年に1回だけ?「リバランス」をほったらかし投資家に聞く
連載13回目。今回のテーマは、「リバランスってなに?どうやるの?」。
将来のお金が不安。投資も気になるけど、子育てが忙しくて手が回らない……という新米ママ・パパに伝えたいのが、手間をかけずにできる、ほったらかしインデックス投資。
ブログで投資経験を綴り、著書も出版、インデックス投資家のバイブル的存在として知られる投資ブロガー・水瀬ケンイチさんが、超カンタンガイドしてくれます。「新米ママ・パパむけインデックス投資講座。教えて!ほったらかし投資家・水瀬さん」第13回。
当分、やらなくてもいい作業です
こんにちは!水瀬ケンイチです。
今回のテーマは「リバランス」。いきなり、わけのわからない単語を出してごめんなさい!最初にお伝えします。この「リバランス」、インデックス投資では年に1回程度の実施が望ましい作業なのですが、この連載で、私がおすすめしているものに投資している方は、ぶっちゃけ、スルーしてもかまいません。
まだ赤ちゃんが小さくて手一杯、難しい話はとにかく勘弁!という方も、先延ばしして大丈夫。なので、肩ひじをはらずに、ゆるーい気持ちで聞いていただければ幸いです。
しなくていいものなら、なぜ、わざわざ説明するのか?実は、この「リバランス」、インデックス投資を続けていくと、きっとどこかで耳にすることになるのです。私としては、そのとき皆さんが、「え、それなに?」と焦ったり、不安になったりしてほしくありません。
そもそもリバランスとは何か。どうやればいいのか。できるだけ簡単に説明しますので、今回お伝えするやり方やポイントを、頭の片隅にメモしていただけたらと思います。
リバランスとは、資産配分を整えることです
毎月、決まった金額でインデックスファンドを買うだけ。小さい赤ちゃんがいる新米ママ・パパでも、手間をかけずにほったらかしでできるインデックス投資ですが、経済には波があります。何年かたつと、どうしても自分の決めたバランスが崩れ、気づかないうちにリスクの高い配分になってしまっていることも。
そこで、たま〜に資産配分を点検して、元のバランスに整えてあげる必要があるんですね。これが、リバランスです。
例えるなら、お子さんの夜更かしが当たり前になって体調を崩してしまう前に、早寝早起きの生活リズムを取り戻す。そんなイメージです。
資産配分の点検は、だいたい年に1度ぐらいで十分です。その際、必ずしもリバランスする必要はなく、元の配分と大きなズレがあったときだけ行えばOK。では、具体的にどんなときにリバランスをしたらいいのか、どうやって行うのか、ご説明しますね!
買っているファンドの割合を見よう
まず、資産配分のチェック方法です。
この連載で、新米ママ・パパ向けにお伝えしているインデックス投資では、「全世界株式型」と「国内債券型」の2つのインデックスファンドをおすすめしています。
このパターンで説明しますと、全体を100とし、「全世界株式型」と「国内債券型」が何%ずつになるかで割合を出してみます。
たとえば、「全世界株式型」の資産額が現在24万円、「国内債券型」が8万円になっている場合で計算してみましょう。
全体の資産 = 24万円+8万円 = 32万円
「全世界株式型」の割合 = 24÷32 = 0.75 = 75%
「国内債券型」の割合 = 8÷32 = 0.25 = 25%
という具合です。この場合は「全世界株式型」が75%、「国内債券型」が25%という結果になりました。
もし、複数の口座に分けて積み立てしている場合は、すべて合算して全体を出してから計算してください。資産配分は全体で見るのが鉄則です。
5%以上ずれていたら、リバランス
資産配分をチェックして、もし、持っているインデックスファンドの割合が、自分が決めたものから5%以上ずれていた場合、元のバランスに戻します。しつこいですが、これをリバランスといいます。
リバランスは、「減ってしまったものを買い足す」形で行うのがおすすめです。増えている部分を売る方法もありますが、売ってしまうとせっかく積み立てた運用資産が減ってしまいますし、利益に税金がかかってしまうデメリットもあり、もったいないです。
買い足しのやり方はこうです。
たとえば、「全世界株式型」が予定より5%減っていたら、元のバランスになるまで「全世界株式型」だけを買います。つまり、元のバランスに戻るまで「全世界株式型」だけを積み立て、「国内債券型」は休止します。
積み立てるインデックスファンドの金額変更は、ネット証券でしたら24時間、スマホやパソコンからいつでも行えます。
しばらく片方だけ強化して、元のバランスに戻ったら、また両方の積み立てを再開しましょう。
5%未満のズレなら、ほったらかしでOK!
資産配分をチェックして、ズレが5%未満であれば、あわててリバランスする必要はありません。実際私も、リバランスの必要が出てくるのは、3年に1度ぐらいです。基本的には、ほったらかしでいいと考えて問題ありません。
はい!それでは今回のまとめです。
年に1度は資産配分をチェックして、5%以上ずれている場合だけ、リバランスを。最小限の手間で、自分がとれるリスクを守り、また1年コツコツ続けていきましょう!
資産配分のチェックは、うっかり忘れてしまいがちなので、お子さんの誕生日や年末年始など、覚えやすい時期に決めておくといいかもしれませんね。
次回は、インデックス投資にまつわる皆さんの疑問、質問にお答えします。お楽しみに!
(監修・水瀬ケンイチ イラスト・おぐらなおみ 取材・文 大上ミカ)
水瀬ケンイチ
1973年生まれ。IT企業に勤める会社員であり、個人投資家。2005年より、ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」で自身の投資経験を綴り、インデックス投資家のバイブル的存在として認知される。著書に「お金は寝かせて増やしなさい」(フォレスト出版)など
参考文献:水瀬ケンイチ著書
お金は寝かせて増やしなさい(フォレスト出版)
全面改訂 ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド(朝日新書)
お金は寝かせて増やしなさい
投資は元本保証がありません。資産運用はあくまでもご自身の責任で行ってください。本連載の内容を実践したことによって被る損害については、いかなる理由があろうとも、監修者、運営社、執筆者ともその責任は負いません。