インデックス投資にまつわる素朴な疑問を、ほったらかし投資家に聞いてみた
連載16回目。今回も、前回に引き続き番外編をお届け。子育て中のママパパの「投資のここがわからない!」の声に、先輩投資家がずばり回答いたします。
将来のお金が不安。投資も気になるけど、子育てが忙しくて手が回らない……という新米ママ・パパに伝えたいのが、手間をかけずにできる、ほったらかしインデックス投資。
ブログで投資経験を綴り、著書も出版、インデックス投資家のバイブル的存在として知られる投資ブロガー・水瀬ケンイチさんが、超カンタンガイドしてくれます。「新米ママ・パパむけインデックス投資講座。教えて!ほったらかし投資家・水瀬さん」第16回。
インデックス投資の魅力は、「ほったらかしでいいこと」が4割強
こんにちは!水瀬ケンイチです。
皆さんからのご質問にお答えする番外編も、今回で3回目。いよいよ、この連載のテーマである、「インデックス投資」に関するご質問にお答えいたします。
ちなみに、この質問は、ネットアンケートで募集。投資に関心(または学習意向)があるママ・パパ352人が回答してくださったのですが、インデックス投資を知らない方ももちろんいらっしゃるので、次のような文章を提示して解説ました。
「インデックス投資とは、インデックスファンドと呼ばれる低コストの投資信託の商品を、積み立てで購入する投資法です。短期的な売買で利益を目指すのではなく、長期で買い続けていくことで、資産を大きく成長させられる可能性が高まります。積み立てなので、ほったらかしでよく、投資に手間や時間をかけずにすみます」。
この文章を読んで、どこを魅力に感じるかママ・パパに聞いてみたところ、ダントツで「ほったらかしでよいこと」(42.9%)でした。やはり、忙しいママ・パパにとって、手間をかけずにできるこの投資は受け入れやすいのだと思います。
ちなみに、インデックス投資を「すでに始めている」は11.9%。「どのようなものかは知っている」は13.6%。「名前だけは知っている」は22.7%。「知らない」は51.7%でした。
投資に関心がある層とはいえ、半数近くものママ・パパが「インデックス投資」を知っている、または始めている状況であるとは想像以上。一方で、関心が高まってきたからこそ感じている疑問や不安もあると思いますので、さっそく、ご質問にお答えしていきますね!
調査概要:インターネットリサーチ。「あなたご自身に関するアンケート」2019年12月実施。調査対象地域は全国。25〜44歳の既婚男女で、5歳以下の子どもがいる対象者のうち、投資に関心がある、あるいは投資の学習意向がある352人が質問に回答。
現金が必要になった時、どのくらいで手元に届く?
最初の質問はコチラ。
「現金が必要になったとき、手元に届くまでどのくらい時間がかかりますか?」(ママ・27歳)
これはですね、明確に何日とはいえないのですが、「数日以内に」証券口座に入ってきます。この連載でお伝えしているインデックス投資では、世界中の株に投資する投資信託を購入します。日本と世界の株式市場は時差があるため、「瞬時に」確定して現金化することは難しいのです。
インデックス投資は数日以内に現金化できる流動性のある資産です。ただし、普通預金のようにいつでもすぐ取り出せるわけではないですし、その時に必ずしも利益が出ているとは限りません。
以前、『どうする子育てにかかるお金。貯蓄?投資?まずは生活防衛資金が大事』の回でお伝えしましたが、いざ、というときはやはり「現金」がベスト。そのために、十分な「生活防衛資金」を貯めてほしいと思います。インデックス投資は、長期投資が大前提。何十年も先で収穫するための投資と心得て、急な入用にはあてにしないのが一番です。
ほったらかしで、いつの間にか損してないか心配
続いてはこの質問。
「ほったらかしはいいけど、忘れてしまいそう。その間に損している……なんてことにはならないの?」(ママ・33歳)
ごもっともですね。投資なので損をする可能性はゼロではありません。ただ、繰り返しになりますが、インデックス投資は長期投資が大前提。10年、20年、30年と続けるほど大きく資産が育つ可能性が高まる投資法です。その間、価格が下がっても、上がってもコツコツ積み立て続けることが、資産を大きくするコツなので、ほったらかしでちょうどいいのですが、年に1度程度だけ、ちょっとしたメンテナンスは必要です。
これは、儲かっていたら売る、という短期的な利益を求めるために行うのではなく、知らないうちにリスクが大きくなっていないか確認するための作業。万一、リスクが大きくなっていたら、長期投資を続行するために、自分が決めたリスクのサイズに戻してあげます。これを「リバランス」と言います。
詳しくは、『年に1回だけ?「リバランス」をほったらかし投資家に聞く』の回を御覧いただければ嬉しいのですが、確認した結果、リバランスする必要がない場合も多いです。ですので、インデックス投資は、基本的にはほったらかしでOK。ただし、年1回だけメンテナンスする。そんな気持ちを忘れないでいただければと思います。
儲かってたら、売ったほうがいいのでは?
最後はこちら!
「すでにインデックス投資をしています。長期投資がいいとは言いますが、やっぱり価格が上昇したときなど、今売ったほうが儲かるんじゃない?と思うときが。それでも売らないほうがいいのでしょうか?」(パパ・38歳)
インデックス投資で、5〜6%ぐらいの運用を期待していたら、急に相場がよくなって20%も30%も上昇する……なんてことは、よくあります。そこで売って利益を確定する方法ももちろんあるでしょう。でも、得られる利益はそれが上限です。長期で運用していた場合に得られる利益は手放すことになってしまいます。
売ったお金でまた投資すればいいのでは?と思われるかもしれませんが、短期的な売買を繰り返すほど、イチかバチかの賭けに近くなり、リスクが高まります。短期で大儲けするということは、短期で大損することもあるということです。
そして、実際、世界を見ても頻繁な売買を行う投資の多くが、長い目で見ればインデックス投資にはその成果で負けています。
繰り返しになりますが、インデックス投資は長期投資が大前提。長く続ければ続けるほど、そして最後のほうになればなるほど、実りを大きくすることが可能になる投資法です。途中の利益を見すぎず、ほったらかしでコツコツ買う、を繰り返すことが最強の必勝法だということを、覚えておいてくださいね。
はい!それでは今回はここまで。インデックス投資についてのモヤモヤ、少しは晴れましたでしょうか?
次回は、ママ・パパにとても関心の高かった「つみたてNISA」について取り上げます。お楽しみに!
(監修・水瀬ケンイチ イラスト・おぐらなおみ 取材・文 大上ミカ)
水瀬ケンイチ
1973年生まれ。IT企業に勤める会社員であり、個人投資家。2005年より、ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」で自身の投資経験を綴り、インデックス投資家のバイブル的存在として認知される。著書に「お金は寝かせて増やしなさい」(フォレスト出版)など
参考文献:水瀬ケンイチ著書
お金は寝かせて増やしなさい(フォレスト出版)
全面改訂 ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド(朝日新書)
投資は元本保証がありません。資産運用はあくまでもご自身の責任で行ってください。本連載の内容を実践したことによって被る損害については、いかなる理由があろうとも、監修者、運営社、執筆者ともその責任は負いません。