インデックスファンド乗り換えたほうがいい? ほったらかし投資家に聞く
連載12回目。今回のテーマは、「いいインデックスファンドが出たら、乗り換えたほうがいい?」。
将来のお金が不安。投資も気になるけど、子育てが忙しくて手が回らない……という新米ママ・パパに伝えたいのが、手間をかけずにできる、ほったらかしインデックス投資。
ブログで投資経験を綴り、著書も出版、インデックス投資家のバイブル的存在として知られる投資ブロガー・水瀬ケンイチさんが、超カンタンガイドしてくれます。「新米ママ・パパむけインデックス投資講座。教えて!ほったらかし投資家・水瀬さん」第12回。
インデックスファンドは、新しいほどいい?
こんにちは!水瀬ケンイチです。
毎月コツコツ、インデックスファンドを積み立てで購入するだけ。子育てが忙しくても、ほったらかしでできるインデックス投資ですが、果たして商品はずっと同じでいいのか?そんな疑問を持つママ・パパも少なくないのではないでしょうか。
10年もたてば、育児グッズもかなり進化するもの。インデックスファンドも、私が始めた17年前は想像もできなかったほど、ここ数年でいい商品が次々に誕生しました。
新しい商品が気になるとき。今の商品でいいの?と不安を感じるとき。インデックス投資ではどう考えればいいのか。
今回は、長く続けることが大前提のインデックス投資における、インデックスファンドとの付き合い方についてお話します。
乗り換えを考えるとしたら、どんなとき?
まず、インデックスファンドの選び方をちょっとおさらいしましょう。詳しく知りたい方は、第2回「貯蓄だけでいいの? 教育費は? 老後は? 新米ママ・パパはお金をどう学ぶ?」をご覧くださいね。
このコラムで若いママ・パパ向けにおすすめしているインデックス投資では、「全世界株式型」と「国内債券型」の2種類のインデックスファンドを組み合わせて買います。
このとき、同じ「全世界株式型のインデックスファンド」であれば、どの商品でも内容にあまり大差はつきません。なぜなら、目指す指標が同じだからです。目標が同じであれば、どの会社が作っても、組み合わせる中身はさほど変わりません。
同じ品質、数量の紙おむつなら、わざわざ高い値段のものを買う必要はないように、同じ内容のインデックスファンドを選ぶときは、「コスト(信託報酬)」の安さがポイントになります。
つまり、乗り換えを検討するとしたら、今と同じ内容のインデックスファンドで、今より安いコストの商品が出てきたとき。
逆にいえば、コスト以外で乗り換えを検討する必要はあまりないといえるでしょう。
コストはもう、十分安いです!
しかし、現在のインデックスファンドのコストは、史上最安レベル。長年、インデックス投資に使える商品を探しまくってきた私から見て、これ以上コストが安くなる余地は、とても小さいと思われます。
たとえば、第2回でご紹介した『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』の信託報酬が年0.104%以内(税抜・以下同)で、超がつくほど低コスト。他の全世界株式型も安く、年0.1%前後であれば、現在の最安値クラスと思って間違いないでしょう。
ここまで下がっているので、仮に、今より0.01%安いファンドが出てきたとしても、その差はあまりにも微差。どんぐりの背比べです。
しかも、ご紹介したeMAXIS Slimシリーズは嬉しいことに、『業界最低水準の運用コストを将来にわたって目指し続ける』と宣言しています。今後もし、同内容でさらにコストの安いライバルファンドが出てきた場合、値下げを公約していますので安心です。
つまり、今購入しているインデックスファンドのコスト(信託報酬)がすでに最安値クラスであるのなら、より安いファンドが出てきても、無視してOK。あわてて乗り換える必要はまったくありません。
ましてや、売却して新しく買い直すなどもってのほか。一般の口座で投資している場合、せっかく育てた利益から約2割も税金がとられますので、運用資産が減ってしまいます。このまま、ほったらかしを続けて大きく育てましょう!
制度が変わったときは、見直してもOK
コスト以外でファンドを乗り換える理由があるとすれば、2018年から登場した『つみたてNISA』や『iDeCo』のように、利益が非課税になるなど、新しくお得な制度が始まったとき。制度の対象ファンドが限定されている場合など、環境に「改革」が起きる場面では、これから数十年の投資生活に影響が出る可能性が高いので、情報を集中して集め、しっかり検討したほうがよいでしょう。
私のブログでも、最新のコスト情報や制度についてはフォローしていきます。この連載でも、臨時ニュースとして、インデックス投資中のママ・パパにお伝えできればと思います。
はい!それでは今回のまとめです。
これから、インデックス投資を始める人はすでにコストは最安値水準。乗り換える必要はありません。安心して、ほったらかしてOKです。
次回は、インデックス投資の唯一の作業、「リバランス」について。普段はほったらかしでいいのですが、年に一度だけ確認してほしいことについてお伝えします。お楽しみに!
(監修・水瀬ケンイチ イラスト・おぐらなおみ 取材・文 大上ミカ)
水瀬ケンイチ
1973年生まれ。IT企業に勤める会社員であり、個人投資家。2005年より、ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」で自身の投資経験を綴り、インデックス投資家のバイブル的存在として認知される。著書に「お金は寝かせて増やしなさい」(フォレスト出版)など
参考文献:水瀬ケンイチ著書
お金は寝かせて増やしなさい(フォレスト出版)
全面改訂 ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド(朝日新書)
お金は寝かせて増やしなさい
投資は元本保証がありません。資産運用はあくまでもご自身の責任で行ってください。本連載の内容を実践したことによって被る損害については、いかなる理由があろうとも、監修者、運営社、執筆者ともその責任は負いません。