1歳代・2歳代/「非認知能力」を伸ばすにはやりたいことを見守ることが大切
1歳代、2歳代は、子どもが自分の意思で歩き回り、いたずら好きも本格化する時期です。しかし、だからといって遊びを限定してしまうのはもったいない。実は子どもはいたずらをしているときも、「これをこうしたらどうなるのかな」と、試行錯誤しながら学習しているのです。
遊びの中で培われる非認知能力(忍耐力・社交性・自尊心など数値で測りにくい能力)を伸ばすために、1歳代、2歳代の子どもに効果のある遊びにはどんなものがあるのか、たまひよONLINEでは非認知能力を高める育児に詳しい、玉川大学教育学部非常勤講師(乳幼児発達学科)の大豆生田千夏先生にお話を聞きました。
ほかの子と比較せずにその子が好きなことを認める
――いたずら好きの1歳代、2歳代の遊びのポイントを教えてください。
大豆生田千夏先生:1~2歳の子どもは、好奇心を持って体全体や手先を動かし、大きく発達する時期です。大人にはいたずらに見えても、大切なことなので、手が届く下の引き出しや棚には、危なくないもの、出されても片づけのラクなものを入れるなど、日々成長する子どもとの知恵比べですね。個人差がこれまで以上に明らかになる時期です。たくさん動きたい子もいれば、おとなしい子もいる。電車が好きな子もいれば、自動車が好きな子もいる。絵本を見る子、見ない子がいます。でもこの時に、ほかの子との比較はしないほうがいいでしょう。「うちの子はこういうことをよくするんだなぁ」と認識するくらいで十分です。
――あまりに好き放題されて困るのもこの時期です。
大豆生田先生:この年齢はまだ、強く言ってわからせる時期ではないので、触られたくないものは最初から触られないような環境にしておくことが大事です。ポイントは大人をラクにしておくこと。「あれもこれもしなきゃ」とノルマでいっぱいになってしまうと、なかなか心に余裕が持てません。1歳代、2歳代の子どもはとにかく繰り返し遊びます。「もう、またそれしてるの、やめてね」と言わず、「今この子は何か大事なことをしているんだな」と思って見守ってあげるといいでしょう。
1歳代、2歳代の子の非認知能力を伸ばす遊び具体例
大豆生田千夏先生に、1歳代、2歳代の子の非認知能力を伸ばす遊びの具体例を教えてもらいました。
箱・段ボール遊び
空になった箱や段ボールは、捨てる前に、子どもに渡してみてください。すると、箱に何か物を入れたり、いろいろな遊びを始めます。子どもの様子を見て、それを一緒に手伝うのがいいでしょう。まわりに絵をかいてもいいし、封をして○をかくだけでガスコンロになります。穴をあけるとポットン落としの遊びもできます。
お散歩遊び
お散歩は運動になるだけではありません。草木や虫を観察したり、空を眺めたりしながら、観察力や想像も身につきます。影遊び、水たまり遊びも、子どもには新鮮な遊びです。「こういうものに興味があるんだな」「何を考えているのかな」と考えながら見守りましょう。
おままごと遊び
まわりの大人のことをよく見てまねする時期です。お茶を飲んだり、おなべを振ったり、帽子をかぶったり、カバンを持ったり、何かをしているつもりの姿がほほえましいですね。エプロンをしてあげたり、いらない紙袋をあげたりするだけでおままごとに広がりが生まれます。
1歳代、2歳代は子どもの動きも激しくなり、ついていけなくなることもあるでしょう。そんなときに「もうそれやめて!」と言わず、子どもにじっくりつき合うことも大切。とはいえ、義務的なことだと思ってつき合っていると、かなりしんどいはず。「この子の想像力が今ものすごく伸びているぞ」と親自身も楽しみを見つけながら、子どもと一緒に楽しく遊びたいですね。(取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部)
監修/大豆生田千夏先生
玉川大学教育学部非常勤講師(乳幼児発達学科)、子どもと家族支援研究センター副代表。臨床心理士、公認心理師、精神保健福祉士として、長年子育て相談にかかわる
参考/『非認知能力を育てるあそびのレシピ 0歳~5歳児のあと伸びする力を高める』(大豆生田啓友・大豆生田千夏著、講談社)