光太郎先生に聞きました。

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無呼吸アラームってどんなもの?

「無呼吸アラーム」と言われているものは、大きくわけて「センサーを赤ちゃんの体に取りつけるもの」と「布団などの下に敷いて使うもの」の2種類があります。いずれも、赤ちゃんの動きを感知して、アラームを鳴らすというしくみになっています。まずは、無呼吸アラームとはいったいどんなものなのか、紹介します。

無呼吸アラームは、赤ちゃんの無呼吸を知らせる器具

赤ちゃんは、呼吸中枢が未発達などの原因によって、眠っている間に呼吸を止めてしまうことがあります。それを感知するものが「無呼吸アラーム」です。
無呼吸にもいろいろなタイプがあり、心配いらない無呼吸もあるといわれていますが、なぜ無呼吸アラームが必要といれているのでしょうか? 
それは、0~2才未満の赤ちゃんが起こすことのある、乳幼児突然死症候群(にゅうようじとつぜんししょうこうぐん・SIDS)を起こす要因の1つではないかと言われているからなのです。

赤ちゃんの体の動きを感知して「無呼吸」を警告

家庭などで使用する「無呼吸アラーム」と呼ばれる器具には、主に2種類あり、器具をおむつに取りつけて使うものと、マット型のセンサーを布団などの下に敷いて使用するものがあります。いずれも、センサーが赤ちゃんの体の動きや圧力を感知して、一定回数より動きが低下したり、一定時間以上止まったりするとアラームが鳴るしくみです。

医療機器の承認は受けているが、レベルはまちまち

家庭などで使用する「無呼吸アラーム」は、どの器具も医療機器としての承認は受けている様子ですが、その分類はまちまち。医療機器の承認分類には、3つの種類があり、以下のような安全上のリスクレベルに違いがあります。

●一般医療機器(クラスⅠ)
不具合が生じた場合でも、人体へのリスクが極めて低いと考えられるもの。
<例>医療用メス、ピンセットなど(届け出のみ)

●管理医療機器(クラスⅡ)
不具合が生じた場合でも、人体へのリスクが比較的低いと考えられるもの。
<例>超音波診断装置など(民間の第三者認証機関での認証が必要)

●高度管理医療機器(クラスⅢ)
不具合が生じた場合、人体へのリスクが比較的高いと考えられるもの。
<例>人工呼吸器など(民間の第三者認証機関での認証が必要)

●高度管理医療機器(クラスⅣ)
患者への侵襲性が高く、不具合が生じた場合、生命の危険に直結する恐れがあるもの。
<例>人工心臓弁など(厚生労働省による承認が必要)

ちなみに、病院で用いられている医療用の無呼吸アラームは、高度管理医療機器として認証されているものになります。また現在日本で手に入る無呼吸アラームは、ほぼ輸入品。日本で医療機器の承認を受けていても、本国では承認を受けていないケースもあります。

また、安全上のレベルが高い高度管理医療機器の承認を受けているものほど、点検・修理、そのほかの管理に専門的な知識が必要になるため、誤った使い方をしたり、管理が行き届いていないと、逆に問題を起こす心配も出てきます。

赤ちゃんの無呼吸って? どんな心配があるの?  

では、そもそも赤ちゃんが起こす無呼吸とは、いったいどんなもので、体にどんな影響があるのでしょうか?
そして、無呼吸アラームの必要性についても市川先生に聞きました。

低月齢の赤ちゃんが起こす、5~15秒未満の無呼吸は心配なし

「0~3カ月ぐらいの赤ちゃんは、呼吸を調節している機能が未発達のため、眠っている間に、何秒間か呼吸が止まってしまうことがあります。健康な赤ちゃんでも、1回につき、5~10秒ほどの無呼吸を起こすことはよくありますが、それはまず問題のないもの。顔色がよく、起きたときにも機嫌がよければ、心配はいりません。3カ月以降、呼吸中枢が発達すると、だんだんと無呼吸を起こさなくなります」(市川先生)

約15秒以上の無呼吸を繰り返すときは「無呼吸発作」という病気

「早産や低出生体重で生まれた赤ちゃんが起こしやすい『無呼吸発作』というものもあります。
これは、寝ている赤ちゃんの呼吸が15秒以上止まってしまったり、止まっている秒数にかかわらず、チアノーゼ(酸素が不足し、顔色、唇や指先が紫色になる)を起こしたり、脈拍がゆっくりになる『徐脈』という状態を伴います。
この状態を繰り返す場合は、原因を調べる検査が必要となります。無呼吸発作は乳幼児突然死症候群(SIDS)を起こす要因の1つと言われてはいますが、無呼吸発作とSIDSの関連性は、まだよくわかっておらず、無呼吸発作を起こさなくても、SIDSを起こす可能性はあります」

感染症などで起こす無呼吸発作も

「無呼吸発作には、感染症や扁桃腺肥大(へんとうせんひだい)などによって気道が狭くなることで起こるものもあります。その場合は、無呼吸以外の症状があったり、いびきがひどかったり、機嫌が悪いなど、そのほかの心配な症状もみられます。心配なことがあれば、かかりつけ医に相談しましょう」

無呼吸を感知するだけでは、SIDSは防げない! 

赤ちゃんが起こす「無呼吸」と「無呼吸アラーム」について、市川先生に解説していただきましたが、結局のところ、心配な無呼吸発作を起こす可能性がある赤ちゃんは、病院に入院しているか、病院を受診しているケースがほとんどとのこと。
そして、乳幼児突然死症候群(SIDS)は、無呼吸を感知するだけでは予防はできないということがわかりました。

無呼吸アラームの効果の検証はされていない

「そもそも、『無呼吸アラーム』を使うことで、SIDSを予防できたという検証は、まったくされていません。
アメリカでは、赤ちゃんの死亡原因の1位がSIDSと言われています。そのため、無呼吸アラームなどの器具がたくさん出回っていますが、そのおかげでSIDSを起こす赤ちゃんが減ったという科学的データはまったくありません。そのため、アメリカ食品医薬品局(FDA)では、『科学的データがなく、予防効果がない』と警告を出しているほどです」

SIDSを予防するために気をつけたいこと

「SIDSの原因は、まだはっきりしていません。そのため、現在は、病気の発症に関係があると思われることを取り除くことで予防をするしかありません。SIDSを予防するために気をつけたいことは以下になります。

1.1才まではうつぶせ寝を避ける
2.ママやパパはたばこをやめる
3.できるだけ母乳で育てる
4.赤ちゃんをなるべく1人にしない
5.かためのマットで寝かせて、枕は使わない  
6.布団や衣類で赤ちゃんを温めすぎない
7.ベッドのまわりにガーゼやタオル、ビニールなどを置かない
8. 一緒の部屋で赤ちゃん用の布団(ベッド)で寝かせ、添い寝はしない
9.ストレス(入園時、風邪をひいたときなど)は誘因になるので注意が必要

「無呼吸アラーム」はSIDSの予防用器具ではない

SIDSが心配で、夜もちょくちょく起きてしまって眠れないというママやパパもいるようです。そういう方は、まず、「無呼吸アラーム」を安易に取り入れるよりも、まずは、かかりつけ医に相談してみましょう。

「無呼吸アラームは、赤ちゃんの一定の動きを感じなくなると警告音が出るので、万が一SIDSを起こし、赤ちゃんが動かなくなったときには、警告音が出るのかもしれません。しかし、『無呼吸アラーム』を使うことで、SIDSを予防するのに最も大切な、『赤ちゃんを1人にしない」』がおざなりになってしまったら、逆に対策が不十分になりかねません。
無呼吸アラームは、あくまでも赤ちゃんの動きを感知するためのもので、SIDSの予防をする器具ではないことをよく認識しておいてほしいと思います」

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無呼吸アラームは、乳幼児突然死症候群(SIDS)を予防する器具ではないということ、無呼吸とSIDSとの関連性はまだはっきりしていないことがわかりました。大変なことも多いですが、やはり赤ちゃんをなるべく1人にしないこと、こまめに様子を見ることが大切なんですね。(取材・文/ひよこクラブ編集部)

■監修/市川光太郎先生
北九州市立八幡病院救命救急センター・小児救急センター院長。小児科専門医。日本小児救急医学会名誉理事長。日本SIDS乳幼児突然死予防医学会理事長。長年、救急医療の現場に携わり、子どもたちの成長を見守っていらっしゃいます。

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