1歳、2歳ごろにはスタートしたい、片付けや歯磨きなど6大生活習慣づけ。そのポイントは?
1歳代は、ママやパパのまねっ子が大好きな時期。2歳代は「自分でしたい」という意欲が高まる時期です。まねっ子や「自分で!」という意欲は、生活習慣を身につけていくには必要不可欠な要素。そのためまずは1歳代になったら、生活習慣づけのベース作りを意識してみませんか。
臨床心理士で子どもの発育・発達に詳しい、日本女子大学人間社会学部心理学科教授 塩崎尚美先生に“1歳代・2歳代に生活習慣を教える際の心がけるべきポイント3つと、6大生活習慣のコツ”について聞きました。
1歳代&2歳代 生活習慣づけがうまくいく3つのポイント
1歳代、2歳代に生活習慣を教えるとき、大切なのはママ・パパのかかわり方です。心がけてほしい3つのポイントを紹介します。
point1/遊びの要素を取り入れて、やる気を引き出す
1歳代、2歳代で生活習慣を身につけるには、楽しい雰囲気の中でやる気を引き出すことがカギ! たとえば着替えでズボンから足を出すときは「トンネルから足出るかな?」「こっちだよ~」と声をかけるなど、遊びの要素を取り入れると「自分でやりたい!」という意欲が引き出せます。
point2/発達を見極めてチャレンジする
たとえば尿意の感覚がわからない発達段階の時期にトイレトレーニングをしようと「おしっこが出る前に教えてね」と言っても、うまくいきません。そのため生活習慣づけをするときは、子どもの発達に合ったことにチャレンジを! 「自分でできた!」という達成感が得られないと、やる気も育たず悪循環です。
point3/子どもの気持ちに寄り添って、必要なサポートをする
生活習慣を教えていると、自分でできるはずなのに「ママ、やって~」と甘えてきたりすることも。しかし「できるでしょ!」「自分でできなくなっちゃったの?」など突き放すのは逆効果。子どもの気持ちに寄り添いながら、そのときどきで必要なサポートを行い、次の意欲につなげましょう。
年齢別★6大生活習慣づけのコツ
「着替え」「あいさつ」「片づけ」など6つの生活習慣を1歳代・2歳代に教えるコツを紹介。最初からうまくはできませんが、楽しい雰囲気の中でほめたり、やる気を伸ばしたりしながら、できることを少しずつ増やしてみて!
1.着替えのコツ
1歳代/簡単なことからトライ!
1歳代前半は楽しく声かけをして、気分を盛り上げることがポイント。1歳代後半はズボンを脱ぐなど、子どもができそうなことをサポートしながら行い、「自分でできた!」という自信をはぐくむことが大切です。
2歳代/できたらほめて、やる気アップ
イヤイヤ期なので、「自分でやりたい!」という気持ちを尊重してあげて。うまくできないときは、最初から手を出さずに、様子を見ながら必要なところだけをさりげなくサポートを。少しでもできたらほめて、やる気をアップさせて。
2.あいさつのコツ
1歳代/あいさつすることの楽しさを伝える
「〇〇くん、おはよう」など、子どもの名前を呼びかけてあいさつを。頭をぺこりと下げるなど、身ぶりでもあいさつをしたら、そのたびにほめて、あいさつすることの楽しさを感じさせて。
2歳代/いろいろなあいさつにチャレンジ!
ママ・パパが率先して「おはよう」「こんにちは」「ありがとう」「いただきます」など、いろいろなパターンのあいさつをしましょう。あいさつの習慣づけをするには、普段からママ・パパが人にあいさつをする姿を見せることも大切です。
3.片づけのコツ
1歳代/簡単な片づけから挑戦!
おもちゃを大きめのおもちゃ箱に入れるなど簡単な片づけにトライ!「この箱にポイしようね」など遊び感覚で誘い、1つでもできたらほめて。楽しく片づけができると「またやろう!」という気持ちが高まります。
2歳代/生活の区切りで、片づける習慣を
こだわりを持ちやすい時期なので、おもちゃの並べ方や置き場所など、できるだけ子どものこだわりを尊重して楽しく片づけを。お出かけや食事、寝る前など生活の区切りで「片づけようね」と声をかけて、片づけを習慣にしていきましょう。
4.食事のコツ
1歳代/手づかみ食べなどで、自分で食べるように
1歳代前半は、なるべく手づかみ食べをして「自分で食べる!」という意欲をサポート。1歳代後半は、持ちやすいスプーン・フォークを用意し、自由に使わせて。
2歳代/スプーン・フォークの使い方を教える
スプーンやフォークを上手握り持ちする子は多いのですが、くせになってしまう前に下手握り持ちにするように、手を添えてさり気なくサポートを。食べる楽しさを教えることは大切ですが、遊び食べはその都度注意を。
5.歯磨きのコツ
1歳代/“歯磨きって楽しい!”と感じさせて
上下の前歯が生えそろったら1日1回歯磨きを。ママが磨く姿を見せたり、お人形の歯を磨いたりして、歯磨きの楽しさを伝えて。
2歳代/嫌がるときは、手早く終えよう!
子どもに歯ブラシを選ばせたりして、歯磨きに興味を持たせましょう。嫌がるときは手早く終え、終わったら「むし歯逃げて行ったよ~。頑張ったね!」とほめてあげて。何をされるのかわからず不安で泣く子もいるので、鏡を見せながら「バイキン、やっつけようね~」と言って磨くのもおすすめです。
6.トイレトレーニングのコツ
1歳代/トイレのイメージ作りを
「おしっこはトイレでする」というイメージづけを始めてもOK。おむつはずれの絵本やDVDなどイメージしやすいものを利用しても。
2歳代/生活の節目にトイレに誘う
補助便座などを用意して、お散歩の前後、お昼寝の前後など生活の節目にトイレに誘ってみましょう。おむつはずれは個人差が大きいので、あせらず取り組んで!
塩崎先生によると、生活習慣の自立は3~4歳が目安だそう。そのため1歳代、2歳代は自立に向けた練習期間と考えて。保育園などでは、保育者のお手本や、上手にできる子のまねをしたりしながら、着替えや片づけなどの生活習慣を身につけていきます。その際もポイントとなるのは、楽しい雰囲気の中で一緒に楽しくすることです。家庭でも、まねしたい気持ちや“自分で!”という意欲を刺激しながら、親子で一緒に取り組んでみてはいかがでしょうか。(取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部)
監修/塩崎尚美先生(日本女子大学人間社会学部心理学科 教授)
臨床心理士。専門は発達臨床心理学、乳幼児期からの親子関係、子育て支援。一男一女のママでもあります。