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ネット証券って大丈夫なの? 素朴な疑問をほったらかし投資家に聞く

更新

連載15回目。今回も、前回に引き続き番外編をお届け。子育て中のママパパの「投資のここがわからない!」の声に、先輩投資家がずばり回答いたします。

将来のお金が不安。投資も気になるけど、子育てが忙しくて手が回らない……という新米ママ・パパに伝えたいのが、手間をかけずにできる、ほったらかしインデックス投資。

ブログで投資経験を綴り、著書も出版、インデックス投資家のバイブル的存在として知られる投資ブロガー・水瀬ケンイチさんが、超カンタンガイドしてくれます。「新米ママ・パパむけインデックス投資講座。教えて!ほったらかし投資家・水瀬さん」第15回。

ママパパには、楽天証券とSBI証券が人気!

こんにちは!水瀬ケンイチです。
前回から連載の番外編として、皆さんからの質問にお答えするコーナーを開設しております。2回目となる今回は、「ネット証券」について、子育て中のママ・パパの皆さんから寄せられた質問にお答えしたいと思います!

ちなみに、この質問は、ネットアンケートで募集。投資に関心(または学習意向)があるママ・パパ352人が回答してくださったのですが、実際に「なんらかの証券口座を開設したことがある」ママ・パパは、57.4%。半数以上が証券口座をお持ちでした。そして開設したことがあるネット証券の口座で最も多かったのは、「楽天証券」で27.6%。次に「SBI証券」が22.4%。ママ・パパには特に、楽天証券が人気のようですね!

アンケートの自由回答を読むと、ネット証券をすでに開設していたママ・パパからは、「思ったより簡単だった!」「やってみたら何も難しくなかった」という声も多かったのですが、やはり開設を迷っているママ・パパにとっては不安や疑問がたくさんある印象を受けました。

今回、少しでもそんな不安や疑問が払拭できればと思いますので、さっそく、ご質問にお答えしていきますね!

調査概要:インターネットリサーチ。「あなたご自身に関するアンケート」2019年12月実施。調査対象地域は全国。25〜44歳の既婚男女で、5歳以下の子どもがいる対象者のうち、投資に関心がある、あるいは投資の学習意向がある352人が質問に回答。

Q1.ネット証券て、どこにお金がいくの?

「ネット証券は、どこでお金を預かっているのか。なんとなく不安」(34歳・パパ)
「お金はなくなってしまわないの?」(32歳・ママ) 

最初の質問はこちら。ネット証券に振り込んだお金は、どこで預かっているのだろう?というものです。

A1
これはですね、たとえばATMから振り込んだお金が、ネット証券の会社にピューッと飛んでいくわけではなく、データで管理されています。え、そうなの!?データなんて消えたらこわい…と思われるかもしれませんが、実は普段私達が使っている銀行も同じ。金融機関は、個人から預かったお金をデータで管理しています。

そして、ネット証券に入れたお金で投資信託を購入すると、その財産は「投資家の資産」として扱われます。この資産は、とても厳重に守られ、ネット証券の会社から信託銀行に移されて管理されます。この仕組みを「分別管理」と呼んでいます。この仕組みのおかげで、ネット証券の会社が万一つぶれても、我々が投資した資産は1円も影響がありません。

さらに、もしその信託銀行に、想定外の事故がおきたとしても、「日本投資者保護基金」という制度のもと、我々の資産は1000万円までは保護されます。つまり投資信託には、銀行の預金と同等の保護がある、というわけです。

Q2.分からないことは、質問できないの?

続いても多かった質問。サポートに対する不安です。
「ネットだと、質問があったときにどうすればいいか心配」(28歳・ママ)
「サポートに電話して、すぐつながるのだろうか」(39歳・パパ)

A2
ネット証券は、基本的に店舗がありませんが、人がいないわけではありません。コールセンターはきちんと機能しており、ずっと電話がつながらず、延々と待たされる……なんてこともありません。もちろん、混み合う時間帯はあるかもしれませんが、長年ネット証券会社を使っている私の感想としましては、電話もすぐつながりますし、どんな質問にも丁寧に対応してもらえる印象があります。

また、最近は「AIチャット」といって、画面上でLINEのようにやりとりできる機能もあります。相手はAIなのですが、私のようなマニアからの面倒な質問でも、ちゃんと答えてくれますので、よく利用してます。おすすめですよ!

Q3.なにか、お金はかかるの?

費用を心配する声も多くありました。

「手数料はどのくらいかかるのかということ」(29歳・ママ)
「利用するのに、お金は必要なのかどうか」(41歳・パパ)

A3
ネット証券は、駅前に店舗を持って社員が対応する必要がなく、賃料や人件費がかかりません。このため、店舗型の証券会社とくらべて、手数料が全般に安いです。口座を開くこと、持つことに関して、なにかお金がかかるということもありません。もし、使わなくなっても、コストが発生するわけではないのでご安心を。

たとえば、この連載でご紹介している「インデックス投資」では、毎月決まった金額で「インデックスファンド」を積み立てで買い付けますが、基本的に販売手数料は「ノーロード」といって無料。「信託報酬」という名前の手数料はかかりますが、ネット証券では年間で0.1%〜0.2%程度。1万円の運用に10円~20円かかる程度です。

もちろん、手数料が安いからといって、いい加減な投資信託の商品を売っているわけではありません。そもそも、ネット証券は、投資信託の商品を販売する窓口。商品そのものを作っているのは、運用会社なのです。

同じメーカーの牛乳なら、Aスーパーで買っても、Bスーパーで買っても同じですよね。投資信託もこれと似ていて、運用会社が作った商品は、どの証券会社で買っても同じ。手数料が安いからといって、中身が違うわけではないのでご安心ください!

Q4.もしものときは、家族にどうやって知らせるの?

最後は、この質問。
「通帳がないと、もし自分が死んだとき、家族が口座の存在を知らないままになりそう」(44歳・ママ)

いい質問ですね。そうなんです。ネット証券は、ネット上に口座があるため、IDとパスワードが分からないと、資産状況は確認できません。だいたいの会社は、年に一度、資産状況を知らせる通知が郵便で届きますので、口座の存在に家族が気づける可能性があります。ただ、その通知も「WEB通知」に設定できる会社も。そうなると、一切郵便物がこないことになり、開設時に届く書類の控えなどがない限り、口座の存在そのものに気づかないこともありえます……。

せっかく育てた大事な資産を、家族に遺せなかったら……大変ですよね!

ですから、ネット証券に口座を開いたら、家族だけがわかる形で共有しておきましょう。通帳やハガキのような形がないものだけに、余計に家族に黙ってこっそりやるのはおすすめしません。

株や投資信託も大切な財産のひとつ。「形」はなくても、家、土地、保険、自動車、貴金属などと同じようにリストアップして、存在を明らかにしておくことは、相続等の大切な準備でもあります。

ネット証券は、こわくありません

ネット証券に関する、疑問や不安、少しでも解決のお役に立てましたでしょうか?ネット証券は何よりも、小さいお子さんがいて外出がままならないママ・パパにとって、自宅で開設や取引が完結できる、その利便性がメリットです。

そして、この連載でお伝えしている「インデックス投資」は、長期の積み立てが大前提。育てた利益を減らさないためにも、ランニングコストがずーっと安く抑えられる、ネット証券と相性ぴったりですので、ネットだから危ない、ネット証券だからこわい、というイメージが少しでもなくなるとよいなぁと思います。

次回もお楽しみに!



水瀬ケンイチ
1973年生まれ。IT企業に勤める会社員であり、個人投資家。2005年より、ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」で自身の投資経験を綴り、インデックス投資家のバイブル的存在として認知される。著書に「お金は寝かせて増やしなさい」(フォレスト出版)など


参考文献:水瀬ケンイチ著書
お金は寝かせて増やしなさい(フォレスト出版)
全面改訂 ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド(朝日新書)

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