まさかの大暴落でも、2つのことを忘れないで!ほったらかし投資家に聞く
連載18回目。今回は、緊急特番!コロナの影響で相場が大きく下落の今。「不安!」「心配!!」「どうしたらいいの!?」の声に、先輩投資家がずばり回答いたします。
将来のお金が不安。投資も気になるけど、子育てが忙しくて手が回らない……という新米ママ・パパに伝えたいのが、手間をかけずにできる、ほったらかしインデックス投資。
ブログで投資経験を綴り、著書も出版、インデックス投資家のバイブル的存在として知られる投資ブロガー・水瀬ケンイチさんが、超カンタンガイドしてくれます。「新米ママ・パパむけインデックス投資講座。教えて!ほったらかし投資家・水瀬さん」第18回。
「この先どうなるの!?」とご心配な皆様へ
皆さん、こんにちは!水瀬ケンイチです。
連日報道される、コロナショック。きっと皆さんも「私の資産はこの先どうなるの!?」「このまま続けていくのは不安!」と心配でいっぱいのことと思います。先日行ったアンケートでも、
「もしもの場合が不安です」(34歳ママ)
「マイナスになったらどうしようかと思ってしまう」(44歳パパ)
と、まさに今起きているような暴落を不安に思う声が多く寄せられていました。
リアルに「もしも」が起きている今だからこそ、今日はこの試練の乗り切り方についてお話したいと思います。
調査概要:インターネットリサーチ。「あなたご自身に関するアンケート」2019年12月実施。調査対象地域は全国。25〜44歳の既婚男女で、5歳以下の子どもがいる対象者のうち、投資に関心がある、あるいは投資の学習意向がある352人が質問に回答。
暴落のタイミングはだれにも予測できない
「史上最大の下げ幅」「世界中の株式市場が暴落」など、投資家たちの不安を煽る声が、ネットやテレビで連日報道されています。実際、私の資産も大きく減り、またたく間に利益は半分になりました。でも、ぶっちゃけ、なんとも思っていません。
というのも、世界経済は短期的な上げ下げをくり返しながら、長期的には右肩上がりに成長していくものだからです。
このコロナショックは、疫病という「予想外」の形で起こりました。暴落をうまく避けて投資できればいちばんよいのでしょうが、残念ながら、 暴落のタイミングはだれにも予測できません。
実際に私は17年、ほったらかしで積み立てを続けていますので、この上がっては下がるサイクルを何度も経験しています。リーマンショック、東日本大震災、少しよくなったと思ったらまた下がる。上げ相場が続いた後に、何かの理由でドカンと落ちるのは普通のことなのです。ですから今回も、「ああ、またきたな」という気持ちで、ナイアガラの滝のように下がる資産グラフを眺めています。
ですが、初心者の皆さんや、ここ数年の上げ相場で投資を始めた方々は、この暴落はきっと初めての経験。「投資なんてやるんじゃなかった」と後悔したり、不安に思ったりするのも当たり前です。
ここで、皆さんに声を大にしてお伝えしたいのは、慌てないでほしいということ。こうした場合の賢い乗り切り方を2つお伝えしますので、ぜひメモして下さい。
ポイント1 やめないこと
1つ目は、下がったからといって積み立てをやめてしまわないこと。先程もお伝えした通り、世界経済は、上がったり、下がったりを繰り返します。
この連載でお伝えしている積み立てのインデックス投資の期待リターン(期待できる利益)は、だいたい4〜5%。上げ相場に入れば10%、20%と上昇することもありますし、下げ相場で30%も減少することもあります。それを、長い期間でならすと、だいたい4〜5%ぐらいのリターンになる、というものです。
ですから、下がったからといってやめてしまうのはNG。今のような下げ相場では、積み立てるほど、マイナスが広がります。これを見るのは、正直しんどいです。不安です。分かります。
でも。
下げ相場の後には、必ずまた上げ相場が来るのです。その時、どれほど大きな勢いで資産が復活することか。そして、上げ下げを繰り返しながら右肩上がりに成長カーブを描き、世界経済は成長していきます。
インデックス投資とは、このカーブに乗るもの。最後に笑うのは、どんなにしんどくても相場に踏みとどまり、このカーブを信じた人だということを、忘れないでください。
ポイント2 むやみにスポット追加投資(積み立て以外の買い足し)をしないこと
2つ目は、投資に慣れてきた中級者の人にありがちな行動。下がってきた相場を見て、「安いうちに追加で買っとくか!」と、追加のスポット投資(積み立て以外の買い足し)をしてしまうことです。
この連載でも繰り返しお伝えしていますが、「安く買って高く売る」のは、プロでも難しいのです。実際、そうした手法で行うアクティブ投資の7〜8割は、コツコツ積み立てで買うインデックス投資に負けています。
そもそも、今が「底」かどうかは誰にも分かりません。後になって、「あの時が底だった」と言えるわけで、まだまだ下がっていくかもしれないのです。
それなのに、今下がったからと買い足していたら、投資にまわせる余力はどんどん減少。本当の底に来た時に、「弾切れ」になってしまい、いたずらに傷口を広げるだけとなってしまいかねません。
この連載でお伝えしている、積み立てで買うインデックス投資は、毎月定額で購入することで、価格が安いときはたくさん買えるという自動調整機能がついています。何も考えずに、コツコツ、いつもどおりに買っていけば、確実に底も拾えます。欲を出さず、ほったらかしが一番なのです。
事前に想定したリスクの範囲内かをチェック
皆さんは、何%(もしくは何円)ぐらいまでのマイナスなら、受け入れるつもりで投資を始めましたか?
今のマイナスがその範囲に収まっているかどうかチェックして下さい。自分で決めたリスク許容度の範囲で購入するファンドを設定し、スタートした投資であるならば、そこまで大きく想定をオーバーしてはいないはずです。
私が落ち着いていられるのは、今回の暴落は、事前に想定したリスクの範囲内だからです。もちろん、下がっている資産を見るのはいい気持ちはしませんが、「自分が取れるリスクの中で運用ができている」ので、慌てることはないわけです。
こうした「リスク許容度」について、詳しく知りたい方は、この連載の『子どもが生まれて「貯める」だけでいいの? 投資? 必要なのは「リスク」の理解』をぜひご覧くださいね!
さて、次回はアンケートでも多く寄せられた「投資をしたくても、ママ(パパ)に反対されてしまう」というご相談について。投資仲間の間では、通称「嫁ブロック」と呼ばれているこのお悩み、実はとても多いのです。
何をかくそう、我が家の妻も、ずっと投資に興味なし。でも、今はすっかりほったらかし投資家です。なぜ彼女は変わったのか!?事例をふまえて、お伝えしますので、お楽しみに!
ではまた
(監修・水瀬ケンイチ イラスト・おぐらなおみ 取材・文 大上ミカ)
水瀬ケンイチ
1973年生まれ。IT企業に勤める会社員であり、個人投資家。2005年より、ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」で自身の投資経験を綴り、インデックス投資家のバイブル的存在として認知される。著書に「お金は寝かせて増やしなさい」(フォレスト出版)、カラー版 お金が勝手に増える「熟成」投資術 (宝島社新書) など。
参考文献:水瀬ケンイチ著書
お金は寝かせて増やしなさい(フォレスト出版)
全面改訂 ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド(朝日新書)